女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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育ちが良さそう

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 朝のお勤めをして出発。お手頃価格達は即座に寝に入る。俺も《感知》を張り巡らせて、目を閉じた。
暫く行くと、前方三キロに敵影三十一…多いな。ブフリムにゴーラなら此奴等でも殺れるだろうが…。

「速度そのまま、移動を続けていてくれ」

「は?はあ」

馭者に告げて外に出た。飛んで向かうは五号車だ。

「グリオ、ムード、前方に敵!何者か襲われてる!」

「何!?」「カケル、本当か?」

「三キロ正面。行くか?」

「行かないわよ」

俺の提案に三号車から否定意見が出る。身を乗り出したヘンプシャーだ。

「面倒事は起こさないでって言ったわよね?」

「被害者が金のある者なら緊急の護衛依頼になるかも知れんし、野盗ならそのまま討伐して直ぐに帰れるんだぞ?それでもやらんのか?」

「だったら貴方だけで行きなさいよ」

「否、俺は行く。回復は要るだろうしな」

「ならば俺もだ。貴族であれば何故助けなかったのかと咎を受け兼ねん」

四五六号車を加速させ、一二三号車を追い越させる。ディワダとダミヤンにも行動理由を告げると同行すると言ったが、三号車だけ残すのはイカンので残ってもらった。

 ホルストを浮かせて粗飛んで行く。馭者達は縮こまり、速度の恐怖を耐えている。車内の者は皆起きて、得物の準備に余念無く、何時でも出られる体勢だ。俺は四号車と並んで飛び、ムームードと意思疎通を図る。

「見えた。先行するぞ」

「分かった」

 飛び出して、敵に《結界》を纏わせる。少し多いがゴーラ程度なら多少薄くても割れる事は無いだろう。動けなくなった敵を蹴り倒し、倒れた人の傍に着地した。

「勝手に助けに入った」

「あが、だすかっだ…」

腹から血を流して助かったも糞も無い。《治癒》を施し傷を塞ぐ。トリアージの優先順に三人を回復し、後続が到着した。

「待たせた!皆、敵を押し出せ!」

「「「おおお!」」」

「俺達は怪我人の確保だ!急げ急げっ」

「「「おおっ!」」」

「俺達も五組に続くぞ」

「「「っしゃあっ!」」」

伝えては居なかったが、弥一は分かっているな。倒れた人を二人掛かりで移動させ、移動させられない者は覚えたての光魔法で応急処置して運んでる。

「弥一、代わるぞ」

「おうっ、皆次だ!」

怪我人を一ヶ所に運び終え、死んだホルストを客車から外す。そして少ないが出てしまった死者をその横へ。

「ムード、少しずつ《結界》を解く。皆を使ってくれ」

「《結界》だったのか!?とっ、取り敢えず皆集まれ!弔い合戦だ!」

「「「うおおおーっ!」」」

怪我人の治療は俺と弥一とグリオーソが受け持ち、残りは討伐に当たってもらった。群れると危険なブフリムにゴーラも多勢に無勢にゃ敵わない。治療が終わる前に全ての敵を殺り切っていた。

「ムード、悪いが客車の中を。この中で一番育ちが良さそうだからな」

「そうだな。此処は矢面に立とう」

付き添い二人が手を離せないのもあるが、客車の横に紋章が付いている。怪我した者等もそれなりの鎧や衣服を身に着けて、凡そ下っ端が話して良い相手では無い事が予想出来る。

「遅くなり、申し訳御座いません。お助けに上がりましたはリッケン伯が四男にてAランク冒険者、ムームードとその仲間達にて御座います。敵めは殲滅致しました故、どうかご安心召されたし!」

貴族の挨拶は、長い。伯爵の四男が謙って居るのなら、より上の位なのかな。

「扉を」「はっ、奥様」

あれ?

「リッケン伯が四男、伯とは懇意にさせて頂いております。貴方とも何度か顔を合わせましたね?健勝何よりで…あら、カケル様?」

「夫人だったのですか」

驚いた。紋章の柄はすっかり忘れてしまっていたが、中に居たのはヴェッデローニ夫人であった。

「カケル様!?本当に?」

夫人が居れば娘も居る。ニーネンタールが扉から顔を出してキョロキョロと俺を探すので、手を挙げて応えた。

 治療を終え、死者とホルストを弔って居ると、後続の一二三号車が合流した。
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