婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

文字の大きさ
89 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女

第261話 太陽の神殿の裏部隊

しおりを挟む
「あ、あの……アニエスさん。今の光は一体……」

 ひとまず落ち着いたところで、ロレッタさんがさっきの屋敷で黒ずくめの人が使った自爆魔法について聞いてきたけど、どう答えようか。
 あの人たちは何か連帯していたのか、一人はイナリが眠らせていたはずなのに、三つの光の柱が生まれたし。
 ……いや、ロレッタさんも巻き込まれた訳だから、正直に話すべきね。

「あれは、術者自身の命を懸けた自爆魔法みたいなの」
「えっ……じ、自爆魔法!?」
「えぇ。以前に、私が土の聖女と間違えられて、ある人たちから命を狙われた事があったんだけど、その人たちがあの魔法を使っていたの」
「そんな事が……では、先程の人たちも、そのアニエスさんたちを狙った人たちの仲間という事なのでしょうか?」
「おそらくね」

 元太陽の聖女リタさんに仕えていた、裏部隊。
 だけど、今の太陽の聖女ビアンカさんが教会を爆発させて鍵を盗むとは思えない。
 となると、あの裏部隊の人たちが独自に太陽の神殿の宝物庫から、何かを盗もうとしているという事だろうか。

「あの、アニエスさん。他にも聞いて良いでしょうか?」
「何でしょう?」
「先程の屋敷の中で、そちらの子狐さんから、強い魔力を感じました。以前にお会いした、あの銀髪の男性に似た魔力だったのですが……」

 えぇっ!? ロレッタさんは、イナリみたいに魔力を感じる事が出来るの!?
 いやでも、イナリもロレッタさんが凄い魔力を持っているって言っていたっけ。
 ……あー、更に私の神水で魔力が倍になっているから、そういう感知も出来るようになっていたって事なのかも。
 とはいえ、本当の事をどこまで話すべきなんだろう。
 チラっと子狐姿のイナリに目をやると……あ、本来の姿に戻った。

「アニエスよ。これ以上は隠せぬようだな」
「イナリ……良いの?」
「仕方あるまい。というより、元より薄々勘付いていたようだしな」

 イナリの言葉を聞いてロレッタさんを見ると、小さく頷く。

「もしかしたら……とは思っておりました。とはいえ、確証はありませんでしたが、貴方の魔力が凄まじいので、狐に変身する魔法くらいは使えるだろうなと」

 あ、イナリが妖狐だっていう事には気付いていないみたい。
 ただ、ロレッタさんが妖狐の伝説の真実を知っているかどうかわからないし、あえて言わなくても良いかも。

「お姉ちゃん。それより、ビアンカさんに説明しておいた方が良いんじゃないかなー? さっきの光の柱を見て、兵士さんたちも集まっているみたいだし」
「そうね。一旦、教会へ戻りましょうか」

 もう夜も遅く、かつ先程の光があった場所から戻って来たのがバレたら、またややこしい事になりそうなので、子狐姿に戻ったイナリが人気のない道を選んでくれて、無事に教会へ戻って来た。
 それから急ぎの用件だと言って、ビアンカさんの部屋へ入れてもらい、先程の出来事を話す。

「太陽の神殿の裏部隊が……」
「はい。火薬というのを用いて、神殿の宝物庫の鍵を盗んだと」
「え……っ!? 宝物庫の鍵を!? ……あそこには、今は何も残っていないハズですが」
「そう……なんですか?」
「はい。前任の太陽の聖女、リタさんが元よりかなり浪費していたのと、残っていた資金や宝物なども、旧聖都の被害に遭われた方が他の街へ移動する支援に全て使いましたので」

 なるほど。
 それじゃあ、あの人たちは無駄な事をしたという事なの……かな?
 ひとまず、私たちが知った事件の真相を伝えて、今日は休む事になったんだけど……何か引っかかる。
 私の気のせいなら良いんだけど。
しおりを挟む
感想 538

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。