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10.変わらない長男4
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「お前、アレが直ると本当に思っているのか?」
「そ、それは時間がたてば……。ジョシュアも専門医に診せると言っていたし……」
「どこまでお目出たいんだ。仮に直ったところで、あの娘は王都に戻ることはあるまい」
「な、なんでだよ……?」
こちらが何故と問いただしたい。
私の言葉をまったく理解していない。友人の言葉を一切疑わず、「戻ってくる」と信じる根拠はどこにあるんだ?
「自分が陵辱された場所に戻るアホはいない。未婚の娘が裸同然で発見されたんだ。あの姿を見た者は王都に大勢いるんだぞ?」
「それは……」
「もしも王都に戻ってきたとしても、以前よりさらに悲惨な目にあわされるのがオチだ」
「なんでだよ!?」
「それだけ、あの娘を恨んでいる者は大勢いる」
彼女のことを思うならば王都に戻ってこようとは思わないだろう。
針の筵どころの話ではない。
過去をほじくり返されて醜聞まみれになる。
ラスコット伯爵子息はそれを理解しているからこそ、王都から遠く離れた領地に彼女を連れ帰ったのだ。そこに彼女への恋慕の情があったのは間違いないだろうが。
それにしても、理解できていないアホが一人いたとはな。
「う、恨むってなんだよ?コニーは何もしていないだろ?」
「……お前の頭の中はどうなっているんだ。何もしていない?馬鹿を言うな。あの娘の脱走癖のせいで職を失い家族から捨てられた者は大勢いる。中には自害した者もいるのだぞ?そこまでされて恨まない者がいないと本気で思っているのか?」
「え……?」
初めて知った、という顔だ。
当事者の一人だというのに、本当に知らなかったのか。
お前の友人達は知っているはずだ。
ああ……知らされなかったのか。
王家の公式発表をそのまま鵜呑みにしたのか。
……そこは疑うべきものだろう。
王太子が見初めた平民女性。
彼女を襲ったのが行きずりの者達の犯行だと、本当に信じているのか。
……そんなわけがないだろう。
セオドラに、まともな貴族の友人が一人でもいれば教えてくれたであろう話だが。
健全な友人関係を築くことができなかったセオドラの落ち度だ。
私が把握しているだけでもセオドラの交友関係は狭い。
王太子やラスコット伯爵子息といった自分と波長のある者以外との付き合いが乏しかった。
そのせいで正確な情報を得られない状況に陥っていたのだ。
本人はそのことに気付いていないようだが。
呆れた話だ。
セオドラは何も知らないままだ。
恐らく、自分達の行動のせいで不幸になった者達がいることすら知らないのだろう。
貴族の子弟なら全員が通う、ガーデン学園。
平民にも門戸は開かれているが、入学する者は貴族が殆どだ。
特待生として入学してきたコニー・レット。
彼女が学園に入学さえしなければ、私は息子を失わずにすんだのかもしれない。
コニー・レットがいなければ、王太子は道を踏み外さず、婚約破棄もなかっただろう。
優秀な者達の未来が奪われることはなかった。
それがたとえ結果論だとしても、そう思わずにいられない。
私ですら、思うのだから、奪われた側の関係者はもっと強く思ったに違いない。
「そ、それは時間がたてば……。ジョシュアも専門医に診せると言っていたし……」
「どこまでお目出たいんだ。仮に直ったところで、あの娘は王都に戻ることはあるまい」
「な、なんでだよ……?」
こちらが何故と問いただしたい。
私の言葉をまったく理解していない。友人の言葉を一切疑わず、「戻ってくる」と信じる根拠はどこにあるんだ?
「自分が陵辱された場所に戻るアホはいない。未婚の娘が裸同然で発見されたんだ。あの姿を見た者は王都に大勢いるんだぞ?」
「それは……」
「もしも王都に戻ってきたとしても、以前よりさらに悲惨な目にあわされるのがオチだ」
「なんでだよ!?」
「それだけ、あの娘を恨んでいる者は大勢いる」
彼女のことを思うならば王都に戻ってこようとは思わないだろう。
針の筵どころの話ではない。
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ラスコット伯爵子息はそれを理解しているからこそ、王都から遠く離れた領地に彼女を連れ帰ったのだ。そこに彼女への恋慕の情があったのは間違いないだろうが。
それにしても、理解できていないアホが一人いたとはな。
「う、恨むってなんだよ?コニーは何もしていないだろ?」
「……お前の頭の中はどうなっているんだ。何もしていない?馬鹿を言うな。あの娘の脱走癖のせいで職を失い家族から捨てられた者は大勢いる。中には自害した者もいるのだぞ?そこまでされて恨まない者がいないと本気で思っているのか?」
「え……?」
初めて知った、という顔だ。
当事者の一人だというのに、本当に知らなかったのか。
お前の友人達は知っているはずだ。
ああ……知らされなかったのか。
王家の公式発表をそのまま鵜呑みにしたのか。
……そこは疑うべきものだろう。
王太子が見初めた平民女性。
彼女を襲ったのが行きずりの者達の犯行だと、本当に信じているのか。
……そんなわけがないだろう。
セオドラに、まともな貴族の友人が一人でもいれば教えてくれたであろう話だが。
健全な友人関係を築くことができなかったセオドラの落ち度だ。
私が把握しているだけでもセオドラの交友関係は狭い。
王太子やラスコット伯爵子息といった自分と波長のある者以外との付き合いが乏しかった。
そのせいで正確な情報を得られない状況に陥っていたのだ。
本人はそのことに気付いていないようだが。
呆れた話だ。
セオドラは何も知らないままだ。
恐らく、自分達の行動のせいで不幸になった者達がいることすら知らないのだろう。
貴族の子弟なら全員が通う、ガーデン学園。
平民にも門戸は開かれているが、入学する者は貴族が殆どだ。
特待生として入学してきたコニー・レット。
彼女が学園に入学さえしなければ、私は息子を失わずにすんだのかもしれない。
コニー・レットがいなければ、王太子は道を踏み外さず、婚約破棄もなかっただろう。
優秀な者達の未来が奪われることはなかった。
それがたとえ結果論だとしても、そう思わずにいられない。
私ですら、思うのだから、奪われた側の関係者はもっと強く思ったに違いない。
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