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11.七年前1
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七年前――
王宮は、騎士団が総動員されていた。
侍女や侍従も忙しなく立ち働いている。
「またか……」
「バークロッド公爵閣下、申し訳ございません」
「いや、我が家の愚息も一緒なのだろう。すまないな。それにしてもここのところ頻繁に抜け出しているようだが……やはり例の少女が?」
「はい」
「王太子殿下にも困ったものだが、今は何を言っても無駄だろう」
「はい……」
ガーデン学園に入学されてから王太子殿下は変わられた。
王族や貴族が必ず入学しなければならないガーデン学園。十六歳から十八歳の三年間を学園で過ごさなければならない。
それは建国当時からリオン王国が定めた規則だ。
その三年間を過ごす場所になる学園に、王太子殿下は今年入学されたのだが……。
「まさか、こんなことになるとはな」
誰が想像できただろうか。
誰も想像しなかったはずだ。
学園に入り、有意義な時間を過ごされるとばかり思っていた。
それは王太子殿下だけではない。
他の貴族達も同様だ。
学園での短い三年間で大いに学び、競い合い、友情を育む。
だというのに。
「愚息もあの調子だしな」
本来、王太子殿下の行動を咎める立場にあるセオドラはというと、悪友達と一緒になって王太子殿下を擁護する始末だ。
「それだけではないな」
王太子殿下達と行動を共にしている。
「はぁ……」
溜息が止まらない。
別行動をしろ、とは言えない理由があるせいだ。
セオドラは、王太子殿下と例の少女と同じ生徒会役員だ。
つまり、王太子殿下達と切り離すのは無理だった。
学園の生徒会は、学園の運営を助ける役割がある。その生徒会の会長は代々王族や高位貴族が務める。もちろん、成績優秀な者達で構成するのが通例だ。
現に、セオドラは成績優秀だ。
王太子殿下を始めとする他の役員も成績優秀ばかり。
その中で特待生として入学してきた平民階級のコニー・レット。
彼女の存在が、他の生徒会役員に悪影響を及ぼしていた。
ガーデン学園は、その門を幅広く開いている。
平民の生徒との交流は王侯貴族の子弟には良い刺激となるはずだった。
実際、今まではそうだった。
だが、コニー・レットが入学してからは、それが崩れてしまったのだ。
王太子殿下とコニー・レットは入学したてにも関わらず、よく一緒にいるのを見かけるようになり、休日も一緒に過ごしているらしいと伝え聞いた時は何をやっているのかと頭を抱えたものだ。
最初の頃はセオドラも警戒していたらしいのだが、今では王太子殿下達の傍にいることが多くなり、友人として接してるというのだ。
一時は、王太子殿下の不貞を疑ったのだが……。
『はぁ!?俺らも一緒だぜ?』
『生徒会役員が一緒に行動するのは当然だろ』
『休日に会うことの何が悪いんだ?』
『コニーはおもしれぇよ。平民街のことも詳しいしな。いい勉強になる』
愚息の本心からの言葉に呆れるしかなかった。
笑えないジョークだ。
まだ、下手な言い訳をしてくれた方が救いはあっただろう。
王宮は、騎士団が総動員されていた。
侍女や侍従も忙しなく立ち働いている。
「またか……」
「バークロッド公爵閣下、申し訳ございません」
「いや、我が家の愚息も一緒なのだろう。すまないな。それにしてもここのところ頻繁に抜け出しているようだが……やはり例の少女が?」
「はい」
「王太子殿下にも困ったものだが、今は何を言っても無駄だろう」
「はい……」
ガーデン学園に入学されてから王太子殿下は変わられた。
王族や貴族が必ず入学しなければならないガーデン学園。十六歳から十八歳の三年間を学園で過ごさなければならない。
それは建国当時からリオン王国が定めた規則だ。
その三年間を過ごす場所になる学園に、王太子殿下は今年入学されたのだが……。
「まさか、こんなことになるとはな」
誰が想像できただろうか。
誰も想像しなかったはずだ。
学園に入り、有意義な時間を過ごされるとばかり思っていた。
それは王太子殿下だけではない。
他の貴族達も同様だ。
学園での短い三年間で大いに学び、競い合い、友情を育む。
だというのに。
「愚息もあの調子だしな」
本来、王太子殿下の行動を咎める立場にあるセオドラはというと、悪友達と一緒になって王太子殿下を擁護する始末だ。
「それだけではないな」
王太子殿下達と行動を共にしている。
「はぁ……」
溜息が止まらない。
別行動をしろ、とは言えない理由があるせいだ。
セオドラは、王太子殿下と例の少女と同じ生徒会役員だ。
つまり、王太子殿下達と切り離すのは無理だった。
学園の生徒会は、学園の運営を助ける役割がある。その生徒会の会長は代々王族や高位貴族が務める。もちろん、成績優秀な者達で構成するのが通例だ。
現に、セオドラは成績優秀だ。
王太子殿下を始めとする他の役員も成績優秀ばかり。
その中で特待生として入学してきた平民階級のコニー・レット。
彼女の存在が、他の生徒会役員に悪影響を及ぼしていた。
ガーデン学園は、その門を幅広く開いている。
平民の生徒との交流は王侯貴族の子弟には良い刺激となるはずだった。
実際、今まではそうだった。
だが、コニー・レットが入学してからは、それが崩れてしまったのだ。
王太子殿下とコニー・レットは入学したてにも関わらず、よく一緒にいるのを見かけるようになり、休日も一緒に過ごしているらしいと伝え聞いた時は何をやっているのかと頭を抱えたものだ。
最初の頃はセオドラも警戒していたらしいのだが、今では王太子殿下達の傍にいることが多くなり、友人として接してるというのだ。
一時は、王太子殿下の不貞を疑ったのだが……。
『はぁ!?俺らも一緒だぜ?』
『生徒会役員が一緒に行動するのは当然だろ』
『休日に会うことの何が悪いんだ?』
『コニーはおもしれぇよ。平民街のことも詳しいしな。いい勉強になる』
愚息の本心からの言葉に呆れるしかなかった。
笑えないジョークだ。
まだ、下手な言い訳をしてくれた方が救いはあっただろう。
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