女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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結納金

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 飛んだり跳ねたりが見たい子供達には悪いが、飛ばない縛りがある以上浮いたら終わりなのだ。ブルランさんを回復し、休憩と昼食を挟んでやっと俺の用件に入った。子供達とリュネがお昼寝に行き、静かな時間の流れる王の間にて話の場が持たれる。

「鳥卵を試食なされたと聞きましたが、お眼鏡に適いましたか」

「美味しく頂けましたよ。此方では養殖して迄使わないので、数が増えてくれる事を願います」

先ずは卵の話からか。日に幾つ…みたいな話にもなったが、お菓子作りにしか使わないので欲しい時に工面してもらう形とした。鳥も食べないので王家が毎日食べられるくらい増やしてくれ。
しかし増やしまくればコストも掛かる。次に出たのは貨幣の話となった。増やした鳥の維持費や貨幣を増産するにもコストは掛かるが、それ等を充分賄えるだけの金属を提供する事で各方面でのコスト問題は解決する…のだが、それだと当然ミソプファンティア側が大儲けする訳で、其方にも見返りが無いと釣り合わんと言われてしまう。

「国としても個人としても、特に欲しい物も無いんだよな…」

「カケラントにミネストパレス。両国は豊かなのですな」

「カケラントは元々自国と周辺で回せてるし、ミネストパレスは貨幣導入出来るだけで万々歳。俺は妻も娶ったし、遅くなった結納金とでも思ってくれれば」

更に言えば勝手貿易にヤリ部屋。ママ様も居る。売るに売れないミスリルを対価に出来るのは此方としても有難いのだ。

「ユイノウ…持参金の事ですな。それでも莫大過ぎます。永代の国交と考えればミソプファンティアに利が大き過ぎるかと」

「平和が金で買えるなら、俺は安いと思うがね」

「言う立場が逆ですぞ。まあ、今直ぐに決めろとは申しませんが、せめて屋敷を用意させて頂きましょう。また、何か入り用であれば工面致しましょう」

一介の冒険者なら爵位をくれてやれば済む話だが、俺の場合はくれてやれる爵位が無いので面倒だと言う。爵位より王弟の方がでかいのだ。

「爵位と言えば、カケル殿の冒険者ランクを上げるんだと、陛下が息巻いておりました。各ギルドからもその話は聞き及んでおります。諸事情より今迄引き伸ばしておりましたが、如何致しましょう」

「急がなくて良いよ。準備が整ったら暗部でも寄越してくれ。作法とか知らないから練習する期間も含めてね」

「承知致しました。後は此方で文書に纏め、関係各所と根回しを図りましょう」

子供達とのバトルが長く感じ過ぎて、話し合いなんて直ぐに終わってしまったかの様な錯覚に陥るが、気付けば夕方。集中力して仕事が出来たのだろう。そう考えると、腹が、減った。


「コレ、鳥じゃ無いのに鳥の味する!」

「歯応えねーな」「んまい」「やーらかい」

 夕飯に出されたのはリザルトの肉。リュネが出してくれたそうで、食堂に揃った者等はそれぞれの感想を持ってカトラリーを振るう。

「お兄様、コレはリザルトと言うランドドラゴンを小さくしたような野獣なのですよ」

「へ~」

「旦那様の華美な鎧もソレの皮なのだそうです」

「「「「へーーー!」」」」

何その食い付き。一オクターブ高い四へぇが食堂に木霊する。アルアから見ても派手なカナブン鎧は男の子達によく刺さる。

「兄貴!ソレ狩りたい!」「強いんか!?なあ強いんか!?」「角!ある!?」「僕も欲しい!」

「ハーク、食事は静かに摂る物です」

「それと、アレに角はありませぇん」

角の有る無しは答えるのか。義母殿に窘められたハークと仲間達がヒソヒソ始めるが、ハークに聞こえるって事は全員に聞こえるからな?迂闊な事言うなよ?ヒソヒソ話だけにしとけ?

「なあ兄貴ぃ、明日には帰るんだろー?」「朝行ったダンジョン行くんだろー?」「たのしみだぜー?」

「えー!?ダンジョンー?どこどこー?」

段々稚拙になって行く芝居に《逃げる》をして無い俺は思考が追い付かない。悪ガキ達より迂闊なのは俺だったようだ。



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