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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第312話 世界を見て回りたいアニエスとイナリ
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「す、凄いです! 水……水しかありませんよっ!」
「これは……は、早く陸地に戻りたいねぇ」
トリスタン王子の中から魔王の力が消えた翌朝。
イスパナにある港から、大きな船に乗ってアトロパテを目指しているんだけど、ユリアさんとソフィアさんが初めての海に驚いている。
「ふむ。やはり船は良いものだな」
「お姉ちゃん! お魚が居たよー!」
イナリとコリンは慣れたもので、久々の船旅を楽しんでいた。
初めてアトロパテに行った時と違い、今回はソフィアさんがS級、私がA級薬師という事もあって、運搬船の護衛とかではなく、普通に客船で移動している。
速度も速いので、おそらく今日中にアトロパテに着く事が出来るだろう。
「しかし……アニエスは、少し見ない間に、いろんな知り合いが増えていたんだね。太陽の聖女や土の聖女の事は聞いていたけど、まさか火の聖女様とも顔見知りとは」
「聖女さんなら、ロレッタさんも星の聖女になったんだよねー?」
「元より大きな魔力を秘めていたし、途中で聖女になるというよりは、元々聖女だったのだが、気付いていなかったのであろう。アニエスのようにな」
ソフィアさんの言葉でコリンがロレッタさんの事に触れると、何故かイナリにジト目を向けられてしまった。
私だって、他の人より水魔法で沢山水が出せるなーとは思っていたけど、まさか水の聖女だなんて思わないってば。
「しかし、アニエスよ。あのバカ王子は放っておいて良かったのか?」
「んー、他の国の人たちも大勢居たし、何よりビアンカさんがいるから大丈夫だと思うの。前みたいに、逃げられないんじゃないかな」
「まぁあれだけの事をしでかしたのだ。投獄で済むかどうかは知らぬがな」
「何はともあれ、私たちはヤルミラさんに事情を説明して、モニカちゃんに来てもらわないとね。魔弓をしっかり封じてもらわなきゃ」
魔剣を封じる時も、モニカちゃんに来てもらう時は一苦労だったから、今回も一筋縄ではいかないのかもしれない。
きっとまた、大勢の騎士さんたちを含めて護衛をしながら行く事になる気がする。
それに、まだ幼いモニカちゃんは、魔の力を封じる祭壇を自分で作る事が出来ないと言っていたので、おそらくポートガにあるであろう元の祭壇の場所まで魔弓を運ばなくちゃいけないはずだ。
ポートガも、農水路を作って欲しいと言われているし……やる事が沢山あり過ぎるかも。
「ふむ……アニエスよ。この魔弓の一件が片付いたら、少しのんびりしてみるか?」
「えっ!? というと?」
「いや、なに……少々アニエスが頑張り過ぎている様に見えたからな。我の生まれ故郷にでも行って、ゆっくり観光をしてみるのはどうかと思ってな」
「イナリの生まれ故郷!? 行ってみたい! やっぱり東方なの!?」
「うむ。東の果ての国なのだが、世の中を見て回った我とは違い、家に姉が残っているから、寝泊りする場所にも困らぬであろう」
「えぇぇぇっ!? イナリって、お姉さんが居たのっ!? 行くっ! 絶対に行くっ!」
男性なのに、こんなに綺麗なイナリのお姉さん……一体、どれ程の美人なのだろうか。
同性だけど、凄く気になる。気になり過ぎるっ!
まだ見ぬイナリの故郷の話を聞いている内に、アトロパテに到着し……今回はあっさりとモニカちゃんの所へ来る事が出来た。
前に来た時と違って、モニカちゃんも凄く元気そうで……って、元気過ぎない?
「お母様! 命の恩人であるアニエス様が、世界を守る為に来られたのです! それに応えない訳にはいきません!」
「し、しかしだな。モニカはまだ幼いし……」
「ですが、ゲーマの時も無事に務めを果たしました! 世界を危機から……」
「わかった! わかったが……今度こそ、妾も一緒に行くぞ? もうモニカと離れるのは嫌なのだ」
えーっと、モニカちゃんが元気になったものの、ヤルミラさんが子離れ出来ていない感じかな?
けど、これで無事にモニカちゃんが来てくれる事になった。
この一件が終わったら……次はイナリの故郷ね!
ふふっ、イナリのお姉さんに会うのも楽しみだし、どんな場所なのかが凄く気になる。
これからも、いろんな場所にいって、いろんな物を見て、いろんな人に会い、いろんな体験をしていこうっと!
「ふっ……アニエスよ。我はアニエスが何処へ行こうとも、約束通りついていくからな? 旨い食事を頼むぞ」
「えっ!? イナリ……もしかして、私の心を読んだの!?」
「いや、表情を見ればわかる。我も、まだ食べた事のない、世界中の旨い物を食べるのだ」
……イナリがお姉さんと違って、世界を見て回ったのって、もしかして食べ物のためなの!?
いやまぁ、私もいろんな場所を見て回りたいから、理由は何でも良いけどね。
これからもよろしくね。イナリ。
了
「これは……は、早く陸地に戻りたいねぇ」
トリスタン王子の中から魔王の力が消えた翌朝。
イスパナにある港から、大きな船に乗ってアトロパテを目指しているんだけど、ユリアさんとソフィアさんが初めての海に驚いている。
「ふむ。やはり船は良いものだな」
「お姉ちゃん! お魚が居たよー!」
イナリとコリンは慣れたもので、久々の船旅を楽しんでいた。
初めてアトロパテに行った時と違い、今回はソフィアさんがS級、私がA級薬師という事もあって、運搬船の護衛とかではなく、普通に客船で移動している。
速度も速いので、おそらく今日中にアトロパテに着く事が出来るだろう。
「しかし……アニエスは、少し見ない間に、いろんな知り合いが増えていたんだね。太陽の聖女や土の聖女の事は聞いていたけど、まさか火の聖女様とも顔見知りとは」
「聖女さんなら、ロレッタさんも星の聖女になったんだよねー?」
「元より大きな魔力を秘めていたし、途中で聖女になるというよりは、元々聖女だったのだが、気付いていなかったのであろう。アニエスのようにな」
ソフィアさんの言葉でコリンがロレッタさんの事に触れると、何故かイナリにジト目を向けられてしまった。
私だって、他の人より水魔法で沢山水が出せるなーとは思っていたけど、まさか水の聖女だなんて思わないってば。
「しかし、アニエスよ。あのバカ王子は放っておいて良かったのか?」
「んー、他の国の人たちも大勢居たし、何よりビアンカさんがいるから大丈夫だと思うの。前みたいに、逃げられないんじゃないかな」
「まぁあれだけの事をしでかしたのだ。投獄で済むかどうかは知らぬがな」
「何はともあれ、私たちはヤルミラさんに事情を説明して、モニカちゃんに来てもらわないとね。魔弓をしっかり封じてもらわなきゃ」
魔剣を封じる時も、モニカちゃんに来てもらう時は一苦労だったから、今回も一筋縄ではいかないのかもしれない。
きっとまた、大勢の騎士さんたちを含めて護衛をしながら行く事になる気がする。
それに、まだ幼いモニカちゃんは、魔の力を封じる祭壇を自分で作る事が出来ないと言っていたので、おそらくポートガにあるであろう元の祭壇の場所まで魔弓を運ばなくちゃいけないはずだ。
ポートガも、農水路を作って欲しいと言われているし……やる事が沢山あり過ぎるかも。
「ふむ……アニエスよ。この魔弓の一件が片付いたら、少しのんびりしてみるか?」
「えっ!? というと?」
「いや、なに……少々アニエスが頑張り過ぎている様に見えたからな。我の生まれ故郷にでも行って、ゆっくり観光をしてみるのはどうかと思ってな」
「イナリの生まれ故郷!? 行ってみたい! やっぱり東方なの!?」
「うむ。東の果ての国なのだが、世の中を見て回った我とは違い、家に姉が残っているから、寝泊りする場所にも困らぬであろう」
「えぇぇぇっ!? イナリって、お姉さんが居たのっ!? 行くっ! 絶対に行くっ!」
男性なのに、こんなに綺麗なイナリのお姉さん……一体、どれ程の美人なのだろうか。
同性だけど、凄く気になる。気になり過ぎるっ!
まだ見ぬイナリの故郷の話を聞いている内に、アトロパテに到着し……今回はあっさりとモニカちゃんの所へ来る事が出来た。
前に来た時と違って、モニカちゃんも凄く元気そうで……って、元気過ぎない?
「お母様! 命の恩人であるアニエス様が、世界を守る為に来られたのです! それに応えない訳にはいきません!」
「し、しかしだな。モニカはまだ幼いし……」
「ですが、ゲーマの時も無事に務めを果たしました! 世界を危機から……」
「わかった! わかったが……今度こそ、妾も一緒に行くぞ? もうモニカと離れるのは嫌なのだ」
えーっと、モニカちゃんが元気になったものの、ヤルミラさんが子離れ出来ていない感じかな?
けど、これで無事にモニカちゃんが来てくれる事になった。
この一件が終わったら……次はイナリの故郷ね!
ふふっ、イナリのお姉さんに会うのも楽しみだし、どんな場所なのかが凄く気になる。
これからも、いろんな場所にいって、いろんな物を見て、いろんな人に会い、いろんな体験をしていこうっと!
「ふっ……アニエスよ。我はアニエスが何処へ行こうとも、約束通りついていくからな? 旨い食事を頼むぞ」
「えっ!? イナリ……もしかして、私の心を読んだの!?」
「いや、表情を見ればわかる。我も、まだ食べた事のない、世界中の旨い物を食べるのだ」
……イナリがお姉さんと違って、世界を見て回ったのって、もしかして食べ物のためなの!?
いやまぁ、私もいろんな場所を見て回りたいから、理由は何でも良いけどね。
これからもよろしくね。イナリ。
了
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ユウキさん
ご感想ありがとうございます。
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ユウキさん
ご感想ありがとうございます。
おぉぅ……やらかしましたね。。。
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ほろ酔いスズメさん
ご感想ありがとうございます。
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お読みいただき、ありがとうございました。