支援魔術師の俺、美女だらけの仲間と世界を救う

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第5章「冒険者ギルド試験──嘲笑の中の一筋の光」

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ゴブリンロード討伐から数日後。
蓮はギルドの受付で、ミラに呼び止められた。
「神谷さん、少しよろしいですか?」
「どうしたの?」
「ギルド長がお呼びです」
「バルトが?」
蓮は首を傾げながら、ギルド長室へと向かった。

扉をノックすると、バルトの豪快な声が響いた。
「入れ!」
部屋に入ると、バルトは机に座って書類を見ていた。
「呼んだか?」
「おお、神谷。よく来たな」
バルトは書類を置いた。
「実はな、お前のランクアップ試験を実施することになった」
「ランクアップ試験?」
「ああ。お前、まだEランクだろ?」
「はい」
「だが、お前の実績を見る限り、明らかにEランク以上の力がある」
バルトは蓮の活動記録を指差した。
「ゴブリンロード討伐、ベヒモス討伐、ドラゴンリザード討伐……どれもCランク以上の依頼だ」
「でも、あれはアリシアとリリアがいたから……」
「謙遜するな」
バルトは笑った。
「お前の支援がなければ、あの二人もあそこまで戦えなかった」
「……」
「だから、正式にランクアップ試験を受けてもらう。合格すれば、Cランクだ」
「Cランク……」
蓮は驚いた。
EランクからCランクへの昇格は、通常では考えられない飛び級だ。
「試験は三日後。他の昇格希望者たちと一緒に受けてもらう」
「わかりました」
蓮は頷いた。

その日の午後、蓮はアリシアとリリアに試験のことを話した。
「ランクアップ試験!」
アリシアは嬉しそうに言った。
「それは素晴らしいです!」
「でも、大丈夫かな……」
蓮は不安そうだった。
「何を言ってるの」
リリアは呆れたように言った。
「あなたの実力なら、CランクどころかBランクだって狙えるわよ」
「そうですよ。自信を持ってください」
アリシアも励ました。
「……ありがとう」
蓮は二人の言葉に勇気づけられた。

三日後、ランクアップ試験の日がやってきた。
ギルドの訓練場には、多くの冒険者が集まっていた。
「すごい人数……」
蓮は周囲を見回した。
試験を受けるのは、約20人。
それぞれが、ランクアップを目指す実力者たちだ。
「よく集まってくれた」
バルトが前に立った。
「今日のランクアップ試験は、実戦形式で行う」
「実戦形式?」
「ああ。お前たちには、これから森の奥にある『試練の洞窟』に挑んでもらう」
バルトは説明を続けた。
「洞窟の中には、様々な魔物が生息している。それらを倒しながら、最深部にある『試練の証』を手に入れろ」
「試練の証……」
「それを持ち帰った者だけが、ランクアップできる」
「何人でも合格できるんですか?」
誰かが尋ねた。
「ああ。制限時間は3時間。その間に証を持ち帰れば合格だ」
バルトは腕を組んだ。
「ただし、証は5つしかない。早い者勝ちだ」
「5つ……」
参加者たちがざわめいた。
20人中5人しか合格できない。
「それと、パーティを組むのは自由だ。ソロでもいいし、仲間と協力してもいい」
「わかりました」
参加者たちは頷いた。
「では──出発!」
バルトの号令と共に、試験が始まった。

蓮は一人で森へと向かった。
アリシアとリリアは、試験に参加していない。
この試験は、個人の実力を測るものだからだ。
「一人か……」
蓮は不安を感じた。
支援術師は、基本的に一人では戦えない。
パーティを組むこともできるが、他の参加者は誰も蓮と組もうとしなかった。
「まあ、仕方ないか」
蓮は森の奥へと進んでいった。

しばらく進むと、他の参加者たちの声が聞こえてきた。
「おい、見ろよ。支援術師が一人で来てるぜ」
「マジかよ。自殺行為だろ」
「どうせすぐに諦めて帰るだろ」
嘲笑の声。
蓮は拳を握りしめた。
悔しい。
だが、今は無視するしかない。
「俺は、俺のやり方で証を手に入れる」
蓮は決意を固めた。

洞窟の入り口に到着すると、すでに数人の参加者が中に入っていた。
「よし、行くぞ」
蓮も洞窟に入った。
洞窟の中は薄暗く、湿っていた。
壁には松明が灯され、道を照らしている。
「魔物がいるはず……」
蓮は慎重に進んだ。
すると──
ガサッ!
前方から、スライムが現れた。
「スライムか……」
蓮は後ずさった。
一人では、スライムすら倒せない。
「逃げるしかない」
蓮はスライムを避けて、別の道へと進んだ。

しばらく進むと、広い部屋に出た。
そこには──
他の参加者たちが、魔物と戦っていた。
「やあっ!」
剣士がゴブリンを斬り倒す。
「ファイアボール!」
魔術師が炎を放つ。
「すごい……」
蓮は彼らの戦いを見守った。
みんな、強い。
一人で魔物を倒せる力を持っている。
「俺も……」
蓮は焦りを感じた。
このままでは、証を手に入れられない。
「どうすれば……」
その時、一人の参加者が魔物に囲まれているのが見えた。
「くそっ……!」
若い弓使いの青年が、複数のゴブリンに囲まれている。
「助けないと……!」
蓮は迷わず駆け出した。
「支援強化!」
弓使いの体が光り輝いた。
「え……?」
弓使いは驚いた表情を浮かべた。
「この力……」
彼は弓を引いた。
矢が驚異的な速度でゴブリンを貫く。
「すげえ……!」
弓使いは次々とゴブリンを倒した。
「助かった……ありがとう!」
「いえ」
蓮は笑顔で答えた。
「俺は神谷蓮。支援術師です」
「俺はレオ。弓使いだ」
レオは蓮に手を差し出した。
「よかったら、一緒に行かないか?」
「え、いいんですか?」
「ああ。お前の支援、すごいよ。俺一人じゃここまで戦えなかった」
「ありがとうございます」
蓮は嬉しくなった。
「じゃあ、一緒に証を探しましょう」
「おう!」
二人は協力して、洞窟の奥へと進んでいった。

蓮の支援を受けたレオは、次々と魔物を倒していった。
「お前の支援、本当にやばいな」
レオは感心した。
「普段の俺じゃ、こんなに強くない」
「レオが元々強いんですよ」
「いやいや、お前のおかげだって」
二人は笑い合った。

洞窟の最深部に到着すると、そこには──
大きな祭壇があり、その上に5つの光る結晶が置かれていた。
「あれが試練の証か!」
レオが叫んだ。
だが──
祭壇の前には、巨大な魔物が立ちはだかっていた。
「オーガ……!」
蓮は息を呑んだ。
体長3メートル。
筋骨隆々の体。
巨大な棍棒を持っている。
「どうする?」
レオが尋ねた。
「やるしかありません」
蓮は覚悟を決めた。
「支援強化!」
「バーサーク・ブースト!」
レオの体が赤い光に包まれた。
「この力……!」
レオは驚愕した。
体中に、これまでにない力が漲る。
「行くぞ!」
レオは弓を引いた。
矢が凄まじい速度でオーガに突き刺さる。
「ガアッ!」
オーガは怒りの咆哮を上げた。
「もう一発!」
レオは連続で矢を放った。
オーガの目、喉、心臓──急所を正確に射抜いていく。
「とどめだ!」
最後の一矢が、オーガの額を貫いた。
ドサッ。
オーガが倒れた。
「やった……!」
レオは喜びの声を上げた。
「神谷、お前すげえよ!」
「いえ、レオが凄いんです」
「いやいや、お前の支援がなきゃ無理だった」
二人は祭壇に近づいた。
「証を取ろう」
レオが結晶に手を伸ばした──その時。
洞窟の入り口から、複数の参加者が走ってきた。
「待て!」
「証はまだ残ってるか!?」
参加者たちが殺到する。
「急げ!」
レオと蓮は、それぞれ結晶を手に取った。
他の参加者たちも、残りの3つを奪い合った。
「くそっ、取られた!」
「もう残ってねえ!」
遅れてきた参加者たちは、悔しがった。
「よし、戻ろう」
蓮とレオは、洞窟を出た。

ギルドに戻ると、バルトが待っていた。
「おお、戻ったか」
「試練の証、持ってきました」
蓮は結晶を差し出した。
「よくやった。合格だ」
バルトは満足そうに頷いた。
「神谷蓮、Cランクへの昇格を認める」
「ありがとうございます!」
蓮は喜びで胸がいっぱいになった。
「それと──」
バルトは周囲の冒険者たちを見回した。
「お前ら、見たか? あの支援術師が、ちゃんと証を持ち帰った」
「……」
周囲の冒険者たちは黙り込んだ。
「支援術師だからって、弱いわけじゃない。使い方次第で、誰よりも強くなれる」
バルトは蓮の肩を叩いた。
「これからも頑張れ」
「はい!」

ギルドを出ると、アリシアとリリアが待っていた。
「神谷さん!」
「おめでとう!」
二人は駆け寄ってきた。
「合格しました」
蓮は笑顔で答えた。
「やっぱり! 絶対に合格すると思ってました!」
アリシアは嬉しそうに言った。
「当然ね。あなたなら余裕だったわ」
リリアも微笑んだ。
「二人のおかげです」
「何言ってるの。あなた自身の力よ」
「そうですよ。自信を持ってください」
二人は蓮を励ました。
「ありがとう」
蓮は心から感謝した。

その夜、三人は酒場で祝杯を上げた。
「乾杯!」
ジョッキを掲げる。
「Cランク昇格、おめでとうございます」
アリシアが言った。
「これで、私たちと同じランクですね」
「まだまだだよ。二人には全然及ばない」
「そんなことないわ」
リリアは首を振った。
「あなたの支援があれば、私たちはもっと強くなれる」
「そうです。私たち、最強のパーティになれます」
アリシアも頷いた。
「最強のパーティ……か」
蓮は三人の未来を想像した。
「いつか、本当にそうなれるかもしれないな」
「なれるわよ」
リリアは断言した。
「私たちなら、できる」
「ええ」
アリシアも同意した。
「さあ、飲みましょう!」
三人は笑い合った。

酔いが回ってきた頃、アリシアがぽつりと呟いた。
「神谷さんと出会えて、本当に良かった」
「え?」
「私、ずっと一人で戦ってきました」
アリシアは遠くを見つめた。
「父を失ってから、誰も信じられなくて……」
「アリシア……」
「でも、神谷さんと出会って、変わりました」
アリシアは蓮を見た。
「仲間と一緒に戦うことの素晴らしさを、教えてもらいました」
「俺も、アリシアと出会えて良かったよ」
蓮は笑顔で答えた。
「私も同じよ」
リリアも言った。
「一人で戦うのは、もう飽きてたから」
リリアは少し照れくさそうに目を逸らした。
「あなたたちと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がするわ」
「リリア……」
三人は静かに微笑み合った。
絆が、また一つ深まった瞬間だった。

翌日、蓮は新しい冒険者カードを受け取った。

【冒険者カード】
名前:神谷蓮
ランク:C(前回E)
職業:支援術師
パーティ:トリニティ

「Cランクか……」
蓮は感慨深げにカードを見つめた。
この世界に来てから、まだ一ヶ月も経っていない。
だが、確実に成長している。
「もっと強くなろう」
蓮は決意を新たにした。
「もっと、仲間を支えられるように」
窓の外には、青い空が広がっていた。
新しい冒険が、また始まろうとしていた。

数日後、ギルドの掲示板に新しい依頼が貼られた。

【緊急依頼】
魔法学院に不審な影が出現
調査と排除を求む
報酬:50シルバー
難易度:B

「魔法学院……」
リリアがその依頼書を見つめた。
「私の学院ね」
「行きましょうか?」
アリシアが尋ねた。
「ええ。何か嫌な予感がするわ」
リリアは眉をひそめた。
「じゃあ、三人で行こう」
蓮が言った。
「ええ」
三人は魔法学院へと向かった。
だが、彼らが知らないうちに──
魔王軍の陰謀が、静かに動き始めていた。
次なる試練が、三人を待ち受けている。
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