【完結】政略結婚だからこそ、婚約者を大切にするのは当然でしょう?

つくも茄子

文字の大きさ
12 / 27

12.新しい門出(ベアトリクスside)

しおりを挟む
 私の新たな婚約者は、セルジューク辺境伯家の子息に決まりました。
 鉱山で潤っている辺境伯家らしく、姉が「あそこは中々のやり手だわ」と言ってました。
 王家主導で政略結婚が決められていたので、相手を決めるのも難航するかと思っていたらあっさり決まったことも驚きです。


「ベアトリクス、おめでとう」
「ありがとうございます、お姉様」
「セルジューク辺境伯の息子は、あの双子と違って誠実で勤勉だから安心してちょうだい」

 お姉様、もしかしてこの婚約に一枚噛んでますか?
 それは王家にとって有益なのか、それともランドルト侯爵家にとって有益なのか。
 いえ、深く追及するのはやめましょう。
 藪を突いて蛇を……、ということもあるかもしれませんから。

「……でも、本当によろしいのでしょうか?私が嫁いでしまって」
「ええ、大丈夫よ。我が家にはまだカタリーナがいるし。もし、カタリーナが嫁いでも問題ないわ。私達三人の子供のうち、誰かが跡取りになれば良いだけのことよ」
「そうですか」

 姉の場合、王家が子供を手放さないと思いますが……。
 いえ、やめておきましょう。
 これも嫁ぐ妹に心配をさせまいとする姉の気遣いなのかもしれません。

「結婚式が楽しみね」
「はい」

 私は姉の言葉に頷くことしかできませんでした。
 どう考えても私の結婚式はセルジューク辺境伯領で執り行われることになると思うのですが、来る気ですか?
 ……え?
 王妃陛下が?
 それとも両陛下で?
 いえ、深く追及するのはやめましょう。

「お姉様、お元気で」
「貴女もね」

 私は姉と抱擁を交わしました。
 暫く会うことはないと思うと寂しいですね。

「ベアトリクス、幸せにおなりなさい」
「……っ……はい!」

 お姉様、私……幸せになります。



しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

最初から間違っていたんですよ

わらびもち
恋愛
二人の門出を祝う晴れの日に、彼は別の女性の手を取った。 花嫁を置き去りにして駆け落ちする花婿。 でも不思議、どうしてそれで幸せになれると思ったの……?

王妃となったアンゼリカ

わらびもち
恋愛
婚約者を責め立て鬱状態へと追い込んだ王太子。 そんな彼の新たな婚約者へと選ばれたグリフォン公爵家の息女アンゼリカ。 彼女は国王と王太子を相手にこう告げる。 「ひとつ条件を呑んで頂けるのでしたら、婚約をお受けしましょう」 ※以前の作品『フランチェスカ王女の婿取り』『貴方といると、お茶が不味い』が先の恋愛小説大賞で奨励賞に選ばれました。 これもご投票頂いた皆様のおかげです! 本当にありがとうございました!

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

mios
恋愛
「さあ、侯爵家に関係のない方は出て行ってくださる?」 父の死後、すぐに私は後妻とその娘を追い出した。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

処理中です...