女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
338 / 1,519

目の所をグサーッ

しおりを挟む


 キリの良い数のノルマを達成し、樹冠の上に浮かせた土台の上でお昼のスープを作る俺。ワーリンは肉を焼く事が出来るそうだが、スープが出来るのをじっと待ってる。キュルケスは専ら食べる事に特化しているそうでワーリンの隣でじっと待ってる。
この国のスープはマタルをそのまま煮込んだぷりぷりでサラサラなスープなので、今日は少しだけ粉にしたのを混ぜてとろみをつけてやると、作った鍋が空になる程度には好評だった。

「お前ひゃん、ひたがあふい」

とろみを掻っ込むからだ。火傷した舌を治して使った物を回収したら、メインターゲットを探そう。《感知》を広範囲に広げて竜種を探す…、居た。

「ねえ。本当にドラゴン狩るの?って言うか狩れるの?」

「今の俺なら《威圧》で殺れる」

「オレは食われる自信しか無いな」

「私も同じく。今の俺ならって、以前はどんな手を使って狩ったの?」

「ブフリムっつー毛の無いケブみたいなのが持ってる臭いナイフで、こう、目の所をグサーッとな」

「ぎゃー」

トカゲの気分になったワーリンが目を押えて痛がってる。よしよし。

「所でさ、この土台、動いてるよね?」

「トカゲの所に向かってるぞ?落ちないように気を付けてくれ」

「前以て言っておくわ。私役に立てない」

「オレもー」

「特等席で見て行くが良い」

お茶を飲み飲み飛んで行く。雪深い、尖った森を暫く行くと、そこだけ木を切り雪かきをしたような、ぽっかり空いた空間に黒い塊が丸まってた。

「黒いのは初めて見るんだが、二人共、見た事は…無いよな?」

「「無い」わ」

黒い塊はゴツゴツしてデカい鱗を持つタイプのトカゲで翼は無い。釣りをする度俺を食う巨大魚と、首長竜を足したような感じに見える。大きさは丸まってて分かりにくいが魚より断然大きいな。

現在直上五十ハーン。普通、これだけ近付いたらブレスの一発くらい飛んで来て当たり前だ。改めて《感知》で見てみると、死に掛けてるみたい。更に診て、毒による衰弱と出た。ドラゴンを殺す毒って事は人なら即死か?とにかくこんなの狩っても食えないし危ないし、ダメだな。毒は身体中に回り、丈夫な肝臓も物言わぬ臓器になっている。
体表面に毒が無いのを確認して背中に降りる。腰の辺りに手を当てて、肝臓に向けて《治癒》を掛けながら《集結》で毒を直腸に集め、《収納》で回収した。

「グ、グル…」

「ギィギャー」

龍語だが、伝わったかは分からない。それでも動かずに大人しくしていたのは、動く気力が無いだけでは無いと思った。一言唸った後は、一瞥して目を伏せた。

「ふぅ、術式完了」

毒を全て《収納》し、回復した肝臓が機能すると、耐寒装備である鎧越しに体温が上がって行くのが分かる。湯気も出てるし、暫く寝てれば元気になるだろう。黒いのの腹から飛び上がり、浮いてる土台に上がっても、黒い奴は動く事が無かった。

「狩らなかったんだね」

何となく優しい目のワーリン。

「毒で死に掛けてたから治して来た」

「大丈夫なの?元気になって街に来たら大変よ?」

「その時は狩れば良い」

「敵として来たらねー」

「普通は惚れるわよね、ワーリンじゃ無くてもわかるわ」

「アレ、雌なの?」

「わからないわ。お礼に来ない事を祈りましょ」

トカゲ狩りは失敗だが、次の機会を待とう。戦利品が無い訳でも無いしな。街に戻ってギルドに入り、討伐依頼の俺達は買取カウンターへ直で向かう。朝対応した受付嬢が優しい目をしてる。畜生め。

「にゃ!お客さんまた来た!」

「カケルだ。何度でも来てやるぞー」

「にゃー!」

逃げてった。仕事を放ったらかしにして…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...