子育ては難しい~廃嫡した息子が想像の斜め上にアホだった件~

つくも茄子

文字の大きさ
11 / 15

11.七年前1

しおりを挟む
 七年前――

 王宮は、騎士団が総動員されていた。
 侍女や侍従も忙しなく立ち働いている。

「またか……」
「バークロッド公爵閣下、申し訳ございません」
「いや、我が家の愚息も一緒なのだろう。すまないな。それにしてもここのところ頻繁に抜け出しているようだが……やはり例の少女が?」
「はい」
「王太子殿下にも困ったものだが、今は何を言っても無駄だろう」
「はい……」

 ガーデン学園に入学されてから王太子殿下は変わられた。
 王族や貴族が必ず入学しなければならないガーデン学園。十六歳から十八歳の三年間を学園で過ごさなければならない。
 それは建国当時からリオン王国が定めた規則だ。
 その三年間を過ごす場所になる学園に、王太子殿下は今年入学されたのだが……。

「まさか、こんなことになるとはな」

 誰が想像できただろうか。
 誰も想像しなかったはずだ。
 学園に入り、有意義な時間を過ごされるとばかり思っていた。
 それは王太子殿下だけではない。
 他の貴族達も同様だ。
 学園での短い三年間で大いに学び、競い合い、友情を育む。
 だというのに。

「愚息もあの調子だしな」

 本来、王太子殿下の行動を咎める立場にあるセオドラはというと、悪友達と一緒になって王太子殿下を擁護する始末だ。

「それだけではないな」

 王太子殿下達と行動を共にしている。

「はぁ……」

 溜息が止まらない。
 別行動をしろ、とは言えない理由があるせいだ。
 セオドラは、王太子殿下と例の少女と同じ生徒会役員だ。
 つまり、王太子殿下達と切り離すのは無理だった。
 学園の生徒会は、学園の運営を助ける役割がある。その生徒会の会長は代々王族や高位貴族が務める。もちろん、成績優秀な者達で構成するのが通例だ。
 現に、セオドラは成績優秀だ。
 王太子殿下を始めとする他の役員も成績優秀ばかり。
 その中で特待生として入学してきた平民階級のコニー・レット。
 彼女の存在が、他の生徒会役員に悪影響を及ぼしていた。

 ガーデン学園は、その門を幅広く開いている。
 平民の生徒との交流は王侯貴族の子弟には良い刺激となるはずだった。
 実際、今まではそうだった。
 だが、コニー・レットが入学してからは、それが崩れてしまったのだ。

 王太子殿下とコニー・レットは入学したてにも関わらず、よく一緒にいるのを見かけるようになり、休日も一緒に過ごしているらしいと伝え聞いた時は何をやっているのかと頭を抱えたものだ。
 最初の頃はセオドラも警戒していたらしいのだが、今では王太子殿下達の傍にいることが多くなり、友人として接してるというのだ。
 一時は、王太子殿下の不貞を疑ったのだが……。

『はぁ!?俺らも一緒だぜ?』
『生徒会役員が一緒に行動するのは当然だろ』
『休日に会うことの何が悪いんだ?』
『コニーはおもしれぇよ。平民街のことも詳しいしな。いい勉強になる』

 愚息の本心からの言葉に呆れるしかなかった。
 笑えないジョークだ。
 まだ、下手な言い訳をしてくれた方が救いはあっただろう。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

ある平民生徒のお話

よもぎ
ファンタジー
とある国立学園のサロンにて、王族と平民生徒は相対していた。 伝えられたのはとある平民生徒が死んだということ。その顛末。 それを黙って聞いていた平民生徒は訥々と語りだす――

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】元妃は多くを望まない

つくも茄子
恋愛
シャーロット・カールストン侯爵令嬢は、元上級妃。 このたび、めでたく(?)国王陛下の信頼厚い側近に下賜された。 花嫁は下賜された翌日に一人の侍女を伴って郵便局に赴いたのだ。理由はお世話になった人達にある書類を郵送するために。 その足で実家に出戻ったシャーロット。 実はこの下賜、王命でのものだった。 それもシャーロットを公の場で断罪したうえでの下賜。 断罪理由は「寵妃の悪質な嫌がらせ」だった。 シャーロットには全く覚えのないモノ。当然、これは冤罪。 私は、あなたたちに「誠意」を求めます。 誠意ある対応。 彼女が求めるのは微々たるもの。 果たしてその結果は如何に!?

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

愛されない妻は死を望む

ルー
恋愛
タイトルの通りの内容です。

処理中です...