女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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対価としては安い

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「カケル様…」

「イゼッタ様呼んで来なきゃ」「リア様にリーム様もっ」

 慌てた様子で動き出すラビアン達。俺の左目は見た目に異常があるのだろう。鏡で見たくない。極めて冷静に泣き言を吐いた。

「眼帯は黒が良いと思うんだが、どうかな?」

「…カケル様には似合いません」

仕方無い。治す努力はしてみよう。風呂場の二階に籠ってマットにダイブ。《治癒》掛けながら寝れば起きた頃には治っているに違いない。痛むかも知れんから《遮断》も要るかな?左目に《遮断》と《治癒》を掛け、取り敢えず疲れたから寝る。

気付くと緑色の光が顔を照らし、イゼッタが回復魔法を掛けていた。

「カケル、おきた」

「貴方様っ」

「どうだ?魔法で治りそうか?」

救いは無いだろう言葉を吐いてしまったのは、俺自身ショックが大きいからであろう。脳内物質が抜けて来て、後からジワジワ来るようだ。魔法に明るい妻二人は言葉を選ぼうとしているのか返事が返って来ない。そりゃあそうだ。魔法治療をする前からスキルで治療してるのだ。それでも開かれた左目に映る景色は灰色一色。完全に失明だ。

「魔法で治らぬモノ等、無い筈なのです…」

「精霊の力だしな、助けてもらった対価としては安いモンじゃ無いの?」

「精霊?だれ?何されたの?」

光の粒が現れた辺りから簡単に説明する。光る事しか出来無い光の粒が、へこたれそうな俺に気付けをするにはソレしか無かった。やろうと思えばレーザー出るからな、アレでもかなり手加減したのだろう。
ダメだと分かっていてもイゼッタの魔法治療は終わらない。飯を食ったり仮眠を挟みながら、人妻乙女が帰還する迄続けられた。

「旦那さまっ」

ドアを開けて飛び込んで来たサミイはマットの横まで駆け寄ると床に座り込んでしまった。

「ママ!カケルを助けてなの!」

ミーネの腕を引っ張って、カラクレナイがサミイに続き、リュネとネーヴェがそれに続いた。

「皆、お帰り。ゆっくり休めたかい?」

「怪我してるなんて知りませんでした!」

「怪我じゃ無くて対価だからな。こうしなきゃ彼処迄行けなかったんだよ」

「さ、皆さぁん。此処からは私達が」

「「「リュネ様」さま」」

人智を超えた力を持つ龍がやると言うのだ。人の子達は掌を組んで膝を着く。

「みんな、外でまってて。カララも」

ネーヴェが人の子達とカラクレナイを外へと誘う。時間が掛かるって事かな。部屋に残ったのはミーネとリュネとネーヴェ。リームが居ないのは何故だろう?

「さ、カケルさぁん、行きますよ~」

「行く?何処へ?」

右目の視界が歪み、全体が暗くなる。地下なのか?地面が硬い。目が慣れて、魔力を感じて、存在に気付く。

「ママ様の所か」

「そうだ、主様も用があるのだろう?」

リームも居た。先にママ様の所に来ていたのか。

「人の子の手に負えんと聞いたが、成程の」

「ご無沙汰してます」

視界の外から声がして振り向くと、人の姿のママ様が、腕組みをして立っていた。寄せて上げてるたわわを見れず、潰れた左目が悔しがる。

「ああ、だいぶご無沙汰だのう」

「母さんっ」

「光か。精霊の光を受け過ぎた様だな」

リュネの嫉妬をスルーして、ママ様は正解を答えた。

「母よ、やはり抉って再生させるのが良いだろうな」

「何それ怖い」

ミーネが怖い事を言う。だがミーネの施術は以前見たか。まさか自分がなされるとは思わなんだ。

「なあに、《遮断》してしまえばどうと言う事は無いさ」

「カケルさん、頑張って~」

「我が着いてる。手を握っていてやろう」

「じゃあ私はこっちぃ」

「仕方無い。私はソレを持つか」

左右の手をリュネとリーム。そしてミーネがアイツを握る。

「せめてマットに寝かせてくれ。石の上で寝るの慣れてないんだ」

「じゃあマットを用意しますねぇ。姉さん達、お手手繋いで良いですよ~?」

「止めんか馬鹿者っ」

ママ様にドヤされるリュネであった。




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