女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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下ネタが好き

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「一人当たりの分け前は減るが、メンバーは多い方が良いな」

「四人とか五人が普通ですよね?」

 持論を述べると一般意見が返って来る。確かに報酬がしょぼい内はメンバーも少ない方が良いだろう。

「俺の知ってるダンジョンパーティーは女だけで八人とか居るぞ。その分深く潜ってお宝を持ち帰る」

「羨ましいっすね」

「二パーティー分集めて、同じようなドロップが落ちる二つの階層で狩ればボス部屋を楽に抜けられるし、浅くても美味かろうよ」

「「「成程」」」

「…で、誰と寝た?」

弥一は下ネタが好きだなぁ。

「全員に決まってんだろ」

「「「おおお…」」」

皆下ネタが好きだなぁ。俺も好きなんだなぁ。
そこからは下ネタ系の話で盛り上がる。が、警戒して小声で話す事に努めた。

「娼館、危険っすね…」

「バルタリンドは身持ちが硬い…、覚えました」

「ヤったら小便して等ナニを洗う。分かったぜ」

「爪研いで体洗って、歯を磨く…良しっ」

「後は金だけだな」

「ヤイチは金持ってんだろ?良いよなー」

「風俗行ける程は無いぞ?それにバルタリンドのには行かんし」

「やっば公都か~」

「なあ、公都には行った事が無いんだが、公都の女は…良いのか?」

気になって聞いてみる。都会だけあって女が華やかで明るいのだと。とても気になる。華やかなお土産とか買って帰ったら、皆喜ぶだろうなあ。お腹がチクチクするので考えを改めると、痛みが引いた。
憧れは、憧れのままで居た方がキラキラしてるモノだ。

「カケルさんは、メルタールに着いたら、ヤるんすか?」

「否、ヤらんねぇ」

ヤれないな。女達が待ってるし。ヤるんなら《転移》で帰って来いとか言うだろし、若しくはあっちから来るだろう。

「皆の前で羨ましがらせる訳にも行かんしな」

「さすかけ~」

「「「さすかけ~」」」

俺の吐いた嘘を弥一が煽り、皆が付いて来る。嫌なノリだぜ…。

 昼休憩からの、野営地に到着。敵もそこそこ出たので車列を交代して移動したが、お手頃価格達はお疲れみたいだ。テントを張る綱にも力が無い。ゴーラの薄焼き肉を増してやる。ウォリスの肉は煮るのが良いとママ上殿から聞いた事があるので、ブツ切りにして煮込む事にした。コレは明日の夜に出そう。

「んぐ、コレのお陰で明日も頑張れるぜ…」

「今夜も頑張れ」

「今日でコレだと、三十日は長いっすね」

「途中で長い休憩を取れる場所がある。依って、期日は伸びるが疲れは癒せるだろう」

それが黒い森周辺だとダミヤンは言う。俺はよく調べなかったが小さな水場もあるそうだ。今は商船会社が管理してると言うし、そこそこ安全が確保されているらしい。皆、二週間頑張ってくれ。

 飯の後は、野営地の中に土壁を作り、ホルストと荷車、馭者の寝床にする。そしてトイレ。俺からの忖度はコレだけだ。皆、俺達も…とは言わない。護衛対象が居ないだけで大助かりなのだ。夜襲が来たらどっち道外に出る訳だしな。
そして、今夜の夜襲は多かった。セカンドハウスの湖畔と同じくらい出た。主にブフリム、そしてウォリス。ゴーラが居ないので犬肉にしかならん。初っ端の三四番が苦戦して、五六番が駆り出され、睡眠時間が削られた。

「翔、目くじら立てんな」

気付かずに、黙って交代するヘンプシャーの尻を睨んでいたようだ。疲れは機嫌を悪くさせる。危ないな。

「三日もしないとな…」

「俺はもっと溜まってんよ。皆もな」

「…だな。落ち着こう」

久しぶりに、火を起こす。カチカチは苦手なので火の棒で、薄い雑木紙に着火した。五徳に薬缶で茶を煮出す。火は荒んだ心を鎮めてくれる。六人輪になり火を囲み、パチパチと爆ぜる薪の音を聞きながら、静かに、次の夜襲を待った。

 目が覚めて《洗浄》。冷たさに覚醒したら飯の支度。

「昨日は、ありがと」

背後に立つヘンプシャーは小さくそう言うと、直ぐに離れた。

「飯の支度を手伝ってくれるともっと有難い」

少しだけ皿とか運んでくれた。
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