支援魔術師の俺、美女だらけの仲間と世界を救う

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第6章「魔法学院の天才少女──氷の瞳の魔女」

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王都の北側、丘の上に建つ壮麗な建物──それが王立魔法学院だった。
「すごい……」
蓮は感嘆の声を上げた。
白い大理石で造られた建物は、まるで宮殿のように美しい。
中央には高い塔が聳え立ち、その周囲を四つの校舎が囲んでいる。
「魔法学院は、王国で最も優秀な魔術師を育成する場所です」
アリシアが説明した。
「入学するには、厳しい試験に合格しなければなりません」
「リリアは、何歳で入学したの?」
蓮が尋ねた。
「……12歳」
リリアは短く答えた。
「12歳!?」
「通常は15歳以上でないと受験資格がないのよ。でも、私は特別に飛び級を認められた」
リリアは感情を表に出さずに言った。
「それってすごいことじゃん!」
「別に」
リリアは素っ気なく答えた。
「行きましょう。時間がないわ」
三人は学院の門をくぐった。

学院の中庭には、多くの学生たちが集まっていた。
ローブを着た若者たち。
魔法の練習をしている者、書物を読んでいる者、談笑している者──
「あ、リリア先輩だ」
「本当だ……」
学生たちが蓮たちに気づき、ざわめき始めた。
「氷の魔女が戻ってきた」
「誰と一緒なの?」
「冒険者みたいだけど……」
ひそひそと囁く声。
「氷の魔女……?」
蓮は首を傾げた。
「気にしないで」
リリアは冷たく言った。
「ただのあだ名よ」
だが、その表情には少し寂しさが滲んでいた。

学院長室に到着すると、老齢の魔術師が待っていた。
「おお、リリア。よく来てくれた」
学院長のアルベルトは、長い白髭を蓄えた温厚そうな老人だった。
「学院長、こちらが私のパーティメンバーです」
リリアは蓮とアリシアを紹介した。
「初めまして。神谷蓮です」
「アリシアです」
「うむ。わざわざ来てくれて感謝する」
アルベルトは頷いた。
「早速だが、事件について説明しよう」
アルベルトは机の上の書類を広げた。
「三日前から、学院内で不審な現象が起きている」
「不審な現象?」
「深夜、図書館や実験棟に黒い影が現れるのだ」
「黒い影……」
蓮は眉をひそめた。
「魔物か何かですか?」
「わからん。だが、その影が現れると、学生たちが昏睡状態に陥る」
「昏睡状態……」
アリシアは深刻な表情を浮かべた。
「すでに5人の学生が被害に遭っている。幸い、命に別状はないが……」
アルベルトは険しい顔をした。
「このままでは、学院を閉鎖せざるを得ない」
「わかりました。すぐに調査します」
リリアが言った。
「頼む。君たちなら、きっと解決してくれると信じている」

学院長室を出ると、リリアは深いため息をついた。
「大丈夫?」
蓮が尋ねた。
「ええ」
リリアは答えたが、どこか元気がない。
「この学院、あまり好きじゃないの?」
「……」
リリアは答えなかった。
「まずは図書館に行きましょう」
アリシアが提案した。
「影が最初に現れた場所ですから」
「そうね」
三人は図書館へと向かった。

図書館は広大だった。
天井まで届く本棚が無数に並び、何万冊もの書物が収められている。
「すごい蔵書量だな……」
蓮は圧倒された。
「魔法学院の図書館は、王国最大の蔵書を誇るのよ」
リリアが説明した。
「古代の魔法書から、最新の研究論文まで、ありとあらゆる知識がここにある」
「リリアは、ここでよく勉強してたの?」
「……ええ」
リリアは本棚の間を歩いた。
「一人で」
その言葉には、寂しさが滲んでいた。
「一人で?」
「私には友達がいなかったから」
リリアは淡々と言った。
「12歳で入学した私は、周りの学生たちより5歳も年下だった」
「……」
「それに、私は彼らよりも魔法の才能があった。だから──」
リリアは立ち止まった。
「嫉妬されたのよ。疎まれたのよ」
「リリア……」
蓮は胸が痛んだ。
「『天才』って言われるのは、嬉しいことじゃないわ」
リリアは自嘲気味に笑った。
「孤独になるだけ」
「でも、今は違うでしょ?」
アリシアが優しく言った。
「今は、私たちがいます」
「……そうね」
リリアは小さく微笑んだ。
「ありがとう」

その時──
突然、図書館の灯りが消えた。
「え……?」
蓮は周囲を見回した。
真っ暗闇。
窓から差し込む月明かりだけが、わずかに視界を照らしている。
「何が……」
その時、リリアが叫んだ。
「来た……!」
黒い影が、図書館の奥から現れた。
人型だが、輪郭が曖昧。
まるで煙のように揺らめいている。
「あれが……」
「シャドウフィーンド……!」
リリアは杖を構えた。
「Bランクの魔物……影を操る悪霊よ!」
「悪霊……!?」
「物理攻撃は効かない。魔法で倒すしかないわ」
リリアは詠唱を始めた。
「光よ、闇を払え──ライトニングボルト!」
雷の魔法がシャドウフィーンドに直撃した。
ギャアアアッ!
シャドウフィーンドは悲鳴を上げた。
だが──倒れない。
「硬い……!」
「アリシア、神谷さん、下がってて!」
リリアは次の魔法を唱えた。
「炎よ、全てを焼き尽くせ──フレイムストーム!」
巨大な炎の竜巻がシャドウフィーンドを包み込む。
だが──
シャドウフィーンドは炎を突き抜けて、リリアに襲いかかった。
「くっ……!」
リリアは咄嗟にバリアを張ったが、衝撃で吹き飛ばされた。
「リリア!」
蓮は駆け寄った。
「大丈夫……?」
「ええ……でも、予想以上に強いわ……」
リリアは立ち上がった。
「一人じゃ無理ね……」
「じゃあ、俺たちも戦おう」
蓮は決意した。
「でも、物理攻撃は効かないんでしょ?」
「アリシアの剣に魔法を付与すればいいわ」
リリアは素早く魔法を唱えた。
「炎よ、剣に宿れ──エンチャント・フレイム!」
アリシアの剣が炎に包まれた。
「これなら戦えます!」
「神谷さん、支援を!」
「わかった!」
蓮は支援魔法を発動した。
「グランド・サポート!」
リリアとアリシアの体が光り輝いた。
「この力……!」
「行くわよ!」
リリアは最大火力の魔法を放った。
「フレイムエクスプロージョン!」
巨大な爆発がシャドウフィーンドを襲う。
同時に、アリシアが突撃した。
「はああっ!」
炎を纏った剣が、シャドウフィーンドを切り裂いた。
ギャアアアアッ!
シャドウフィーンドは悲鳴を上げて消滅した。
「やった……!」
だが、次の瞬間──
図書館の各所から、複数のシャドウフィーンドが現れた。
「嘘……まだいるの……!?」
リリアは驚愕した。
「5体……いえ、6体……!」
「これは……」
アリシアは身構えた。
「誰かが意図的に召喚している……」
「召喚……?」
蓮は周囲を見回した。
「どこかに、術者がいるはず……」
その時、図書館の上層から声が響いた。
「よく気づいたな」
冷たい声。
三人は上を見上げた。
二階のバルコニーに、黒いローブを纏った人影が立っていた。
「お前は……」
リリアは目を見開いた。
「まさか……ヴィクター……!?」
「久しぶりだな、リリア」
ヴィクターと呼ばれた男は、フードを下ろした。
20代半ばと思われる青年。
整った顔立ちだが、その目には狂気が宿っていた。
「お前……学院を追放されたはずじゃ……」
「ああ、追放されたよ。お前のせいでな」
ヴィクターは冷笑した。
「お前が告発したから、俺は禁術の研究を理由に追放された」
「当然よ。あなたは生徒を実験台にしていた……」
「実験? 違うね。あれは研究だ」
ヴィクターは狂った笑みを浮かべた。
「魔法の限界を超えるための、必要な犠牲だったんだ」
「狂ってる……」
「狂ってる? いいや、俺は正常だ」
ヴィクターは腕を広げた。
「そして今、俺は復讐に来た」
「復讐……」
「お前を苦しめるために。お前が大切にしているものを、全て奪うために」
ヴィクターはシャドウフィーンドたちに命じた。
「行け。あの女を殺せ」
6体のシャドウフィーンドが一斉に襲いかかった。
「くっ……!」
リリアは魔法を放つが、数が多すぎる。
「リリア、一人で抱え込むな!」
アリシアが叫んだ。
「私たちがいる!」
「そうだよ、リリア!」
蓮も叫んだ。
「俺たちは仲間だろ!」
「……二人とも……」
リリアの目に涙が滲んだ。
「ありがとう……」
リリアは決意した。
「やるわよ……全力で!」
「ああ!」
三人は連携して戦った。
蓮の支援を受けたアリシアとリリアは、次々とシャドウフィーンドを倒していく。
「くそっ……」
ヴィクターは焦った。
「こんなはずじゃ……」
「あなたの負けよ、ヴィクター」
リリアは杖を向けた。
「あなたは、仲間の力を知らない」
「仲間……? くだらない」
ヴィクターは嘲笑した。
「強さとは、個の力だ。他人に頼るなど、弱者のすることだ」
「違う」
リリアは首を振った。
「本当の強さは、仲間と共にあることよ」
「……」
「私も、昔はあなたと同じことを考えていた」
リリアは蓮とアリシアを見た。
「でも、この二人と出会って、わかったの」
「一人で戦うより、仲間と戦う方が、ずっと強いって」
「戯言を……!」
ヴィクターは最後の魔法を唱えた。
「闇よ、全てを飲み込め──ダークネスフィールド!」
図書館全体が、深い闇に包まれた。
「見えない……!」
アリシアが叫んだ。
「神谷さん、どこ!?」
「ここだ!」
蓮は二人に駆け寄った。
「リリア、この闇を消せる?」
「できるわ。でも……」
リリアは躊躇した。
「私の最大魔法を使えば、建物が崩れるかもしれない……」
「大丈夫」
蓮は笑顔で言った。
「俺の支援があれば、制御できるよ」
「……本当に?」
「ああ。リリアを信じてる」
「……わかったわ」
リリアは杖を高く掲げた。
「聞いて、神谷」
「うん」
「私ね……ずっと一人だった」
リリアは目を閉じた。
「誰も信じられなかった。誰にも頼れなかった」
「……」
「でも、あなたと出会って、変わった」
リリアは目を開けた。
「初めて、誰かを信じてもいいと思えた」
「リリア……」
「だから──信じるわ。あなたを」
リリアは詠唱を始めた。
「光よ、全ての闇を払い、世界に輝きを取り戻せ──」
蓮は支援魔法を最大限に発動した。
「グランド・サポート!」
「──ホーリーノヴァ!」
図書館全体が、眩い光に包まれた。
闇が消え去り、ヴィクターは光に飲み込まれた。
「ぐああああっ!」
ヴィクターは倒れた。
光が消えると、図書館は元の静けさを取り戻していた。
「終わった……」
リリアは膝をついた。
「お疲れ様」
蓮はリリアの肩を支えた。
「すごかったよ、リリア」
「……ありがとう」
リリアは小さく微笑んだ。

ヴィクターは騎士団に引き渡され、学院の事件は解決した。
昏睡状態だった学生たちも、全員目を覚ました。
「本当にありがとう」
学院長のアルベルトは深々と頭を下げた。
「君たちのおかげで、学院は救われた」
「いえ、当然のことです」
アリシアは微笑んだ。
「リリア」
アルベルトはリリアを見た。
「君は、素晴らしい仲間を得たな」
「……はい」
リリアは頷いた。
「本当に、素晴らしい仲間です」

その夜、三人は学院の中庭で休んでいた。
星空が美しい夜だった。
「リリア、今日は本当にすごかったね」
蓮が言った。
「あの最後の魔法、圧巻だったよ」
「あなたの支援があったからよ」
リリアは空を見上げた。
「一人じゃ、あんな魔法は使えなかった」
「私も、リリアさんの強さを改めて実感しました」
アリシアも言った。
「私たち、本当にいいチームですね」
「ええ」
リリアは微笑んだ。
「本当に……いいチーム」
しばらく沈黙が続いた。
やがて、リリアが口を開いた。
「ねえ、二人とも」
「うん?」
「私、今まで誰にも言わなかったことがあるの」
リリアは膝を抱えた。
「実は……私、幼い頃に両親を魔物に殺されたの」
「……」
蓮とアリシアは黙って聞いた。
「それからは、親戚の家を転々として……誰も、私を本当の意味で愛してくれなかった」
リリアの声が震えた。
「私の魔法の才能だけを評価して、私という人間を見てくれなかった」
「リリア……」
「だから、私は人を信じられなくなった。心を閉ざして、一人で生きてきた」
リリアは涙を拭った。
「でも……あなたたちは違った」
「私の才能じゃなくて、私自身を見てくれた」
リリアは二人を見た。
「初めて……本当の仲間ができた気がする」
「リリア……」
蓮は優しく微笑んだ。
「俺たちは、ずっと仲間だよ」
「そうです。これからも、ずっと一緒です」
アリシアも頷いた。
「……ありがとう」
リリアは泣きながら笑った。
「本当に、ありがとう」
三人は静かに夜空を見上げた。
星が、美しく輝いていた。
新しい絆が、また一つ深まった夜だった。

翌朝、三人は王都へと戻った。
「今日は、ゆっくり休みましょう」
アリシアが提案した。
「昨日は激戦だったし」
「そうね」
リリアも頷いた。
「たまには休息も必要よ」
「じゃあ、三人でどこか行く?」
蓮が尋ねた。
「いいわね」
「賛成です」
三人は街を散策することにした。
市場で買い物をしたり、美味しい食事を楽しんだり、笑い合ったり──
「楽しいな」
蓮は笑顔で言った。
「こういう時間、大切だね」
「ええ」
アリシアは微笑んだ。
「戦いだけが全てじゃないですからね」
「そうね」
リリアも頷いた。
「たまには、こういう日常も必要よ」
三人は幸せな時間を過ごした。
だが、彼らが知らないうちに──
新たな運命の出会いが、すぐそこまで迫っていた。
獣人の少女・セラとの出会いが、間もなく訪れる。
そして、蓮の心に新たな感情が芽生え始める。
物語は、新しい局面を迎えようとしていた。
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