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第11章「迷宮都市の試練──地下に眠る古代の罠」
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翌日、四人は王都を出発した。
迷宮都市ラビリントスまでは、馬車で二日の道のり。
「迷宮都市って、どんなところなんですか?」
蓮が尋ねた。
「古代文明の遺跡が地下に広がっている都市です」
アリシアが説明した。
「地上には普通の街があるんですが、地下には巨大な迷宮が眠っているんです」
「へえ、面白そう」
「でも、危険な場所でもあるわ」
リリアが付け加えた。
「迷宮の中には、古代の罠や魔物が潜んでいる。毎年、何人もの冒険者が命を落としているのよ」
「そうなんだ……」
蓮は少し緊張した。
「でも、大丈夫だよ!」
セラが元気よく言った。
「あたしたち、最強のパーティなんだから!」
「そうね」
リリアは微笑んだ。
「あなたと一緒なら、大丈夫な気がするわ」
二日後の夕方、四人は迷宮都市ラビリントスに到着した。
「着いた……」
蓮は街を見回した。
石造りの建物が立ち並ぶ、中世風の街。
だが、街の中心には巨大な穴が開いていた。
「あれが、迷宮の入り口ですか?」
「ええ」
アリシアは頷いた。
「地下300層以上あると言われています」
「300層……!?」
蓮は驚愕した。
「そんなに深いんですか……」
「ええ。最深層まで到達した冒険者は、歴史上数えるほどしかいません」
「でも、今回の依頼は、そこまで深く行く必要はないわ」
リリアが言った。
「異変が起きているのは、上層部だそうよ」
「それなら、何とかなりそうですね」
蓮は安堵した。
宿に荷物を置いた後、四人は冒険者ギルドの支部に向かった。
「いらっしゃい」
受付嬢が笑顔で迎えた。
「ああ、あなたたちが王都から来た『トリニティ』ですね」
「はい」
アリシアは頷いた。
「迷宮の異変について、詳しく教えていただけますか?」
「ええ。実は、三日前から迷宮の10層付近で奇妙な現象が起きているんです」
受付嬢は資料を広げた。
「壁が突然動いたり、今まで存在しなかった部屋が現れたり……」
「それって、罠ですか?」
蓮が尋ねた。
「わかりません。ただ、その付近に入った冒険者たちが、次々と行方不明になっているんです」
「行方不明……」
「ええ。すでに5人が帰ってきていません」
受付嬢は深刻な表情を浮かべた。
「このままでは、迷宮を封鎖せざるを得ないかもしれません」
「わかりました。すぐに調査します」
アリシアは決意を込めて言った。
「ありがとうございます。気をつけてくださいね」
翌朝、四人は迷宮の入り口に立っていた。
「よし、行こう」
蓮が言った。
「ええ」
四人は階段を下り始めた。
迷宮の中は、薄暗く湿っていた。
壁には古代文字が刻まれ、天井からは魔法の灯りが吊り下げられている。
「不気味ね……」
リリアが呟いた。
「魔力が濃いわ。何か強力な魔法が働いている」
「気をつけましょう」
アリシアは剣を抜いた。
1層、2層、3層……
四人は慎重に下層へと進んでいった。
途中、スライムやゴブリンなどの弱い魔物が現れたが、四人にとっては造作もない。
「順調だね」
セラが言った。
「このペースなら、すぐに10層まで着きそう」
だが、その時──
突然、床が崩れ落ちた。
「うわあっ!」
四人は一気に下へと落下した。
ドサッ。
蓮は地面に叩きつけられた。
「痛っ……」
「みんな、大丈夫……?」
アリシアが立ち上がった。
「うん、何とか……」
リリアとセラも無事だった。
「ここは……」
蓮は周囲を見回した。
広い石造りの部屋。
だが、出口が見当たらない。
「罠だったのか……」
「おそらく」
リリアは壁を調べた。
「古代の魔法陣が刻まれているわ。これは……転送の魔法ね」
「転送?」
「ええ。私たちを、迷宮のどこかに飛ばした」
「じゃあ、ここはどこなんだ?」
「わからないわ。でも……」
リリアは魔法陣をじっくりと見た。
「おそらく、かなり深い階層だと思うわ」
「深い階層……」
蓮は不安を感じた。
その時──
部屋の四隅から、魔物が出現した。
「スケルトン……!」
アリシアは剣を構えた。
骨だけの戦士が、4体。
それぞれが剣と盾を持っている。
「行きます!」
アリシアが突撃した。
「グランド・サポート!」
蓮は支援魔法を発動した。
戦闘は激しかった。
スケルトンは強い。
物理攻撃への耐性があり、なかなか倒れない。
「硬い……!」
アリシアの剣が、スケルトンの骨を砕くが、すぐに再生する。
「フレイムランス!」
リリアの炎の槍が、スケルトンを貫く。
だが、やはり再生する。
「どうすれば……」
「頭を破壊するのよ!」
リリアが叫んだ。
「スケルトンの核は頭にある! そこを砕けば、再生しない!」
「わかった!」
アリシアは狙いを定めた。
「はあっ!」
剣がスケルトンの頭を砕いた。
スケルトンは崩れ落ちた。
「やった!」
「あたしも!」
セラが拳を振るった。
スケルトンの頭が粉々になる。
「よし、残り2体!」
リリアとアリシアが協力して、残りのスケルトンを倒した。
「はあ……はあ……」
四人は息を整えた。
「何とか倒せたね」
「ええ。でも、これからもっと強い魔物が出てくるかもしれないわ」
リリアは警戒した。
「出口を探しましょう」
アリシアが言った。
「ここに留まるのは危険です」
四人は部屋の中を調べ始めた。
しばらく調べると、壁の一部に隠し扉が見つかった。
「ここだ」
セラが扉を押し開けた。
「よし、行こう」
四人は扉をくぐった。
扉の先には、長い廊下が続いていた。
「慎重に進みましょう」
アリシアが先頭を歩いた。
だが、数歩進んだところで──
床のタイルが沈んだ。
「まずい、罠だ!」
次の瞬間──
壁から無数の矢が飛んできた。
「うわっ!」
四人は咄嗟に伏せた。
矢が頭上を通り過ぎていく。
「危なかった……」
「この迷宮、罠だらけね……」
リリアは冷や汗を流した。
「もっと注意して進まないと」
四人は慎重に罠を避けながら、廊下を進んでいった。
落とし穴、毒ガス、炎の罠──
様々な罠が仕掛けられていた。
「古代人、罠好きすぎるだろ……」
蓮は呆れた。
「まあ、貴重なものを守るためなんでしょうけど」
リリアが言った。
「でも、確かにやりすぎよね」
廊下の終わりに、大きな扉が現れた。
「あれが出口かな?」
セラが言った。
「おそらく」
アリシアは扉に近づいた。
「開けてみましょう」
扉を押し開けると──
巨大な広間が広がっていた。
「うわあ……」
蓮は圧倒された。
天井は高く、柱が何本も立ち並んでいる。
そして、広間の奥には──
巨大な石像が鎮座していた。
騎士の姿をした石像。
剣を構え、盾を持っている。
「あれは……」
その時、石像が動き出した。
ゴゴゴゴゴ……
「動いた!?」
石像は立ち上がり、四人を見下ろした。
「ガーディアン……!」
リリアは驚愕した。
「Aランクの魔物……迷宮を守る番人よ!」
「Aランク……!」
蓮は緊張した。
ガーディアンは巨大な剣を振り上げた。
「来る……!」
アリシアは剣を構えた。
「みんな、覚悟して!」
激しい戦闘が始まった。
蓮は全力で支援魔法を発動した。
「グランド・サポート!」
「バーサーク・ブースト!」
三人の体が光り輝いた。
「行きます!」
アリシアが突撃した。
剣がガーディアンの足に叩き込まれる──
だが、傷は浅い。
「硬い……石で出来ているから、物理攻撃が通りにくい……!」
「フレイムエクスプロージョン!」
リリアの最大魔法が、ガーディアンを襲う。
ドオォォンッ!
爆発がガーディアンを包み込む。
だが──
ガーディアンは無傷だった。
「嘘……効いてない……!?」
「魔法耐性もあるのか……!」
蓮は焦った。
「どうすれば……」
その時、セラが叫んだ。
「関節を狙うんだよ!」
「関節?」
「石像でも、関節部分は脆いはず! そこを集中攻撃すれば、動きを止められる!」
「なるほど……!」
アリシアは狙いを定めた。
「みんな、膝を狙いましょう!」
「了解!」
三人は連携して、ガーディアンの膝を集中攻撃した。
アリシアの剣。
リリアの魔法。
セラの拳。
全てが、ガーディアンの膝に叩き込まれる。
バキッ!
ガーディアンの膝が砕けた。
「やった!」
ガーディアンは膝をつき、バランスを崩した。
「今だ!」
アリシアは跳躍した。
そして──
ガーディアンの頭部に剣を突き刺した。
ガシャァァンッ!
ガーディアンは崩れ落ちた。
「勝った……!」
四人は安堵の息を吐いた。
ガーディアンが倒れると、広間の奥の扉が開いた。
「あれが出口ね」
リリアが言った。
「行きましょう」
四人は扉をくぐった。
扉の先には、階段があった。
上へと続く階段。
「助かった……これで地上に戻れる」
蓮は安堵した。
「ええ。急ぎましょう」
四人は階段を上り始めた。
しばらく上ると、見覚えのある場所に出た。
「ここは……10層だわ」
リリアが言った。
「転送された場所から、戻ってこれたのね」
「良かった……」
蓮は安堵した。
「じゃあ、地上に戻ろう」
四人は迷宮を出た。
地上に戻ると、すでに夕方だった。
「お帰りなさい! 無事だったんですね!」
受付嬢が駆け寄ってきた。
「心配しました!」
「すみません、予想以上に時間がかかりました」
アリシアは謝った。
「いえいえ、無事なら何よりです」
「それで、異変の原因ですが……」
リリアが説明した。
「おそらく、古代の魔法陣が誤作動を起こしているのだと思います」
「魔法陣?」
「ええ。転送の魔法陣が、ランダムに発動しているようです」
「なるほど……それで冒険者たちが行方不明に……」
「おそらく、深い階層に飛ばされて、戻れなくなったのでしょう」
「……そうですか」
受付嬢は悲しそうな表情を浮かべた。
「では、迷宮を一時封鎖して、魔法陣を調査する必要がありますね」
「ええ。魔法陣を無効化すれば、安全になると思います」
「わかりました。ありがとうございます」
受付嬢は深々と頭を下げた。
「あなたたちのおかげで、これ以上の被害を防げます」
その夜、四人は宿の食堂で食事をしていた。
「今日は、本当に大変だったね」
蓮が言った。
「ええ。でも、何とか乗り越えられました」
アリシアは微笑んだ。
「みんなのおかげです」
「そうね」
リリアも頷いた。
「連携が完璧だったわ」
「えへへ、あたしたち最強!」
セラは無邪気に笑った。
「でもさ、あのガーディアン、めちゃくちゃ硬かったね」
「ええ。Aランクの魔物は、やはり強いわね」
リリアは真剣な表情になった。
「これから、もっと強い敵と戦うことになるでしょう」
「……魔王軍のことですか?」
蓮が尋ねた。
「ええ」
リリアは頷いた。
「魔王軍の幹部は、どれもAランク以上の強さがある」
「……」
四人は黙り込んだ。
「でも、大丈夫」
アリシアが言った。
「私たちは、もっと強くなります」
「そうだよ!」
セラも拳を握りしめた。
「あたしたち、まだまだ強くなれる!」
「ええ」
リリアも微笑んだ。
「神谷がいれば、私たちはどんどん強くなれるわ」
「……ありがとう、みんな」
蓮は笑顔で答えた。
「俺も、もっと強くなるよ」
その夜、蓮は一人、宿の屋上に立っていた。
星空を見上げながら、今日の戦いを振り返る。
「まだまだ、俺は弱いな……」
支援魔法は強力だ。
だが、それだけでは足りない。
「もっと、みんなを守れる力が欲しい」
蓮は拳を握りしめた。
その時、背後から声がした。
「神谷さん」
振り向くと、アリシアが立っていた。
「アリシア……」
「一人で、何を考えているんですか?」
「うん……今日の戦いのこと」
蓮は正直に答えた。
「俺、まだまだ弱いなって」
「そんなことありません」
アリシアは首を振った。
「あなたは、とても強いです」
「でも……」
「支援魔法だけが強さじゃありません」
アリシアは優しく言った。
「あなたには、仲間を信じる強さがある。それが、何よりも大切なんです」
「仲間を信じる……」
「ええ。あなたがいるから、私たちは戦えるんです」
アリシアは微笑んだ。
「だから、自信を持ってください」
「……ありがとう、アリシア」
蓮は笑顔で答えた。
二人は並んで星空を見上げた。
静かな夜だった。
だが、二人の心は温かかった。
翌朝、四人は王都へと戻る準備を始めた。
「じゃあ、出発しましょう」
アリシアが言った。
「うん」
四人は迷宮都市を後にした。
帰りの馬車の中で、セラがふと言った。
「ねえ、みんな」
「うん?」
「あたしたち、これからどうするの?」
「どうするって?」
「魔王軍と戦うんでしょ? でも、どうやって?」
「……」
四人は考え込んだ。
確かに、魔王軍の幹部は強い。
今のままでは、勝てるかどうかわからない。
「まずは、情報収集ね」
リリアが言った。
「魔王軍の動き、魔王の居場所……調べるべきことは山ほどあるわ」
「そうですね」
アリシアも頷いた。
「それに、私たちももっと強くならなければなりません」
「じゃあ、王都に戻ったら、訓練しよう」
蓮が提案した。
「もっと強くなって、魔王軍に勝てるように」
「賛成!」
セラは拳を握りしめた。
「あたし、もっともっと強くなる!」
「ええ」
四人は決意を固めた。
だが、彼らが知らないうちに──
王都では、大きな変化が起きようとしていた。
もう一人の転生者が、王都に到着していた。
そして、その転生者は──
蓮と同じく、異世界から来た日本人だった。
運命の出会いが、間もなく訪れる。
物語は、新しい局面へと進んでいく。
迷宮都市ラビリントスまでは、馬車で二日の道のり。
「迷宮都市って、どんなところなんですか?」
蓮が尋ねた。
「古代文明の遺跡が地下に広がっている都市です」
アリシアが説明した。
「地上には普通の街があるんですが、地下には巨大な迷宮が眠っているんです」
「へえ、面白そう」
「でも、危険な場所でもあるわ」
リリアが付け加えた。
「迷宮の中には、古代の罠や魔物が潜んでいる。毎年、何人もの冒険者が命を落としているのよ」
「そうなんだ……」
蓮は少し緊張した。
「でも、大丈夫だよ!」
セラが元気よく言った。
「あたしたち、最強のパーティなんだから!」
「そうね」
リリアは微笑んだ。
「あなたと一緒なら、大丈夫な気がするわ」
二日後の夕方、四人は迷宮都市ラビリントスに到着した。
「着いた……」
蓮は街を見回した。
石造りの建物が立ち並ぶ、中世風の街。
だが、街の中心には巨大な穴が開いていた。
「あれが、迷宮の入り口ですか?」
「ええ」
アリシアは頷いた。
「地下300層以上あると言われています」
「300層……!?」
蓮は驚愕した。
「そんなに深いんですか……」
「ええ。最深層まで到達した冒険者は、歴史上数えるほどしかいません」
「でも、今回の依頼は、そこまで深く行く必要はないわ」
リリアが言った。
「異変が起きているのは、上層部だそうよ」
「それなら、何とかなりそうですね」
蓮は安堵した。
宿に荷物を置いた後、四人は冒険者ギルドの支部に向かった。
「いらっしゃい」
受付嬢が笑顔で迎えた。
「ああ、あなたたちが王都から来た『トリニティ』ですね」
「はい」
アリシアは頷いた。
「迷宮の異変について、詳しく教えていただけますか?」
「ええ。実は、三日前から迷宮の10層付近で奇妙な現象が起きているんです」
受付嬢は資料を広げた。
「壁が突然動いたり、今まで存在しなかった部屋が現れたり……」
「それって、罠ですか?」
蓮が尋ねた。
「わかりません。ただ、その付近に入った冒険者たちが、次々と行方不明になっているんです」
「行方不明……」
「ええ。すでに5人が帰ってきていません」
受付嬢は深刻な表情を浮かべた。
「このままでは、迷宮を封鎖せざるを得ないかもしれません」
「わかりました。すぐに調査します」
アリシアは決意を込めて言った。
「ありがとうございます。気をつけてくださいね」
翌朝、四人は迷宮の入り口に立っていた。
「よし、行こう」
蓮が言った。
「ええ」
四人は階段を下り始めた。
迷宮の中は、薄暗く湿っていた。
壁には古代文字が刻まれ、天井からは魔法の灯りが吊り下げられている。
「不気味ね……」
リリアが呟いた。
「魔力が濃いわ。何か強力な魔法が働いている」
「気をつけましょう」
アリシアは剣を抜いた。
1層、2層、3層……
四人は慎重に下層へと進んでいった。
途中、スライムやゴブリンなどの弱い魔物が現れたが、四人にとっては造作もない。
「順調だね」
セラが言った。
「このペースなら、すぐに10層まで着きそう」
だが、その時──
突然、床が崩れ落ちた。
「うわあっ!」
四人は一気に下へと落下した。
ドサッ。
蓮は地面に叩きつけられた。
「痛っ……」
「みんな、大丈夫……?」
アリシアが立ち上がった。
「うん、何とか……」
リリアとセラも無事だった。
「ここは……」
蓮は周囲を見回した。
広い石造りの部屋。
だが、出口が見当たらない。
「罠だったのか……」
「おそらく」
リリアは壁を調べた。
「古代の魔法陣が刻まれているわ。これは……転送の魔法ね」
「転送?」
「ええ。私たちを、迷宮のどこかに飛ばした」
「じゃあ、ここはどこなんだ?」
「わからないわ。でも……」
リリアは魔法陣をじっくりと見た。
「おそらく、かなり深い階層だと思うわ」
「深い階層……」
蓮は不安を感じた。
その時──
部屋の四隅から、魔物が出現した。
「スケルトン……!」
アリシアは剣を構えた。
骨だけの戦士が、4体。
それぞれが剣と盾を持っている。
「行きます!」
アリシアが突撃した。
「グランド・サポート!」
蓮は支援魔法を発動した。
戦闘は激しかった。
スケルトンは強い。
物理攻撃への耐性があり、なかなか倒れない。
「硬い……!」
アリシアの剣が、スケルトンの骨を砕くが、すぐに再生する。
「フレイムランス!」
リリアの炎の槍が、スケルトンを貫く。
だが、やはり再生する。
「どうすれば……」
「頭を破壊するのよ!」
リリアが叫んだ。
「スケルトンの核は頭にある! そこを砕けば、再生しない!」
「わかった!」
アリシアは狙いを定めた。
「はあっ!」
剣がスケルトンの頭を砕いた。
スケルトンは崩れ落ちた。
「やった!」
「あたしも!」
セラが拳を振るった。
スケルトンの頭が粉々になる。
「よし、残り2体!」
リリアとアリシアが協力して、残りのスケルトンを倒した。
「はあ……はあ……」
四人は息を整えた。
「何とか倒せたね」
「ええ。でも、これからもっと強い魔物が出てくるかもしれないわ」
リリアは警戒した。
「出口を探しましょう」
アリシアが言った。
「ここに留まるのは危険です」
四人は部屋の中を調べ始めた。
しばらく調べると、壁の一部に隠し扉が見つかった。
「ここだ」
セラが扉を押し開けた。
「よし、行こう」
四人は扉をくぐった。
扉の先には、長い廊下が続いていた。
「慎重に進みましょう」
アリシアが先頭を歩いた。
だが、数歩進んだところで──
床のタイルが沈んだ。
「まずい、罠だ!」
次の瞬間──
壁から無数の矢が飛んできた。
「うわっ!」
四人は咄嗟に伏せた。
矢が頭上を通り過ぎていく。
「危なかった……」
「この迷宮、罠だらけね……」
リリアは冷や汗を流した。
「もっと注意して進まないと」
四人は慎重に罠を避けながら、廊下を進んでいった。
落とし穴、毒ガス、炎の罠──
様々な罠が仕掛けられていた。
「古代人、罠好きすぎるだろ……」
蓮は呆れた。
「まあ、貴重なものを守るためなんでしょうけど」
リリアが言った。
「でも、確かにやりすぎよね」
廊下の終わりに、大きな扉が現れた。
「あれが出口かな?」
セラが言った。
「おそらく」
アリシアは扉に近づいた。
「開けてみましょう」
扉を押し開けると──
巨大な広間が広がっていた。
「うわあ……」
蓮は圧倒された。
天井は高く、柱が何本も立ち並んでいる。
そして、広間の奥には──
巨大な石像が鎮座していた。
騎士の姿をした石像。
剣を構え、盾を持っている。
「あれは……」
その時、石像が動き出した。
ゴゴゴゴゴ……
「動いた!?」
石像は立ち上がり、四人を見下ろした。
「ガーディアン……!」
リリアは驚愕した。
「Aランクの魔物……迷宮を守る番人よ!」
「Aランク……!」
蓮は緊張した。
ガーディアンは巨大な剣を振り上げた。
「来る……!」
アリシアは剣を構えた。
「みんな、覚悟して!」
激しい戦闘が始まった。
蓮は全力で支援魔法を発動した。
「グランド・サポート!」
「バーサーク・ブースト!」
三人の体が光り輝いた。
「行きます!」
アリシアが突撃した。
剣がガーディアンの足に叩き込まれる──
だが、傷は浅い。
「硬い……石で出来ているから、物理攻撃が通りにくい……!」
「フレイムエクスプロージョン!」
リリアの最大魔法が、ガーディアンを襲う。
ドオォォンッ!
爆発がガーディアンを包み込む。
だが──
ガーディアンは無傷だった。
「嘘……効いてない……!?」
「魔法耐性もあるのか……!」
蓮は焦った。
「どうすれば……」
その時、セラが叫んだ。
「関節を狙うんだよ!」
「関節?」
「石像でも、関節部分は脆いはず! そこを集中攻撃すれば、動きを止められる!」
「なるほど……!」
アリシアは狙いを定めた。
「みんな、膝を狙いましょう!」
「了解!」
三人は連携して、ガーディアンの膝を集中攻撃した。
アリシアの剣。
リリアの魔法。
セラの拳。
全てが、ガーディアンの膝に叩き込まれる。
バキッ!
ガーディアンの膝が砕けた。
「やった!」
ガーディアンは膝をつき、バランスを崩した。
「今だ!」
アリシアは跳躍した。
そして──
ガーディアンの頭部に剣を突き刺した。
ガシャァァンッ!
ガーディアンは崩れ落ちた。
「勝った……!」
四人は安堵の息を吐いた。
ガーディアンが倒れると、広間の奥の扉が開いた。
「あれが出口ね」
リリアが言った。
「行きましょう」
四人は扉をくぐった。
扉の先には、階段があった。
上へと続く階段。
「助かった……これで地上に戻れる」
蓮は安堵した。
「ええ。急ぎましょう」
四人は階段を上り始めた。
しばらく上ると、見覚えのある場所に出た。
「ここは……10層だわ」
リリアが言った。
「転送された場所から、戻ってこれたのね」
「良かった……」
蓮は安堵した。
「じゃあ、地上に戻ろう」
四人は迷宮を出た。
地上に戻ると、すでに夕方だった。
「お帰りなさい! 無事だったんですね!」
受付嬢が駆け寄ってきた。
「心配しました!」
「すみません、予想以上に時間がかかりました」
アリシアは謝った。
「いえいえ、無事なら何よりです」
「それで、異変の原因ですが……」
リリアが説明した。
「おそらく、古代の魔法陣が誤作動を起こしているのだと思います」
「魔法陣?」
「ええ。転送の魔法陣が、ランダムに発動しているようです」
「なるほど……それで冒険者たちが行方不明に……」
「おそらく、深い階層に飛ばされて、戻れなくなったのでしょう」
「……そうですか」
受付嬢は悲しそうな表情を浮かべた。
「では、迷宮を一時封鎖して、魔法陣を調査する必要がありますね」
「ええ。魔法陣を無効化すれば、安全になると思います」
「わかりました。ありがとうございます」
受付嬢は深々と頭を下げた。
「あなたたちのおかげで、これ以上の被害を防げます」
その夜、四人は宿の食堂で食事をしていた。
「今日は、本当に大変だったね」
蓮が言った。
「ええ。でも、何とか乗り越えられました」
アリシアは微笑んだ。
「みんなのおかげです」
「そうね」
リリアも頷いた。
「連携が完璧だったわ」
「えへへ、あたしたち最強!」
セラは無邪気に笑った。
「でもさ、あのガーディアン、めちゃくちゃ硬かったね」
「ええ。Aランクの魔物は、やはり強いわね」
リリアは真剣な表情になった。
「これから、もっと強い敵と戦うことになるでしょう」
「……魔王軍のことですか?」
蓮が尋ねた。
「ええ」
リリアは頷いた。
「魔王軍の幹部は、どれもAランク以上の強さがある」
「……」
四人は黙り込んだ。
「でも、大丈夫」
アリシアが言った。
「私たちは、もっと強くなります」
「そうだよ!」
セラも拳を握りしめた。
「あたしたち、まだまだ強くなれる!」
「ええ」
リリアも微笑んだ。
「神谷がいれば、私たちはどんどん強くなれるわ」
「……ありがとう、みんな」
蓮は笑顔で答えた。
「俺も、もっと強くなるよ」
その夜、蓮は一人、宿の屋上に立っていた。
星空を見上げながら、今日の戦いを振り返る。
「まだまだ、俺は弱いな……」
支援魔法は強力だ。
だが、それだけでは足りない。
「もっと、みんなを守れる力が欲しい」
蓮は拳を握りしめた。
その時、背後から声がした。
「神谷さん」
振り向くと、アリシアが立っていた。
「アリシア……」
「一人で、何を考えているんですか?」
「うん……今日の戦いのこと」
蓮は正直に答えた。
「俺、まだまだ弱いなって」
「そんなことありません」
アリシアは首を振った。
「あなたは、とても強いです」
「でも……」
「支援魔法だけが強さじゃありません」
アリシアは優しく言った。
「あなたには、仲間を信じる強さがある。それが、何よりも大切なんです」
「仲間を信じる……」
「ええ。あなたがいるから、私たちは戦えるんです」
アリシアは微笑んだ。
「だから、自信を持ってください」
「……ありがとう、アリシア」
蓮は笑顔で答えた。
二人は並んで星空を見上げた。
静かな夜だった。
だが、二人の心は温かかった。
翌朝、四人は王都へと戻る準備を始めた。
「じゃあ、出発しましょう」
アリシアが言った。
「うん」
四人は迷宮都市を後にした。
帰りの馬車の中で、セラがふと言った。
「ねえ、みんな」
「うん?」
「あたしたち、これからどうするの?」
「どうするって?」
「魔王軍と戦うんでしょ? でも、どうやって?」
「……」
四人は考え込んだ。
確かに、魔王軍の幹部は強い。
今のままでは、勝てるかどうかわからない。
「まずは、情報収集ね」
リリアが言った。
「魔王軍の動き、魔王の居場所……調べるべきことは山ほどあるわ」
「そうですね」
アリシアも頷いた。
「それに、私たちももっと強くならなければなりません」
「じゃあ、王都に戻ったら、訓練しよう」
蓮が提案した。
「もっと強くなって、魔王軍に勝てるように」
「賛成!」
セラは拳を握りしめた。
「あたし、もっともっと強くなる!」
「ええ」
四人は決意を固めた。
だが、彼らが知らないうちに──
王都では、大きな変化が起きようとしていた。
もう一人の転生者が、王都に到着していた。
そして、その転生者は──
蓮と同じく、異世界から来た日本人だった。
運命の出会いが、間もなく訪れる。
物語は、新しい局面へと進んでいく。
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やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
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異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
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よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
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話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
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「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
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ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
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「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
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――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
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右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
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「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
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タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
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【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
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10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
最強の異世界やりすぎ旅行記
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主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
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