女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 時間は夕方。リアに起こされイゼッタを起こし、身なりを整え二度寝するイゼッタを起こし、涎を拭って宿を出る。
とは言え出たのは俺とイゼッタの二人だけ、残った子等はお留守番だ。山へ向かう門から外に出ると他にも夕方発の冒険者が居て、四~五人のパーティーが幾つか結託して茂みの中をガサガサと、列を成して歩いてる。
俺達は大きく横から回り込み、飛ぶ。おんぶと抱っこを聞いたらおんぶだった。俺のマントに潜り込む様子を見るに、寝る気だな?

「カケル、あったかい、だいすきー」

煽てられて張り切っちゃう俺チョロい。流れ星のような速度でナーバーグまで飛び切った。

「着いたぞ?」

「カケル、もっとゆっくり~」

ぎゅーっと抱き着き背中に頬擦りするイゼッタ。もしや涎を拭いてはおるまいな?
街の上から教会を探して裏口に降りようとした所で二階に居る女と目が合った。

「ども」

「どうも…」

裏口から食堂に通してもらい…、イゼッタを引き摺り降ろす。

「あなた、イゼッタ?」

「ん、せんせ。久しぶり」

「イゼッタなのね!?正しい言葉を使いなさい」

説教が始まった。

~二時間後~

「先生とやら、そろそろ良いか?長居が過ぎると困るんだ」

「あら、私とした事がお客様にお茶も出さず申し訳ありません。私は当教会の司祭をしておりますナンシーと申します。それで、私に御用ですか?」

「避妊魔法の解除をお願いしたいじょせいがさんにんおります。なにとゾゴジョリョクタママラタツ…」

イゼッタが壊れちゃうので元に戻ってもらおう。なでなでなでなで。

「とは言え此処に連れて来る訳にはいかない。使う道具があれば纏めて街を出たい」

「私は街を出る訳には参りません。街を出るお金があれば貧しき人々を救いたいのです」

「大丈夫、カケルは飛べる。私も飛べる」

「どうも、カケルだ。俺が飛べる事は秘密で頼む」

「あれは空を飛んでおりましたのですね、何かのトリックかと思いました」

「見て、せんせ」

イゼッタが風魔法でふわりと浮いて見せると目を見開き両手で口を覆うナンシー。

「まるで女神様のようです」

「女神はもっと背が高い」

スタイルが良い事は黙っとく。今不在なのも言う訳にはいかない。

「カケル様と申しましたか。言葉遣いは粗野ですが、女神様の事をよく勉強なさっておいでですのね」

「冒険者はこうじゃないとダメらしい」

「ダメらしい」

「貴女はちゃんとなさい」

「魔法の解除にどれだけの時間が掛かる?夜の内に終わるなら寝不足になる程度で済むと思うが」

イゼッタに睨みを利かすナンシーをスルーして言葉を続ける。

「解除自体はさして時間は掛かりません。三人でしたら寝不足の心配もございませんよ。ただ…」

「金なら任せろ。成金なんだ」

ギルドで降ろした金貨では無く、袋たっぷりの小銭をテーブルに乗せた。何処から出したか?これもスキルで、逃げてないと出せない《収納》だ。袋から零れ落ちた銅貨と銀貨に残念そうに喜ぶ。

「いきなり金回りが良くなると怪しまれるからな。一食分にはなるだろ?」

「充分でございます。このご恩、一生忘れる事は無いでしょう。さあ、解除に向かいましょう」

カバンに何やら詰め込んで、サッと支度を終えたナンシーをおんぶしてマントを羽織る。
イゼッタを前に抱いてゆっくり空に上がると背後からの圧力が増す。おばちゃんにしてはありますな。

「少しだけ口を閉じてろ」

「ん゛ー!」

高度千ハーンへ一気に上がり、エディアルタへひとっ飛び。宿屋の裏手に急降下したら、窓から部屋に帰宅した。

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