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指名依頼
しおりを挟む「ジョンの家、いくの?」
何となくだが面倒そうに聞こえるネーヴェを抱えてあやしてやる。
「持って来いとも言えんだろ。お土産買う序に見てやろうぜ」
「ん。お土産買うー」
仕事中だが俺の予定を優先し、中抜けするジョンの後を付いて行く。北通りの直ぐ東側にある、少し大きめの家屋がジョンの家だそうだ。
「庭付一戸建てとはな。コツコツ貯めてやがったか」
「賜りモンだ。土地に縛り付ける為にな。寝室以外は好きに見て良いぞ」
そんな事言うと気になるじゃないか。だが、野郎の寝室なんてろくなモンじゃ無いのが世の常。そっとしておこう。ジョンが開けた玄関の中を覗き見てゾッとした。
「ジョンくんや、よくコレで盗みに入られんな」
「目の前が貴族街だかんな」
部屋一杯にダンジョン産と思しき武器や装備が積まれてた。魔剣魔装も転がってるぞ。積まれた武具の谷間に出来た細道を通ってソファーに辿り着くジョン。俺達の席は無さそうだ。
「他の部屋もこうなのか?」
「まぁな。寝室以外は荷物置き場だ」
「じゃあ寝室には何があるんだよ…」
「ベッドにランタン。後テーブルがあるな」
使う所だけ片付けるタイプか。とにかくこれでは座る事もまままならんのでガラクタ共を《収納》した。
「ゴミも放置か!」
《洗浄》《洗浄》《洗浄》!
部屋を三回《洗浄》し、ピカピカの部屋にしてやったぜ。
「ひろくなった」
何と言う事でしょう。足の踏み場も無かったガラクタだらけの玄関部屋が、ソファーとローテーブルのある部屋に様変わりしました。埃に塗れていた床、そして壁が輝きを取り戻し、部屋も明るくなったように感じられます。
「ジョン、どうすんだこれ。売るか?」
「買い手は軍だろ?今は売れねぇよ」
「なら他国にでも売るか?別大陸だが」
「魔剣も売れんのか?」
「それは無理だ。俺なんて持ってたガラクタダンジョンに置いて来たぜ?」
「…魔剣をガラクタ呼ばわりすんの、お前くらいのモンだぜ」
売れないし身に着けて歩けない装備なんてゴミと変わらん。取り敢えず魔具はゴミとして処分し、実用品は売って金にすると言う話で依頼を受けた。久しぶりの指名依頼である。
「依頼状は後で渡す。依頼料は期待すんなよ?」
「貢献度マシマシで頼むわ」
ジョンの家から離れ、お土産を買って帰る。お茶や香辛料等、こっちの特産品を買い漁って島に戻った。
「おかえりなさいませ、カケル様、ネーヴェ様」
「おみやげある」
「…取引に応じます。そろそろお昼ですので食堂へどうぞ」
取引に応じられなかったら俺は何かされてしまったのだろうか。食堂に向かうと、女達が昼食の支度に追われていた。お土産は部屋の隅にでも纏めて置いておこう。ラビアンの耳だけが此方を向いていて少し怖い。
「飯食ったら街に行って来るよ」
「それならわたしも行きます!」
「買い物がありますので同行するぞ」
サミイとフラノノが同行するようだ。
「カララも!ママ、良いでしょ?」
「サミイから離れるな。…守れるな?」
「分かったの!」
人型カラクレナイも来るのか。食休みを挟んでバルタリンドへ。今回は直通でカロ邸に来た。で、此処は主寝室。カロの部屋だ。部屋を出て階段を降りて行くと、気配を察したアルネスが走って来た。
「カッ、カケル様でしたか。それにカラクレナイ様もようこそ。サミイ様も暫くでございます。フラーラさんにノーノさんはお変わりありませんか?」
挨拶が長い。カロと我が子がお仕事なのを確認し、カロ邸を後にした。
「旦那さま?家に着いた方が早くないですか?」
「こっちの方が市場に近いからな。帰りはママ上殿の所から帰ると良い」
「ご配慮痛み入る」
特に考えがあった訳じゃ無い。ママ上殿の所に何度もお邪魔するのが申し訳ないなーっと思っただけなのだ。
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