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第3章「辺境からの革命」
第28話「身分制度改革への序章」
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議会当日。
王宮大広間は、かつてない規模で人々が集まっていた。
百人を超える貴族。
そして――初めて参加を許された、五十人の平民代表。
「歴史的な日だな」
ルシアンが、小声で言った。
「ええ」
私は、深呼吸をした。
「始まります」
国王陛下が、玉座から立ち上がった。
「本日、身分制度改革について議論する」
陛下の声が、広間に響く。
「この改革は、この国の根幹に関わる」
「だからこそ、慎重に、しかし真剣に議論しなければならない」
「まず――」
陛下は、私を見た。
「エリシア=ノルディア、提案を述べよ」
「はい」
私は、中央に立った。
全員の視線が、集まる。
「皆様」
私は、ゆっくりと語り始めた。
「私の提案は、シンプルです」
「身分による差別を、撤廃する」
場内が、ざわめいた。
「待て!」
すぐに、一人の貴族が立ち上がった。
マーカス伯爵――保守派の中心人物。
「身分制度は、この国を数百年支えてきた!」
「それを撤廃するなど――暴挙だ!」
「マーカス伯」
私は、冷静に答えた。
「私は、貴族制度を撤廃すると言っていません」
「何?」
「貴族の方々の功績、伝統、文化――それらは尊重します」
私は、はっきりと言った。
「ただ――」
「平民にも、同じ機会を与えるべきだと言っているのです」
「同じ機会?」
「はい。教育、職業選択、社会参加――」
「全てにおいて、身分による制限をなくします」
「そんなことをすれば――」
別の貴族が叫んだ。
「混乱が起きる!」
「秩序が崩壊する!」
「混乱は、起きません」
私は、書類を配布した。
「これは、段階的改革計画です」
「五年かけて、少しずつ制度を変えていきます」
書類を開いた貴族たちが、読み始める。
「第一段階:教育の完全平等化」
「第二段階:職業選択の自由化」
「第三段階:政治参加権の段階的付与」
「第四段階:完全な法的平等の確立」
「第五段階:貴族制度の名誉制への移行」
「名誉制……?」
「はい」
私は、説明した。
「貴族の称号は残ります。でも――」
「それは、権力ではなく名誉の象徴になります」
「実績を上げた者には、平民でも称号を与えます」
「馬鹿な!」
マーカス伯が、怒鳴った。
「それでは、貴族の意味がない!」
「いいえ、あります」
私は、彼を見た。
「真の貴族とは――」
「血統ではなく、人格で決まるのではありませんか?」
その言葉に、場内が静まった。
「貴族の『ノブレス・オブリージュ』――高貴なる者の義務」
私は、続けた。
「それは、生まれによって与えられるものですか?」
「それとも、行動によって証明されるものですか?」
マーカス伯が、言葉に詰まった。
「私は思います」
私は、全員を見渡した。
「真の貴族とは――」
「民を導き、守り、模範となる者です」
「それは、血統とは関係ありません」
「平民にも、そうした資質を持つ者はいます」
「逆に――」
私の目が、鋭くなった。
「貴族の中にも、その資質を欠く者がいます」
場内が、再びざわめいた。
「では、訊こう」
カイル王子が、立ち上がった。
「平民代表の方々に」
彼は、平民席を見た。
「あなたたちは、どう思いますか?」
一瞬の沈黙。
そして――。
一人の老人が、立ち上がった。
「私は、農民です」
老人の声が、震えていた。
「六十年、畑を耕してきました」
「字も読めず、計算もできず――」
「貧しい人生でした」
「でも、二年前――」
老人の目が、輝いた。
「この村に学校ができました」
「孫が、字を学びました」
「そして今――」
老人が、涙を流した。
「孫は、計算ができます」
「本が読めます」
「世界を知っています」
「私の時代には、考えられなかったことです」
「これが――」
老人は、深く頭を下げた。
「エリシア様の改革です」
「私は、この改革を支持します」
拍手が、起こった。
次々と、平民代表が立ち上がる。
「私の息子は、温室で働いています」
「今では、マネージャーです」
「身分ではなく、能力で評価されました」
「私の娘は、教師になりました」
「農民の娘が、先生になれるなんて――」
「夢のようです」
一人一人の証言。
それは、改革の成果を物語っていた。
「でも!」
マーカス伯が、再び叫んだ。
「それは、ほんの一部だ!」
「全ての平民が、そうなれるわけではない!」
「その通りです」
私は、頷いた。
「全ての平民が、成功するわけではありません」
「でも――」
私は、まっすぐ彼を見た。
「全ての平民に、挑戦する権利はあるべきです」
「挑戦する権利……」
「はい」
私は、力を込めて言った。
「生まれで人生が決まる社会は、間違っています」
「努力で、才能で、人格で――」
「人生を切り開ける社会こそが、正しいのです」
場内が、静まった。
「皆様」
私は、全員に向かって語った。
「想像してみてください」
「もし、あなたが平民に生まれていたら?」
「才能があっても、発揮できない」
「努力しても、報われない」
「夢を持っても、叶えられない」
「そんな人生を――」
私の声が、震えた。
「受け入れられますか?」
長い沈黙。
そして――。
「私は、受け入れられない」
意外な声が響いた。
振り向くと――。
リンデン公が、立ち上がっていた。
「リンデン公……」
「エリシア」
老公爵が、前に出た。
「お前の言う通りだ」
「私も、かつて考えたことがある」
「もし、私が平民に生まれていたら――と」
彼の目に、深い思いが宿っていた。
「きっと、不満に思っただろう」
「努力しても、報われない人生を」
「だから――」
リンデン公は、国王を見た。
「陛下、私はエリシアの改革を支持します」
場内が、どよめいた。
「リンデン公まで……!」
「保守派の重鎮が……!」
「私も、支持する」
別の貴族が立ち上がった。
「私も」
「私も」
次々と、手が上がっていく。
最終的に――。
「賛成、八十名」
カイル王子が、集計した。
「反対、三十名」
「棄権、四十名」
「賛成多数です」
場内から、拍手が起こった。
でも――。
「待て!」
マーカス伯が、最後の抵抗を試みた。
「この改革が失敗したら、どうする!」
「責任は、誰が取る!」
「私が取ります」
私は、即答した。
「もし、この改革が失敗したら――」
「私の全財産、全ての地位を放棄します」
「エリシア……」
ルシアンが、心配そうな顔をした。
「いえ、それだけではありません」
私は、国王を見た。
「陛下、お願いがあります」
「何だ?」
「もし、改革が失敗したら――」
私は、深く頭を下げた。
「私を、処刑してください」
場内が、凍りついた。
「エリシア!」
ルシアンが、私を止めようとした。
でも、私は彼を制した。
「本気です」
私は、顔を上げた。
「それだけの覚悟で、この改革に臨みます」
「だから――」
私は、全員を見渡した。
「信じてください」
「私を、この改革を」
国王は、長い沈黙の後――。
「……エリシア」
彼は、玉座から降りてきた。
「お前の覚悟、確かに受け取った」
「では――」
国王が、宣言した。
「身分制度改革、正式に承認する!」
「「「おおおおお!!」」」
大歓声が、広間を満たした。
拍手、歓声、涙――。
様々な感情が、渦巻いていた。
議会が終わり、控室に戻った。
「エリシア、無茶だ」
ルシアンが、怒った顔で言った。
「処刑だなんて――」
「でも、あれが必要でした」
私は、彼を見た。
「本気だと示さなければ、誰も信じてくれません」
「だが……」
ルシアンが、私を抱きしめた。
「お前を失うことは、考えたくない」
「大丈夫」
私も、彼を抱きしめた。
「失敗しませんから」
「……約束しろ」
「約束します」
私は、彼の目を見た。
「必ず、成功させます」
「そして――」
私は、微笑んだ。
「あなたと、幸せな未来を生きます」
ルシアンの顔が、少し緩んだ。
「……お前には、敵わないな」
「ふふ」
二人で、抱き合った。
長い一日だった。
でも――。
歴史的な一日だった。
身分制度改革が、正式に承認された。
これから、本当の戦いが始まる。
でも――。
「大丈夫」
私は、小さく呟いた。
「ここまで来たんだから」
「必ず、成し遂げる」
窓の外、夕日が沈んでいた。
一つの時代が終わり――。
新しい時代が、始まろうとしていた。
その夜、祝賀会が開かれた。
「乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
貴族も、平民も、一緒に祝っている。
「すごいね、エリシア」
ミラが、嬉しそうに言った。
「本当に、やっちゃったね」
「まだ、始まったばかりよ」
私は、笑った。
「これから、実行しないと」
「でも、今夜は祝いましょう」
カイル王子が、グラスを掲げた。
「エリシアの勇気に」
「「「エリシアに!」」」
温かい声援。
私は、この瞬間を――。
心に刻んだ。
仲間たちと一緒に。
愛する人と一緒に。
夢を実現した瞬間。
「ありがとう、皆」
私は、涙を流しながら笑った。
「本当に、ありがとう」
宴は、夜遅くまで続いた。
笑い声、歌声、そして――。
希望の声。
新しい時代への、希望の声。
それは、いつまでも響いていた。
王国の空に。
未来の空に。
深夜、二人きりの部屋で。
「疲れたか?」
ルシアンが訊いた。
「ええ。でも――」
私は、彼の胸に顔を埋めた。
「幸せです」
「そうか」
ルシアンが、私の髪を撫でた。
「これから、大変だぞ」
「わかっています」
「反対派の抵抗も、続くだろう」
「乗り越えます」
私は、顔を上げた。
「あなたと一緒なら」
ルシアンが、微笑んだ。
「ああ」
そして、私を抱き寄せた。
「一緒に、乗り越えよう」
「はい」
唇が、触れ合った。
優しく、深いキス。
「愛している」
「私も」
二人で、抱き合った。
長い夜が、始まろうとしていた。
幸せな夜。
愛に満ちた夜。
そして――。
新しい時代の、幕開けの夜。
星が、輝いていた。
希望の星が。
未来の星が。
革命の星が。
それは、この国の未来を――。
明るく照らしていた。
王宮大広間は、かつてない規模で人々が集まっていた。
百人を超える貴族。
そして――初めて参加を許された、五十人の平民代表。
「歴史的な日だな」
ルシアンが、小声で言った。
「ええ」
私は、深呼吸をした。
「始まります」
国王陛下が、玉座から立ち上がった。
「本日、身分制度改革について議論する」
陛下の声が、広間に響く。
「この改革は、この国の根幹に関わる」
「だからこそ、慎重に、しかし真剣に議論しなければならない」
「まず――」
陛下は、私を見た。
「エリシア=ノルディア、提案を述べよ」
「はい」
私は、中央に立った。
全員の視線が、集まる。
「皆様」
私は、ゆっくりと語り始めた。
「私の提案は、シンプルです」
「身分による差別を、撤廃する」
場内が、ざわめいた。
「待て!」
すぐに、一人の貴族が立ち上がった。
マーカス伯爵――保守派の中心人物。
「身分制度は、この国を数百年支えてきた!」
「それを撤廃するなど――暴挙だ!」
「マーカス伯」
私は、冷静に答えた。
「私は、貴族制度を撤廃すると言っていません」
「何?」
「貴族の方々の功績、伝統、文化――それらは尊重します」
私は、はっきりと言った。
「ただ――」
「平民にも、同じ機会を与えるべきだと言っているのです」
「同じ機会?」
「はい。教育、職業選択、社会参加――」
「全てにおいて、身分による制限をなくします」
「そんなことをすれば――」
別の貴族が叫んだ。
「混乱が起きる!」
「秩序が崩壊する!」
「混乱は、起きません」
私は、書類を配布した。
「これは、段階的改革計画です」
「五年かけて、少しずつ制度を変えていきます」
書類を開いた貴族たちが、読み始める。
「第一段階:教育の完全平等化」
「第二段階:職業選択の自由化」
「第三段階:政治参加権の段階的付与」
「第四段階:完全な法的平等の確立」
「第五段階:貴族制度の名誉制への移行」
「名誉制……?」
「はい」
私は、説明した。
「貴族の称号は残ります。でも――」
「それは、権力ではなく名誉の象徴になります」
「実績を上げた者には、平民でも称号を与えます」
「馬鹿な!」
マーカス伯が、怒鳴った。
「それでは、貴族の意味がない!」
「いいえ、あります」
私は、彼を見た。
「真の貴族とは――」
「血統ではなく、人格で決まるのではありませんか?」
その言葉に、場内が静まった。
「貴族の『ノブレス・オブリージュ』――高貴なる者の義務」
私は、続けた。
「それは、生まれによって与えられるものですか?」
「それとも、行動によって証明されるものですか?」
マーカス伯が、言葉に詰まった。
「私は思います」
私は、全員を見渡した。
「真の貴族とは――」
「民を導き、守り、模範となる者です」
「それは、血統とは関係ありません」
「平民にも、そうした資質を持つ者はいます」
「逆に――」
私の目が、鋭くなった。
「貴族の中にも、その資質を欠く者がいます」
場内が、再びざわめいた。
「では、訊こう」
カイル王子が、立ち上がった。
「平民代表の方々に」
彼は、平民席を見た。
「あなたたちは、どう思いますか?」
一瞬の沈黙。
そして――。
一人の老人が、立ち上がった。
「私は、農民です」
老人の声が、震えていた。
「六十年、畑を耕してきました」
「字も読めず、計算もできず――」
「貧しい人生でした」
「でも、二年前――」
老人の目が、輝いた。
「この村に学校ができました」
「孫が、字を学びました」
「そして今――」
老人が、涙を流した。
「孫は、計算ができます」
「本が読めます」
「世界を知っています」
「私の時代には、考えられなかったことです」
「これが――」
老人は、深く頭を下げた。
「エリシア様の改革です」
「私は、この改革を支持します」
拍手が、起こった。
次々と、平民代表が立ち上がる。
「私の息子は、温室で働いています」
「今では、マネージャーです」
「身分ではなく、能力で評価されました」
「私の娘は、教師になりました」
「農民の娘が、先生になれるなんて――」
「夢のようです」
一人一人の証言。
それは、改革の成果を物語っていた。
「でも!」
マーカス伯が、再び叫んだ。
「それは、ほんの一部だ!」
「全ての平民が、そうなれるわけではない!」
「その通りです」
私は、頷いた。
「全ての平民が、成功するわけではありません」
「でも――」
私は、まっすぐ彼を見た。
「全ての平民に、挑戦する権利はあるべきです」
「挑戦する権利……」
「はい」
私は、力を込めて言った。
「生まれで人生が決まる社会は、間違っています」
「努力で、才能で、人格で――」
「人生を切り開ける社会こそが、正しいのです」
場内が、静まった。
「皆様」
私は、全員に向かって語った。
「想像してみてください」
「もし、あなたが平民に生まれていたら?」
「才能があっても、発揮できない」
「努力しても、報われない」
「夢を持っても、叶えられない」
「そんな人生を――」
私の声が、震えた。
「受け入れられますか?」
長い沈黙。
そして――。
「私は、受け入れられない」
意外な声が響いた。
振り向くと――。
リンデン公が、立ち上がっていた。
「リンデン公……」
「エリシア」
老公爵が、前に出た。
「お前の言う通りだ」
「私も、かつて考えたことがある」
「もし、私が平民に生まれていたら――と」
彼の目に、深い思いが宿っていた。
「きっと、不満に思っただろう」
「努力しても、報われない人生を」
「だから――」
リンデン公は、国王を見た。
「陛下、私はエリシアの改革を支持します」
場内が、どよめいた。
「リンデン公まで……!」
「保守派の重鎮が……!」
「私も、支持する」
別の貴族が立ち上がった。
「私も」
「私も」
次々と、手が上がっていく。
最終的に――。
「賛成、八十名」
カイル王子が、集計した。
「反対、三十名」
「棄権、四十名」
「賛成多数です」
場内から、拍手が起こった。
でも――。
「待て!」
マーカス伯が、最後の抵抗を試みた。
「この改革が失敗したら、どうする!」
「責任は、誰が取る!」
「私が取ります」
私は、即答した。
「もし、この改革が失敗したら――」
「私の全財産、全ての地位を放棄します」
「エリシア……」
ルシアンが、心配そうな顔をした。
「いえ、それだけではありません」
私は、国王を見た。
「陛下、お願いがあります」
「何だ?」
「もし、改革が失敗したら――」
私は、深く頭を下げた。
「私を、処刑してください」
場内が、凍りついた。
「エリシア!」
ルシアンが、私を止めようとした。
でも、私は彼を制した。
「本気です」
私は、顔を上げた。
「それだけの覚悟で、この改革に臨みます」
「だから――」
私は、全員を見渡した。
「信じてください」
「私を、この改革を」
国王は、長い沈黙の後――。
「……エリシア」
彼は、玉座から降りてきた。
「お前の覚悟、確かに受け取った」
「では――」
国王が、宣言した。
「身分制度改革、正式に承認する!」
「「「おおおおお!!」」」
大歓声が、広間を満たした。
拍手、歓声、涙――。
様々な感情が、渦巻いていた。
議会が終わり、控室に戻った。
「エリシア、無茶だ」
ルシアンが、怒った顔で言った。
「処刑だなんて――」
「でも、あれが必要でした」
私は、彼を見た。
「本気だと示さなければ、誰も信じてくれません」
「だが……」
ルシアンが、私を抱きしめた。
「お前を失うことは、考えたくない」
「大丈夫」
私も、彼を抱きしめた。
「失敗しませんから」
「……約束しろ」
「約束します」
私は、彼の目を見た。
「必ず、成功させます」
「そして――」
私は、微笑んだ。
「あなたと、幸せな未来を生きます」
ルシアンの顔が、少し緩んだ。
「……お前には、敵わないな」
「ふふ」
二人で、抱き合った。
長い一日だった。
でも――。
歴史的な一日だった。
身分制度改革が、正式に承認された。
これから、本当の戦いが始まる。
でも――。
「大丈夫」
私は、小さく呟いた。
「ここまで来たんだから」
「必ず、成し遂げる」
窓の外、夕日が沈んでいた。
一つの時代が終わり――。
新しい時代が、始まろうとしていた。
その夜、祝賀会が開かれた。
「乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
貴族も、平民も、一緒に祝っている。
「すごいね、エリシア」
ミラが、嬉しそうに言った。
「本当に、やっちゃったね」
「まだ、始まったばかりよ」
私は、笑った。
「これから、実行しないと」
「でも、今夜は祝いましょう」
カイル王子が、グラスを掲げた。
「エリシアの勇気に」
「「「エリシアに!」」」
温かい声援。
私は、この瞬間を――。
心に刻んだ。
仲間たちと一緒に。
愛する人と一緒に。
夢を実現した瞬間。
「ありがとう、皆」
私は、涙を流しながら笑った。
「本当に、ありがとう」
宴は、夜遅くまで続いた。
笑い声、歌声、そして――。
希望の声。
新しい時代への、希望の声。
それは、いつまでも響いていた。
王国の空に。
未来の空に。
深夜、二人きりの部屋で。
「疲れたか?」
ルシアンが訊いた。
「ええ。でも――」
私は、彼の胸に顔を埋めた。
「幸せです」
「そうか」
ルシアンが、私の髪を撫でた。
「これから、大変だぞ」
「わかっています」
「反対派の抵抗も、続くだろう」
「乗り越えます」
私は、顔を上げた。
「あなたと一緒なら」
ルシアンが、微笑んだ。
「ああ」
そして、私を抱き寄せた。
「一緒に、乗り越えよう」
「はい」
唇が、触れ合った。
優しく、深いキス。
「愛している」
「私も」
二人で、抱き合った。
長い夜が、始まろうとしていた。
幸せな夜。
愛に満ちた夜。
そして――。
新しい時代の、幕開けの夜。
星が、輝いていた。
希望の星が。
未来の星が。
革命の星が。
それは、この国の未来を――。
明るく照らしていた。
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∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
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