女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 ギミックは型取りを面倒にするが、安全には替えられない。本体のヒンジ側を十ドン四方で切り取って、奥面と底面にL字に奥面五×五、底面五×六ドンで切込みを入れた。そこに、五×五×十、五×六×十ドンの角材を用意し、前者の端を斜めに切り取って、反対側の端には摘める突起を作った。
切り取った部品を本体に仮止めでセットし、蓋をL字底面の角材を差し込み蓋をして、最後にL字奥面の角材を差す。角材は少し緩い程度で良いだろう。
蓋を開けると上に差してある角材が落ち、L字底面の角材が飛び出す。蓋を閉めようとしてもL字奥面の角材に当たって閉まらない。L字奥面の角材を摘んで引っ張るとL字底面の角材は本体に収まった。
手間は掛かるが成功だ。最後にストッパー基部と本体を手直し。ストッパー基部は真四角なので左右二ヶ所を凸らせて、本体は凹ませた。梃子の原理で外れちゃうけど、これ以上は形を三分割せにゃならん。此処は楔を打つか、ブラックボックスとして組み上げた時に癒着するしか無さそうだ。


「カケルゥ、出来たの?」

「ああ。量産し易く作り直したよ」

「…動いてい?」

「もうちょっと作業するからそっとね?」

「ん…。んぁ、きもちい…」

じっと我慢の子であった、カラクレナイが動き出す。我慢出来無くなる前に、型を作ってしまわねば。
シャバシャバな泥水のように柔らかい煉瓦でバラしたパーツを包み込んで軽く固め、取り出し部をキレイに均して凹みを付ける。これが無いとズレちゃうからね。しっかり固めて凹型が出来たら凸型となるシャバ煉瓦を流し込んで固め、外側をキレイに整えて型完成。浮かせて作るから型枠要らずで楽チンぽんだ。

しかし、型から取り外そうとして本体が取り出せなかった。凸型を《伸縮》させて取り外し、それに気付く。ドラム内部の突起が干渉して居たのだ。俺、やっちまったな。
泣く泣く突起を取り除き、凸型を作り直して完成した。

「カケルっ、カケルっ、しゅきっ、しゅきぃ~」

泣く暇等無かった。カラクレナイの慎ましい突起に吸い付いて、腰を振り振り型を増産した。


 一日ペニスケとなる予定であったカラクレナイは、昼前には限界を迎えてお股をモジモジ、飯が出来るのを待っている。

「あらあら。カララちゃんはお疲れなのね」

「満足したの」

飯の手伝いに来たリュネがカラクレナイを労って、厨房に向かうのを止めた。

「リュネ~、ちょっと聞きたいんだけど」

「何ですかぁ?午後は私にします?」

「それはそれで…、否、洗濯機の機構についてなんだけどね」

「人の子だけで作りたいのでしょ?分かってます」

「察しが良くて助かるよ。何時までもリュネにおんぶに抱っこしてたいけど、これはこれだからね」

「後で乗ってくださぁい。で、それはそれ。魔石の風魔法をトルネードにすれば私の付けた機構は要りませんよ。加減を覚えればイゼッタさんとリアさんの二人でも作れます」

「何かごめんな、折角手伝ってくれたのに」

「ふふっ、私達の技術は人の子には真似出来ませんからね」

昼食後、お弁当を作ってもらい、リュネに滅茶苦茶乗った。外出的な意味で。
龍の姿に戻る訳にはいかないので、人の姿でおぶさって、特に行く宛も無い空の散歩であったが、リュネはブレスを吐いて上機嫌であった。

『うふっ、うふふふふっ、あはっ』

始終この調子で龍語で笑ってる。熱いので《結界》二重に纏って何とか耐えられる状態だ。

「リュネェ~、熱いよぉ~」

『偶には発散しないといけないので…何か来ますね。龍です。気を付けて』

気を付けろって事は知らない龍か。《結界》を限界迄《纏う》。ガチで殺り合ったら俺死ぬからな。リュネの背に隠れ、島から離れる事暫し、俺にも感じられる程の魔力が視界の外から向かって来ているのが分かった。

「アッチだな?」

「ええ。上手く避けてくださいね」

「《収納》をか?無理じゃね?」

「来ましたよ」

その瞬間、《逃げる》が反応するも、俺は闇に囚われた。
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