女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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特別なライガー

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 サブマスのアービン曰く、解体師の手配は済んだとの事。街の住民だけで無く、避難してる者からも、出来る者は総出で駆り出されるそうだ。只、直径三百ハーンもある結界をそのまま降ろすには場所が無いと言う。そこで、小分けにして降ろすか、街道に降ろすか。とにかく降ろし方を工夫して欲しいそうだ。
そして昨日俺が狩りをした場所には兵隊の一団が確認に出ていて、戻るには数日掛かるらしい。

「美味かった。礼を言う」

「冷めてて済まないな」

「本当に美味かったぞ、冒険者」「こんな肉食った事が無い」

「カケルとやら。これは魔物の肉だろう?何の肉なのか」

「トカゲだよ」

ギルマスに聞かれたので答えたが、皆ポカンとしてる。

「トカゲってな、レッサードラゴンの事だぜ?」

ジョンが解説してくれた。

「「「「「はあ!?」」」」」

これにはお偉方だけで無くマッチョと女達も声を揃えた。
マッチョと女達も食べたかったらしく、俺にも私にもと騒がしい。お偉方には団長から静かに箝口令が布かれた。それなりの立場にあってもおいそれと吹聴する訳には行かぬ食べ物であるようだ。門閥共が権力を傘に略奪せしめんとするような代物だしな。

「…特別美味いライガーであった。だな?」

「「はい!特別なライガーでした!」」

そう言う事にするそうだ。冒険者共には後で食わせる事になり、話を終えてギルドを出る。

「さあて、広い場所を何とかせんとなー」

「街の広場は避難民の仮設テントが並んでいる」

「街中では無理だろうな」

「ならば外を切り拓くかなぁ」

マッチョ達の意見を聞いて、外に出る。門前には待機する兵隊達が自由時間を満喫しているが、俺達を見るとヒソヒソ何やら言っていた。

「カケル、女好き、だって…」

見せ付けるように脇腹に取り付くウィキス。

「じゃあ私もー」

反対側にはシャン・ドワンが取り付いた。ざわざわがデカくなる。

「何故見せ付けるような事をするのですか?」

「仲間の、悪口…嫌だもん」「よねー」

「お前等仲良いな」

「作業するから離れておくれ。俺の力を見れば皆も納得するだろう」

ジョンが呆れてるので女達を離れさせ、ふわりと空に上がる。やはり空を飛ぶのは見慣れてないようで、兵隊達から響めきが起こる。
直径三百ハーンの《結界》の玉を作り、それをテンプレとして《収納》した。兵隊達が野次馬になって駆け寄り覗き込んでいるが、中には入るなよ?

「魔物を降ろすぞー。少し離れてくれー」

出来立ての凹みに空から丸いのが落ちて来る。自由落下じゃ時間が掛かるので速度増し増しだ。着地ギリギリでビタッと止めると、圧縮された空気がブワッと舞った。皆驚き過ぎだ。地面に降ろして《結界》を解くと、キラキラした氷を纏った獲物の死体が山になっていた。
このままだと移動もままならんので生えてる木を引っこ抜いて《収納》し、野獣等の横取りを防ぐ為、煉瓦の壁を獲物の周りにぐるりと生やした。

「こんなもんかな」

「規格外…」

そんな事をしていると、間を置かず、ギルドから人が飛び出して来た。門のすぐ側だし丸見えだもんな。皆解体場の職員だそうで、高そうな奴はプロが仕事するのだと。

「一人一体!安モンにゃ目もくれんな!気張れよーっ!」

「「「おおー!」」」

二十人程でやって来て、ピストン輸送でギルドへと運んで行く。《身体強化》でも使ってるのか、デカいライガー種も一人で抱えて運んでる。兵隊達は輸送する職員の周りを護衛してる。まるで蟻のようだな。

「お、荷車が来たぜ」

働き蟻みたいな動きを暫く見ていると、街の中からガラガラと、車輪を鳴らして荷車を曳いたゾーイが何頭も連れられて来るのをジョンが指差す。荷車に獲物を満載したゾーイ車が十五台、ブフブフ言って巣に戻る。それでも山は丘にはならなかった。

「カケルよう、一先ず俺達の仕事は終わりだが、俺等の街に戻るか?」

後はこの街の仕事だそうだ。
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