日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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14.蒼き時代の幕開け

約束の旗

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1942年(昭和17年)10月2日
東京・迎賓館赤坂離宮

外は秋晴れの空。澄んだ風が、庭園に翻る2つの旗を静かに揺らしていた。
ひとつは日章旗。もうひとつは星条旗。
その中央で、蒼月レイは重厚な調印台に向かい、ペンを取った。

隣にはアメリカ臨時特命全権大使・ウィリアム・スチュアート。
数日前に極秘裏に来日し、関係者との熾烈な交渉を経て、ついにこの日を迎えていた。

「──よって、日米相互防衛及び経済協力条約を、ここに正式締結する」

その言葉に、室内の閣僚や軍将校たちが静かに頷いた。

「この条約は、“軍事的攻撃に対する共同防衛”をうたうだけではありません。
未来のアジア、未来の経済、未来の秩序。
そのすべてを、“同じ旗のもとで築いていく”という意志の表明です」

レイの言葉に、スチュアートは微笑みながら応えた。

「米国は、日本を過去の敵ではなく、未来の友として迎える用意がある。
だが、それは“恐怖”に屈してではなく、“信頼”に応えてだ」

調印の瞬間、シャッター音が一斉に鳴り響いた。



同日夜・帝国大学 医療研究棟

「これで、三国同盟の呪縛は断ち切れた」

近衛文麿が病室を訪れ、レイに語った。

「ドイツとイタリアからの抗議は避けられまい。だが、もはや日本は彼らの従属国ではない。
“自らの意志で未来を選ぶ国”として、世界に再定義された」

レイは頷きながら、書類の束を机に広げていた。

「これが、“協力後の10年計画”です。
日本とアメリカが共同で東アジアに産業インフラを整備し、現地に雇用と教育を提供する構想」

「軍事だけじゃない、“民の心”を掴むんだな」

「はい。“信頼される帝国”こそが、僕の目指す“理想国家”です」



その頃・ベルリン・総統官邸

「奴らが……手を結んだだと……!?」

ヒトラーは椅子を蹴り上げ、狂ったように吠えた。

「ドイツは孤立するぞ!」という側近の声に、彼は震える声で返す。

「世界の中心は我々だ! 東の少年風情が秩序を作るなど──」

だがその叫びは、すでに“終わった帝国”の残響にすぎなかった。



10月3日・ラジオ全国中継放送
「国民の皆さまへ」

ラジオから、静かに蒼月レイの声が流れ始める。

「今夜、私はひとつの“誓い”を皆さまに伝えます」

「我々は、戦って世界に認められるのではありません。
“信頼される”ことで、世界の中心に立つのです」

「この国は、ようやく“同盟”という言葉の意味を学びました。
それは、利用するためでも、従うためでもなく――“ともに在る”という決意のことです」

その言葉の終わりとともに、遠く赤坂から一陣の風が吹き抜けた。

翻る二つの旗は、やがて同じ方向を向いていた。
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