女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 龍を三匹引き連れて、やって来たのは粘土岩のある砂浜だ。粒子が細かく粘りもあるので埋め立てするのに丁度良さそうだと判断した。

「カケル、此処で何をするのだ?」

「土を取るんだ。俺のスキルは無から有を作れないから他から取って来るしか無いんだよ。皆は砂浜で休んでて良いからね」

カラクレナイが砂浜を見てキャッキャしてるので三人にはゆっくりしててもらおう。粘土岩の露出する崖下に降り立ち、転がってる小石を拾い、観察する。前回見た通りキメが細かいな。《散開》で粉にするとサラサラときな粉のような粉になった。海水を少しずつ加えながら練ると形成しやすそうな粘土になった。岩の観察を終えた所で採取だ。《伸縮》で柔らかくして長ーく伸ばしてやると粘土岩の部分だけが崖から離れ、空中で纏まって行く。量を見ないで《収納》したので粘土岩の地層を取り付くし、地盤沈下待った無しの状態になってしまった。

「カケルー、カラクレナイを洗ってくれ」

海水に濡れて砂に塗れたカラクレナイがピンクになって遊んでる。鳥の砂浴びみたいだ。

「カラクレナイ、体を洗うぞー」

「クェー」

抱き着かんと飛んで来るピンクドラゴンを華麗にスルーし《洗浄》してやると、キャッキャ言いながら再び砂浴びを始めるのであった。
遊び足りないみたいだし、食べ物でも拾って来よう。以前サミイと来た時に、取ろうと思って諦めた、地面の下にある食べられる植物が、スキルを使えば今なら取れる。《感知》で探して直ぐに見付けた太い蔓。此奴の根っこが加熱すると食えるらしい。大鉈で蔓を断ち切り土を《散開》させて引っこ抜くと、俺の身長を優に超える根茎が現れた。抱き着いて手が回らない程もある根茎が何十本も生えている。デカいキャッサバみたいだ。リュネに頼んで焼き芋にしてもらおう。
砂浜に戻ると皆木陰で休んでた。

「ただいまー」

「おかえりなさい、それは何です?」

「加熱すると食べられるんだってさ。ちょっと洗ってみるから程良く焼いてくれないかな?」

「上手く焼けたらご褒美下さいね」

一本を切り出して《洗浄》したら、さっき取った粘土で包み、硬くする。

「多分三十分くらいで焼けると思うんだが」

「三十…ぷん?」

シルケに来て何日経ったか。漸く地球とシルケの時間の単位が同期した。
一秒はピル、一分はリット。以前イゼッタに聞いた一オコンは一時間となった。三十分は三十リットだ。説明を受けながらじっくり直火で満遍無く焼いてもらい三十リット。焼けてカチカチになった粘土を叩き壊すと、中から湯気を立てて現れるキャッサバもどき。大鉈で切ると芯までねっとり火が入り、甘い芋の香りが広がった。

「キュー!」

「焼けたから食ってみようぜ」

抱き着いて来た砂塗れカラクレナイに小さく切った芋を見せてやると大きな口を広げて催促してくる。熱いからふーふーしてからな。俺の手毎咥えられ、咀嚼される。芋の甘味に俺の塩気が合わさって、甘さを引き立てているに違いない。食われてない手で俺も食う。歯応え無く、ねっとりとして、香りは薩摩芋。味は甘味の薄い薩摩芋で見た目はキャッサバ。そのまま食うのも良いがマタル粉と練って団子にしても良さそうだ。

「カララちゃんいーですねー」

起きたのか。上目遣いであ~んして来るので小さく切って口元へ…。あれ目がこわい。

「熱いんですよ?ふーふーふーってして下さいっ!」

其方を御所望でしたか。美味しくな~れとふーふーふーってしてやった。リュネ、お喜び。

「カケル、あーん」

ふーふーして食べさせたよ。赤くなって照れてるミーネにギャップ萌えした。




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