953 / 1,519
コレだから人の子は
しおりを挟む「へえ、人の子はこんなのに入るのね」
施行から完成までじっくり見てたプリキオーネが高い位置から物を言う。
「龍もきっと嵌るよ。家の女達は皆毎日入ってるし」
「そう。興味は無いけど一度は体験しなくては龍の名折れよね」
その割には浴槽に指を突っ込み、お湯の温度を確認してる。まだ水だぞ?人の子達は家に入って何かしてるみたい。…鎧脱いで寝てるわ。俺も服になるか…。
「あら?良いの?無防備な姿なんて晒して」
鎧の上だけ《収納》し、布の服に着替えていると、プリキオーネが煽って来る。
「海竜の皮に穴開けられたら凡そ何着ても意味が無い。だろ?」
「うふ、そうね」
この女、力を認められるのが嬉しいようだ。それにコミュニケーションの無い場所に暮らしてるだけあって話をしたくてしょうが無い様子。人の事言えんが田舎者あるあるだ。風呂が沸くまで家の中でイチャイチャしたかったが、大家を蔑ろには出来んので外作業の傍ら、会話に付き合っておく。
「貴方の知り合いってあの三方だけなのかしら?」
「ミーネとリュネの間にもう一人姉妹が居るよ。それとミーネの娘。離れて住んでるけどママ様…アーバンジェリ様が居て、親子の契りを結んでるから、その子供は弟になるね。ネーヴェはこの間見たと思うが、他にも血筋の違う雄が一人居るよ」
「私より知り合い多いじゃないの」
「巡り合わせに恵まれただけだよ。家族単位で言えば一家族と二匹だし」
便座を作り、壁で三方囲って入口は雑木紙で目隠しにする。ドア付けるの面倒だしこれで良いよね。
「それは?」
「人は排泄しないと死んでしまうんだ」
「それは難儀な生き物ね。此処のは誰も排泄しないわ」
「魔力で生み出されたからかな」
浄化の魔石を汚れなそうな場所に貼り付けてトイレの完成。
「で?どうやって使うのかしら」
「ズボンを脱いだりスカートを捲ったりして此処に座って…って感じだね。致し終わったら尻とかを葉っぱで拭いたりするんだけど、コレは魔石が浄化してくれるので手間要らずだ」
「ふぅん…。して見せなさいよ」
「まだ出ないねぇ」
「何故なのよ」
「食べ物を食べて、時間が経たないと消化が終わらないから、だな」
「難儀な生き物ね」
「そうだな。肉何かは一度火を通さないと食べられないし、味や香りを付けないと直ぐに食べ飽きてしまう」
「火を通す?焼くの?はぁ、コレだから人の子は…」
「ミーネとリュネの間の姉妹にも似たような事言われたよ」
「ふぅん、なら私も食べてみるわ。焼きなさい肉を」
うんこの話から食事の話になるとは。どうせ食べるし、ならばと竈を作る。土台に火の鉄板を置くスペースを二つ確保し、威圧工法で上から横まで包み込んだら鍋の乗る穴を開けて固めて完成。熱源までが近いから火の通りが早そうだ。
大鍋と焼き鍋を竈に乗せて、大鍋には水と塩、焼き鍋にはラードを乗せて魔力を通す。
「白いのが溶けているわ」
「獣から取れた脂だよ」
「見た事無いわね。そっちのはお湯よね?飲むのかしら」
骨皮構わず生でバリバリ食ってたら見る事は無いだろうな。お湯はまあ、飲んでも良いが今回はちょっと違うのだ。
肉を出すと、じゅるりと肉食の音がする。背後から、そして家の引き戸の隙間から。此処に来ると決まってから用意したこの肉は、トカゲの背肉。人で言う所の広背筋の辺り、牛で言う所のリブロースかサーロインかって所だ。生のままをステーキ一枚分、残りを二つに分けて使う。
「あ…」
名残惜しいか。もう少し待つのだ。塊の一つに粉末状にしたスパイスを塗し、浮かせて放置。背後でゾワゾワとした気配を漂わせる食いしん坊にヒヤヒヤしながらもう一つの塊を加工する。此方はマタル粉をたっぷりと塗し、グツグツと茹だる湯の中へ投入し、火を落とす。余熱で充分だからな。
さて、スパイスを塗した方の肉に手を付ける。放っとくと本当に食べられちゃいそうだからだ。たっぷりの塩に、ヤモリの卵を混ぜて纏まりのある塩にすると、極薄い雑木紙で肉を包み、更に塩で包んだ。そしてソイツを火の鉄板を一つ取り除いた竈の中へ。そう、塩釜だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜
くまみ
ファンタジー
前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?
「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる