女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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おもちゃを待つ子供

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 帰りしな、食べようとして来た鳥を返り討ちにして島に戻るとテイカが出迎えてくれた。

「お二人共おかえりなさい。新しい女性はどちらですか?」

「これが雌ならコイツだ」

デカいもも肉を嬉しげに抱き締めてキッチンに消えて行くテイカ。メイド達も居たようで慌ただしくなった。

「カケル様、イゼッタさんもおかえりなさいませ。今お茶をお持ちしますね」

「ただいまリア。お構いなく」

疲れて船を漕いでるイゼッタをソファーに寝かせ、荷物と装備を外して反対側に座る頃にはお茶の用意が出来ていた。

「イゼッタさん、だいぶお疲れの様ですが如何されたのですか?」

「殺そうと思ってぶちのめした馬鹿を回復する羽目になっただけだよ」

「お怒りを納めて下さいな。私の乳房吸われますか?」

「否、お茶したらまた出掛けるよ。ミスリル拾って来なけりゃならんし」

残念そうなリアを放置して、お茶を飲み干し採取の準備をする。背負いカバンに袋を入れて、岩山へ飛んだ。

 岩山に着いた俺はキラキラしたミスリル鉱石を拾いながらイライラを募らせていた。
キラキラしてない石ころを拾い、少し大きい岩に向けて大きく振りかぶった。

ガツッと重い衝撃音と共に石ころが弾ける。しかし気もそぞろな投では体がしっくり来ない。納得行くまで投げたくなる。

キラキラを拾って袋に入れる。
石ころを拾って岩にぶつける。
キラキラを拾って袋に入れる。
石ころを拾って岩にぶつける。

偶に間違えてキラキラを投げたりして集中力の無さを晒すも、一ナリ袋を十たい分詰め切った。
一息吐いて最後の投球。この石を投げたら俺、袋を担いで帰るんだ…。
シルケで鍛えた肉体と、女神に貰ったギフトの力で石ころは弾丸に変わる。
手に持つ石だけ高速で逃がすと目標だった岩を砕いて石ころも消えた。
単発だし残弾制だが中々強くなったもんだ。
これ以上の威力を出すのは石ころじゃ無理だろう。材料はあるし、鉄球作れるようになりたいな。

 背負いカバンに採集品を詰め込んで家に帰るとイゼッタは既に起きていて、夕飯の支度を手伝って居た。

「おかえりー」

「ただいまー」

「回復できたか?」

「ぼちぼち。ご飯食べて寝れば問題無い」

それでも魔力は足りないようで、夕飯を食べて風呂に入ったら直ぐに寝てしまった。
俺はリアのおっぱいをたっぷり独り占めにして寝た。


 翌日はナイフの注文だけなので一人で街に来た。当然皆着いて来ようとしたが、特に買うものも無いので諦めてもらった。

「また嫁が増える…ぐぬぬ…」

増やさないよ?

「偶には私も連れて行って下さいまし」

次は皆で行こうな。
後ろ髪を引かれ過ぎて禿げてしまいそうだよ。

寄り道しないで真っ直ぐ武器屋に向かうと、店の門前で親父が待っていた。

「待ってたぞ小僧」

「おもちゃを待つ子供じゃあるまいに…」

「ガキの頃からハンマーが遊び相手だったわ」

突然のぼっちカミングアウトだが、娯楽の少ないシルケじゃ仕方ない。店内のカウンターで荷物を渡すと、驚き混じりの気持ち悪い笑顔で石を選別しだした。

「なんつーか、お前ぇ、こりゃあ凄ぇな」

「重いから良いのを拾って来たつもりだ」

「正解だ。屑石じゃ無駄な労力だからな。それにしても良い石だぜ」

「納期は設けないので良い物を頼むよ」

「任せろ!久々の純ミスに腕が鳴るわ」

じゅんみす…、純粋なミスリル?インゴットをそのまま叩き上げる意味なのか?それとも石の種類が純ミスなのか?専門用語は判らん。

「そうだ、投擲用の鉄球ってある?」

「無い。漁師用の錘ならあるがな」

海の街ならではな感じ。鉛製で形は丸いが紐を通す針金の輪っかが付いている。
一つ投げ寄越して来た!投げるな!
大きさは各種あるようだがこれは四ドンくらいの大きさだ。普通に投げても当たれば死ぬ可能性がある。
値段は手頃だが金を投げると思うとやはり躊躇ってしまう。

「無くすのが惜しい顔だな」

「職人の手間を捨てるような真似はしたくないんだ」

思っても無い事言ってるけどそんな嫌そうな顔するなよ。苦虫を噛み潰したような笑みで嫌味を切り返して来た。

「お前ぇの集めてる屑鉄でも投げたらどうだ」

「売る程あるけどせめて丸くしたいんだ」

「溶かして型に流せば良い」

「鋳型かー。職人じゃないから型が作れんよ」

「型ならくれてやるぞ?俺はもう使わんからな」

「何だ?商売辞めるのか?」

「死ぬまで辞めんぞ!弟子の店に全部任せてるだけだ」

工房にミスリル鉱石を仕舞い込み、代わりに鉄の塊を持って来た。行きより重くないかそれ?
鉄の鋳型を押し付けられて店を追い出されてしまった。

本当に帰るしかない。
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