女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,279 / 1,519

頭がパーン

しおりを挟む


 ネーヴェの《結界》はともかく、リュネの《封印》とミーネの《遮断》が解かれてもサミイは横になったまま。人の弱さと言うより龍の強さだな。
カラクレナイは撓垂れて、自分のせいだと後悔する。

「誰のせいでもないよ。それに反省会は帰ってからするモンだ」

「うん…」

「カケルさぁん、治しましたよ~」

ミーネの治療が終わり、リュネが《結界》を追加する。お陰でまた少し楽になった。

「旦那様よ、迷惑を掛けたな」

「娘にも言った筈だぞ?反省会は帰ってからだ」

「そうだな。私も強めに張り直そう」

三龍の全力に近い《結界》で俺のは二枚迄減らせた。やっと回復出来る。サミイを浮かせて胡座に乗せて、《感知》で診ながら《念話》を飛ばす。

『サミイ、そろそろ起きようよ』

『サミイ起きるの!』

キーンと耳が痛い感じ。カラクレナイが混線する。

『カララちゃぁん、そんなに大きい声じゃなくても大丈夫よお?』

『肉体、精神、共に何ら問題は無いが、唯の疲労だろうな』

『主様、それに姉者達も。そんな所で遊んでいるなら戻って来たらどうだ』

混線が酷い。三姉妹に娘、姦しい事この上無い。《念話》切っても入って来るのだ。何でよ?

「う、うるさい…」

「サミイ!サミイ!あはあ~ん」

そりゃあ起きるわなって感じのガヤガヤに我慢出来無くなったサミイが目を覚まし悪態を吐くのをカラクレナイが絞め落とそうと抱き着いた。

「カラクレナイ、サミイが死ぬ。離れて」

「あはああ~ん!死なないもん、うわ~~んっ」

泣きながら加減したようだ。サミイに背中をポンポンされて、泣き疲れてしまったようだ。おやすみ。

「さて、このダンジョンどうしてくれようか…」

 俺の言葉に三龍の目が変わる。

「娘を泣かせた罪は重いですねぇ」

「私の娘だ。だがどうする」

「コア、つぶす」

「あの…、取り敢えず帰りませんか?今からなんかしたらカララちゃんを巻き込んじゃいます。あとわたしも」

…考えて、サミイに同意する。ミーネは怪訝な目をサミイに向けたが、それを手で制する。

「俺に考えがある」

「ふぅ。惚れた弱味、か」

「取り敢えず上に戻ろう。七十九階迄上がれば《転移》で浅い所まで飛べるだろ?」

「…そうですね。戻りましょう。惚れた弱味、ですねぇ」

俺の言葉にリュネが続く。帰るぞ。サミイを抱っこし、ネーヴェを肩に担いで歩き出す。ミーネはカラクレナイを横抱きにして付いて来る。それにネーヴェとリュネが続いた。


「カケルさん、この奥はまだ行けませんね」

「ああ。だが次は無い。消される恐怖を感じて待っているが良いさ」

 階層の奥、隠し扉の先にある通路、更にその先にある空間。今はその時では無い。この場所を覚える為に来たのだ。

「リュネ、頼む」

限界迄《結界》を張る。

「はぁい」

瞬きすると気配が変わる。浅い階層に飛んだようだ。暫く歩くと光が見える。外だ。一階の奥に飛んでたのか。
外に出て、延長金を払う人妻乙女を待ちながら、何処へと無く語り掛ける。

『外に出たぞ。助けてくれてありがとな』

居るのだろうが、ソレは応えない。会話が出来たら良かったのに。

「カケルさぁん、浮気ですかぁ?」

事務処理の終わったリュネ達が戻って来た。垂れ流しの《念話》聞いてた癖に。

「命の恩人だぞ?人じゃ無いが」

「精霊と会話なんてしようとしたら、人の子は頭がパーンって、しちゃいますよぉ」

「それは、残念だな。じゃあバルタリンド経由で帰っておいで」

「旦那さまは?浮気ですか?」

「直で帰るだけだよ。皆はドロップの買取りとかあるだろ?ゆっくりお風呂に浸かっておいで」

まあそれならと了承し、五人は街を出る為歩き出す。俺も行こう。路地裏へ向けて歩を進めた。

 島の上空に着き、体を《洗浄》しながら下へと降りるとテイカにラビアン達が迎えてくれる。

「お帰りなさいませ。皆様ご無事で何よりで…」

テイカが固まり、ラビアン達も気付き始める。サミイ達と合流してからメット外してたからな。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...