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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第296話 魔王の力を得たトリスタン王子
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トリスタン王子が腕を振るい……イナリが再び私を抱えて跳ぶ。
先程と同じ様に、元居た場所が見えない何かで潰されている。
「トリスタン王子。魔王って……一体、何を言っているの?」
「図が高いぞ! 俺様はかつてこの世界を支配していた魔王の、八つに分けられた力の一つを手に入れたのだ! 剣の力は貴様らに邪魔されたが、弓は俺様がその力を継承したのだっ!」
「八つに分けられた力の一つ?」
「教えてやる義理はないが……お前たちに奪われた魔王の剣も、あれは剣の形をしているだけであって、分けられた魔王の意識の一つだ。選ばれし者だけがその意識と疎通し、真の力を得るのだっ!」
そう言った直後、トリスタン王子が両手を前に突き出す!
これまでとは違い……私にも見えた! 二本の槍が、微妙にタイミングをずらして私たちに向かって飛んで来ている!
「むっ……小癪なっ!」
一つ目の槍はイナリが跳んで避け、もう一本の槍は黒い壁を生み出して防ぐ。
いつもなら簡単に避けていそうなのに、イナリに余裕がない程の攻撃なの!?
「ふむ。一度に二本放つと、隠蔽効果が消えてしまうか。まぁこの力の使い方にも、その内慣れるだろう。そうだな……まだ一つの力しか使えていないし、今は俺様が引いてやろう」
「ふっ、我が貴様を逃がすとでも思っているのか?」
「化け物風情が何を言っている。せっかく見逃してやると言っているのだぞ? 身の程を弁えろっ!」
トリスタン王子の叫び声と共に、視界に一瞬黒い何かが映った……気がした。
速過ぎて、それが何だったのかはわからない。
もしかしたら、私の見間違いだったのかもしれないけど……直後に、それが否定される。
「くっ! この力は……」
「ほほぅ。このような力もあるのか。だが、まだ狙いが定まらんか。化け物男しか貫けぬか……アニエスよ、命拾いしたな。次に会う時は、この国は俺のものだ! ふははははっ!」
苦しそうなイナリの声を掻き消すかのようにトリスタン王子が高笑いを上げると、その姿が闇の中に掻き消えていった。
以前に魔剣を手にしていた時の比ではなく、トリスタン王子がとんでもない力を手にしてしまったのだけど……それより今はイナリの容体ねっ!
「イナリっ! 大丈……イナリっ!? 神水を……早く飲んでっ!」
横を向くと、イナリが壁にもたれかかり、口から血を流していた。
いつもの服が黒く焦げ、穴が空いているようにも見える。
急いで、神水を出して口へ注ぐと、一呼吸置いてイナリが立ち上がってくれた。
……今までイナリと一緒に過ごしてきたけど、ここまでの怪我を負ったイナリを見るのは初めてかもしれない。
「い、イナリ。大丈夫?」
「うむ。アニエスのおかげだ。礼を言う」
「ううん。イナリが私を助けてくれたんじゃない。だけど……さっきのトリスタン王子は一体何だったの?」
「魔王の力を得たと言っていたな。あの腕を振るう攻撃は、単調なので回避が容易だったが……最後の黒い雷は避けようがなかった」
「か、雷!?」
「そうだ。威力は、あの腕を振るう攻撃より格段に劣るものの、速度が桁違いだった。奴を止めるのに、対策を考えなければならぬな」
雷って、あのピカッて光るアレの事だよね?
そんなの避けようがないじゃない!
少し遅れてコリンとロレッタさんもやって来たけど……どうすれば良いんだろう。
先程と同じ様に、元居た場所が見えない何かで潰されている。
「トリスタン王子。魔王って……一体、何を言っているの?」
「図が高いぞ! 俺様はかつてこの世界を支配していた魔王の、八つに分けられた力の一つを手に入れたのだ! 剣の力は貴様らに邪魔されたが、弓は俺様がその力を継承したのだっ!」
「八つに分けられた力の一つ?」
「教えてやる義理はないが……お前たちに奪われた魔王の剣も、あれは剣の形をしているだけであって、分けられた魔王の意識の一つだ。選ばれし者だけがその意識と疎通し、真の力を得るのだっ!」
そう言った直後、トリスタン王子が両手を前に突き出す!
これまでとは違い……私にも見えた! 二本の槍が、微妙にタイミングをずらして私たちに向かって飛んで来ている!
「むっ……小癪なっ!」
一つ目の槍はイナリが跳んで避け、もう一本の槍は黒い壁を生み出して防ぐ。
いつもなら簡単に避けていそうなのに、イナリに余裕がない程の攻撃なの!?
「ふむ。一度に二本放つと、隠蔽効果が消えてしまうか。まぁこの力の使い方にも、その内慣れるだろう。そうだな……まだ一つの力しか使えていないし、今は俺様が引いてやろう」
「ふっ、我が貴様を逃がすとでも思っているのか?」
「化け物風情が何を言っている。せっかく見逃してやると言っているのだぞ? 身の程を弁えろっ!」
トリスタン王子の叫び声と共に、視界に一瞬黒い何かが映った……気がした。
速過ぎて、それが何だったのかはわからない。
もしかしたら、私の見間違いだったのかもしれないけど……直後に、それが否定される。
「くっ! この力は……」
「ほほぅ。このような力もあるのか。だが、まだ狙いが定まらんか。化け物男しか貫けぬか……アニエスよ、命拾いしたな。次に会う時は、この国は俺のものだ! ふははははっ!」
苦しそうなイナリの声を掻き消すかのようにトリスタン王子が高笑いを上げると、その姿が闇の中に掻き消えていった。
以前に魔剣を手にしていた時の比ではなく、トリスタン王子がとんでもない力を手にしてしまったのだけど……それより今はイナリの容体ねっ!
「イナリっ! 大丈……イナリっ!? 神水を……早く飲んでっ!」
横を向くと、イナリが壁にもたれかかり、口から血を流していた。
いつもの服が黒く焦げ、穴が空いているようにも見える。
急いで、神水を出して口へ注ぐと、一呼吸置いてイナリが立ち上がってくれた。
……今までイナリと一緒に過ごしてきたけど、ここまでの怪我を負ったイナリを見るのは初めてかもしれない。
「い、イナリ。大丈夫?」
「うむ。アニエスのおかげだ。礼を言う」
「ううん。イナリが私を助けてくれたんじゃない。だけど……さっきのトリスタン王子は一体何だったの?」
「魔王の力を得たと言っていたな。あの腕を振るう攻撃は、単調なので回避が容易だったが……最後の黒い雷は避けようがなかった」
「か、雷!?」
「そうだ。威力は、あの腕を振るう攻撃より格段に劣るものの、速度が桁違いだった。奴を止めるのに、対策を考えなければならぬな」
雷って、あのピカッて光るアレの事だよね?
そんなの避けようがないじゃない!
少し遅れてコリンとロレッタさんもやって来たけど……どうすれば良いんだろう。
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