245 / 1,519
悪い魔法使い
しおりを挟む食べかけの芋を持ち帰り、家に着いたのは午後を少し過ぎていた。
「カケルから、甘い匂いがする」
イゼッタは匂いに敏感なのか、めざとに見つけてくんかくんかして来る。お土産の蒸し焼き芋と生芋を渡すともらった傍から齧り付いた。お行儀悪いぞ?
「加熱しないと食えないから注意な?」
龍三人は昼寝に行ったので、俺は作業を進めよう。滝壺に赴き粉にした粘土の半分を水に浸け、残りの半分と練り合わせる。全部出して驚いたが地面じゃ作業出来無い程の大量だ。空の上で練りながら移動して、尾根と新居の隙間に詰めて行く。平らに伸して圧して継ぎ足し、新居からミーネの家まで、尾根から土台までみっちり土を詰め切った。殺風景だし何か植えたいな。島を隅々《感知》して、食べられる実の成る低木と糖の実の木を見つけたので枝を切って来た。
「イゼッターイーゼーッター」
「なーあーにー?」
玄関から顔を出したイゼッタに植林した木を成長させてもらう。低木はモサモサに、糖の実の木は十ハーン程に伸びた。高過ぎると暗くなるので半分程で切断し、更に成長させて、脇芽をこんもりさせた。その内実も成る事だろう。
夕飯まで居間でゆっくり過ごす。テイカの報告に依ると、属性魔石作りは順調に夜なべ仕事に移行したと言う。
「魔石で思い出したけど、魔力が見えるようになったよ」
「ホント?見て見て」
膝に乗って後頭部をぐりぐりして来るイゼッタだが、俺から出てる魔力に包まれちゃってイゼッタのはよく分からない。対面に座るリアの魔力は体の表面に薄ら赤いのが薄く纏わり付いているのが分かった。リアやイゼッタでこうなので、俺の魔力が如何に垂れ流されているかが解る。賢者ノーノと目が合うと、注いだお茶をお盆に置いて、両手を此方に向けてくる。
「おお凄い。悪い魔法使いみたいだ」
両手から青いオーラをメラメラ出している。
「使う時だけ出す」
「魔力を体に留めとくイメージで良いのかな?」
「私達は逆なのですけれどね」
「カケルは特別」
因みに大人龍の二人は俺とは比べ物にならない濃い~い魔力を体の表面にグッと密集させて纏う。先日俺が吐き気を催したのはそれが漏れた奴だ。一方カラクレナイはふわーっとした魔力を常に垂れ流している。垂れ続けるから食事や吸収で魔力を補充しなければならないのだ。俺の顔をべろべろするのは好意では無く、唯魔力を吸収してるだけなのかも知れない。そう思うと悲しくなる。
「カケル様、どうでしょう?」
テイカが真顔でノーノと同じポーズをして来るが、残念でしたと言うしかない。
「テイカの技術は魔法を超えてるぞ?それに、俺の全力を受け止められる人はお前くらいだ」
「…えへ」
照れるテイカも可愛い。そして跳ね上がる魔力が三つ。これならイゼッタのも見えるな。イゼッタのは青っぽい緑。風魔法が強いからだろうな。
「所で、俺の魔力の色って紫色なんだが、どんな魔法に向いてんだ?土の魔法が欲しいのにそんな感じが全然しない」
「そう聞くと何か強そうだな」
「ご主人は強い。自覚を持て」
「スキルを使わねばそこらのおっさんにも負けると思うがな」
「そんな事は御座いませんよ。魔力を放出するだけで倒す事も出来うるのですから」
倒された身なので納得せざるを得ない。
「皆さん私の話をしてましたか?」
腹が減ったのか、リュネが起きて来た。
「俺の魔力が色だけならリュネのに似た色だなーって話をしてたんだ。どんな得意属性か解ったりする?」
「それは、私の血を飲んでいますから影響を受けたのかも知れませんね」
血…?いつの間に?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる