女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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お早い帰宅で

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 鉄の鋳型ごとクリープしてるので重さは感じなくなったが、確実に行きの三倍は重いと思う。カバンを地面に降ろしたらカバンが壊れてしまいそうなので買い物も出来やしない。
そんな訳で買い食いも出来ぬままに大人しく帰宅した。

「カケル様、お早いお帰りですね」

お迎え一番乗りはテイカ。

「大荷物を押し付けられて買い食いも出来なかったよ」

「浮気はダメ」

「昼飯の話だよ。飯作ってくれ」

売春なんぞしなくても良い女なら此処に居るんだよ。イゼッタを抱き締めて頭に頬擦りしてやった。

帰宅してから気付いたが、炉が無い。柄杓も、かき棒も。ついでに作業小屋も無い。天を仰いで息を吐いた。

「どうしたご主人様」

「鋳物の型を手に入れたが、鉄を溶かす施設と道具を用意せねばならん」

「溶かすだけなら魔法で良いと思うが?」

「溶けたのが跳ねたら大火傷するぞ」

「態々そんな重い物貰って来なくても、武器屋の施設を使わせて貰えば良かったのでは?」

「うわー」

後悔に天を仰いだ。

「あまり責めてはいけませんよ?」

甘いお茶を持って来たリアが横に座って慰めてくれる。
嘆いていても始まらないのでとにかく炉を作る事にした。
炉を試作としてオーブンが作れればソーサーを作るのも捗るだろうし料理の幅も増えるからな。

イゼッタとテイカが昼飯を運んでくれたので、炉等を作る事を説明しながら遅い昼飯にありついた。

「先にオーブン」

「難易度的にイゼッタ様に同意します」

まあそうなるわな、炉の方が温度も高い訳だし。

 明日からは煉瓦作りと言う事で、昼飯の後は粘土探しをする事にした。
しかし島には良い粘土は無いようで、陸に向かって飛んで行く。いい加減スコップを使いたい。
陸地に着き、海岸の壁面に粘土岩が剥き出しているのを見付けた。
これは俺じゃダメだな。砕いて粉にして練らなきゃならん。買った方がマシと結論付けて、蜻蛉返りした。

帰宅して、夕飯を食べながらそんな話をしていると、もうオーブン買った方がって話になり、鋳型も返しちゃえって事になった。
明日は皆で街に家財道具を見に行こう。


 朝になり、朝食を食べた俺達は荷車に荷物を積んでいる。
返す予定の金型に、食べきれない燻製、そして使い切れないナイフと調べてない装飾品だ。肩掛けカバンにそれぞれ入れて、買い出し用に背負いカバンも積み込んで、全員乗ったら出発だ。

「竈も載せるのか?」

「お茶の時間は必要です」

竈と食器、毛布を更に載せ、陸に向けて飛び上がった。

「移動用の食器と毛布も買おうか」

「お出掛けセットですね」

「食器なら作れる」

「何を買うかは任せるよ。ついでに俺の服と下着も頼む」

「承った」「承りました」

上空千ハーンの海上を普段より余裕を持って飛んでいると、小鳥の群れに襲われた。主に糞害だが。
掌サイズの可愛い奴が荷車の上にびっしり鮨詰めになって無賃乗車で休憩してる。
乗り損ねた奴は上から折り重なって端のを落とす。休憩も命懸けだな。

「追い払いますか?」

「可愛いので許す」

「許すのは良いが迂闊に触るなよ?病気になるかも知れんからな」

  「鳥熱ですね。よくご存知で」
「簡単に治せるなら良いが罹らないに越した事は無い」

「私の時は大変苦しい思いをしました」

「リアは経験者か」

「ほんの子供の頃の事ですが、頂き物の小鳥に…」

「小鳥に罪無し」

「やんごとない身分だとあるのか?」

「ご主人様、そうだ」

「女性二位でしたし、当時は子供でしたからね」

「それ以上は聞いてはいけない気がする」

「それが良い」

「皆様、お茶にでもしましょうか?」

テイカが話を切り、イゼッタが水を出し、リアが炎で湯を沸かす。薪を積んでないのはこう言う事だったのか。

「炎の調節上手くなったな」

「お役に立てて何よりですわ」

「カケルー」

「イゼッタも上手だよ」

お強請りさんめ、撫でてくれる!


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