女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ジョンくん

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 逃げてった猫ちゃんの代わりに席に着いた買取嬢に依頼の達成を確認してもらった。ケブは両耳、ウオルスは尻尾で出来れば全身が望ましい。ウオルスは丸で持って来たと言うと、前回同様奥に通される。序に鑑定して欲しい物があるので鑑定師のツルちゃんにもご同行頂いた。

「カケルさん、また狩り捲って来たのですか?」

「ウオルスは常識的な量だよ。ツルトガに鑑て貰いたいのはヤバ過ぎて彼処じゃ出せないからだ。下手すると死人が出る」

「そんなに貴重な物ですか…」

「毒だ」

「毒…ですか?」

「黒くて首と尻尾が長~くて、デカい鱗に覆われた翼の無いトカゲモドキが居てな。トカゲの癖に毒で瀕死になってたから、治して毒を回収して来たんだ。人なら即死するかもな」

「討伐したら良かったにょに」

「毒に汚染されてると素材としての価値が下がるじゃん?」

「それは確かに。毒を出すなら此処は辞めましょう。親父さん達に怒られてしまいます」

他の場所を確保して安全要員を集めて来るそうで、ツルちゃんは先に解体場を出て行った。
残った俺達も長居はせず、依頼品を出して検品等の手続きをしたら、買取カウンターへ戻り依頼分の金を振り込んでもらった。
で、待つ事暫し…とはならずかなり待たされた。日が落ちそうだったので女子二人は先に帰して更に待っていると、漸くツルちゃん帰って来た。

「すみません待たせてしまって」

「そっちも無理したんだろ?良いさ」

「助かります。では此方へ」

ツルちゃんに連れられて上の階へ。着いたのはギルマスの部屋だった。正面のに座ってる赤短髪マッチョが多分ギルマスで合ってる筈。
その横にローブの三人ジジジジババ、神官服のジジババヒョロメンの三人。この六人が安全要員なのだろう。そこに俺とツルちゃんと、お茶汲みの美人が居て総勢十人。これだけ入るとちょっと狭く感じるな。

「お前が厄介事を持って来たってカケルだな」

赤短髪マッチョは名乗りもせず机に胡座をかいて俺を睨め付ける。《威圧》でも掛けてるつもりか?

「そうだ。要らなきゃ森の奥にでも捨てて来ても良いが、森が枯れるかも知れん。水が飲めなくなる可能性もあるな」

「脅してんのか?」

「事実だ。トカゲモドキが瀕死になる程度の毒だぞ?逆に皆に聞きたいんだが、こんな毒、どうやってトカゲの体内に入ったんだ?冒険者が手負いにでもさせたのか?」

ローブジジイが挙手をするのをマッチョが目で許可を出す。

「お初にお目にかかる。ワシは魔法ギルドの顧問でデルトローと申す。先ずはその毒を見せてもらいたい。それと、ドラゴンの特徴を説明願おう」

革製の鞄から百cc程しか入らなそうな透明の薬瓶を出して来てテーブルの上に置いた。俺はお茶汲みの美人に声を掛け、窓を開けさせる。

「寒みいよ」

「ジョン殿、安全の為ですぞ?」

マッチョなジョンくん注意されてやんの。

「誰か、風を送って部屋の空気を外に押し出してくれないか?」

「ならワシが」

ローブのもう一人のジジイがむにゃむにゃと扇風機並の風を出してくれた。マントを羽織ったジョンくんを筆頭に皆を部屋の廊下側に退避させ、瓶の中に毒を出す。

「《収納》持ちかよ、金持ちコースめ」

「ジョンくん、俺は既に金持ちだよ」

心の声が口から出ちゃった。てへっ。薬瓶と蓋との隙間に水を垂らして密閉完了。わらわら集まるジジババヒョロメン。ツルちゃんも寄ってって早速鑑定しだしたよ。

「お前、俺に向かってくん付けだとぉ?」

「ギルマスになるにゃ若過ぎだ。まだ一線でやれるんだろ?」

「お前!俺の代わりに代われよ!!座ってばっかで尻が痛てぇんだよぉ!」

「俺の方が若い。仕事のやり方を工夫するんだな。後、尻が痛いのは痔だ。治してもらえ」

俺様最強くんがギルマスやるとこうなる。デスクワークなんて出来る訳無いのだ。


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