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第19話:グレイズの幸せのために…
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エディソン様から衝撃の話を聞いてから、1週間が過ぎた。この1週間、私とグレイズが婚約破棄し、エディソン様と私が婚約を結ぶとの噂が、学院内はもちろん、貴族界にも広がっているとの事。
これだけ噂が広がってしまった今、もう私とグレイズの婚約破棄は濃厚となった。さらに毎日の様に、マッキーノ侯爵が我が家に訪れ、“早く金約破棄をして、息子と婚約を結び直して欲しい”と、圧を掛けに来るのだ。
お母様も先日、貴族たちのお茶会の席で、マッキーノ侯爵夫人に“散々息子を追い掛け回していたくせに、どうしてすぐに息子との婚約を結び直さないの!”と、皆の前で叱責を受けたと落ち込んでいた。
「アンリ…ダニルーディン伯爵とも話をしたのだが、やはりお前とグレイズの婚約を解消しようと言う話で纏まったよ…ただ、一度婚約を結ぶと、1ヶ月は解消できない事になっているんだ。だから、3週間後に婚約を破棄し、その後すぐに、マッキーノ侯爵家のエディソン殿と婚約を結ぶことで話は付いた」
この1週間でやつれてしまったお父様が、申し訳なさそうにそう呟いた。
「…分かりましたわ。お父様のおっしゃる通りにいたします…」
「すまない…アンリ。2週間後にある、王宮主催の夜会は、グレイズと一緒に参加するといい。最後に婚約者として、勤めをはたしなさい」
「はい、承知いたしました」
分かっていた…こうなった以上、もう私はグレイズとは正式に結婚する事は出来ない事を。分かってはいるが、どうしても現実を受け入れられないのだ。
自室に戻ると、声をあげて泣いた。その時だった。
「お嬢様、グレイズ様がいらっしゃっています」
「グレイズが?わかったわ。すぐに行くわね」
涙でグチャグチャニなった顔を洗い、グレイズの元へと向かう。グレイズも悲しそうな顔をしていた。
「グレイズ…ごめんなさい、やっぱり私達、婚約破棄する事になったみたいなの…」
「ああ、父上から聞いたよ。でも大丈夫だ。アンリ、一緒に国を出よう。その為の準備を、今着々と進めている。だから…」
「その事なのだけれど、私はこの国に残って、エディソン様と結婚するわ」
グレイズの方を見て、はっきりと伝えた。
「アンリ、お前、何を言っているんだよ!ふざけるなよ!お前だって、マッキーノ侯爵令息とは結婚したくないと言っていたじゃないか。それに今まで泣いていたのだろう?目が真っ赤だぞ」
「確かに私は、エディソン様と結婚はしたくない。でも…だからと言って、家族を悲しませるようなことはしたくないの。それにグレイズにだって、これ以上迷惑を掛けたくない。もちろん、おじ様やおば様にも。あなたはダニルーディン伯爵家の嫡男なのよ。私の為に、早まってはいけないわ」
「アンリ…お前ってやつは…俺はお前が傍にいれば、爵位も両親もいらない!お前さえ傍にいてくれたら、それだけで幸せなんだよ!」
珍しく涙を流しながら訴えるグレイズ。グレイズが泣いた姿何なんて、子供の頃見たきりね。でも…
「ありがとう、グレイズ。でも、もう決めたの。私はグレイズと国を出ない!この国で、貴族として生涯を全うするわ。だからグレイズ、あなたも貴族としてこの国で生きて。私達、離れ離れになってしまうけれど、それでも私は、グレイズがずっとずっと大好きよ。その気持ちは、変わらないわ…」
「アンリ…バカアンリ…頑固アンリ…バカ野郎…」
「ごねんね、私、本当にバカだから、こんな答えしか出せなくて。でも、私はずっとグレイズの幸せを願っているわ。それに、私達後3週間は婚約者同士でいられるのですって。だから、それまでは私はグレイズの婚約者よ」
気が付くと、私の瞳から涙が溢れていた。たとえグレイズの傍にいれなくても、幸せを願う事は出来る。大丈夫、今は死ぬほど辛くても、きっといつか、お互い笑って話せる日が、きっと来ると思うから…
それにグレイズはずっと私の為に動いてくれていた。だから今度は、私がグレイズの幸せを願って動く番なのだ。
「バカアンリ…そういえば2週間後は、夜会があるな。その時に着るドレス、俺が贈るよ。絶対にそのドレスを着て来いよ…」
「ええ、もちろんよ!絶対に着て行くわ」
私たちが婚約者としていられるのは、後3週間しかない。と言っても、ずっとグレイズといる事は出来ないだろう。私は既に、次の婚約者が決まっているのだから。それでも2週間後の夜会だけは、グレイズの婚約者として目いっぱい振舞おう。
最初で最後のグレイズの婚約者として出席する夜会、婚約者として出来る事は何でもしないと…婚約破棄するとわかっていても…
~あとがき~
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
先日から始まったエール機能に、早くもエールを送って下さっている方がいらっしゃり、嬉しく思っております(*^-^*)
読んでいただけるだけで嬉しいのですが、私の為に広告を見る時間を使って下さっている事が嬉しくて、あとがきに書かせていただきました!本当にありがとうございますm(__)m
この作品ですが、予想以上にたくさんの方に読んでいただけて、非常に嬉しく思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
これだけ噂が広がってしまった今、もう私とグレイズの婚約破棄は濃厚となった。さらに毎日の様に、マッキーノ侯爵が我が家に訪れ、“早く金約破棄をして、息子と婚約を結び直して欲しい”と、圧を掛けに来るのだ。
お母様も先日、貴族たちのお茶会の席で、マッキーノ侯爵夫人に“散々息子を追い掛け回していたくせに、どうしてすぐに息子との婚約を結び直さないの!”と、皆の前で叱責を受けたと落ち込んでいた。
「アンリ…ダニルーディン伯爵とも話をしたのだが、やはりお前とグレイズの婚約を解消しようと言う話で纏まったよ…ただ、一度婚約を結ぶと、1ヶ月は解消できない事になっているんだ。だから、3週間後に婚約を破棄し、その後すぐに、マッキーノ侯爵家のエディソン殿と婚約を結ぶことで話は付いた」
この1週間でやつれてしまったお父様が、申し訳なさそうにそう呟いた。
「…分かりましたわ。お父様のおっしゃる通りにいたします…」
「すまない…アンリ。2週間後にある、王宮主催の夜会は、グレイズと一緒に参加するといい。最後に婚約者として、勤めをはたしなさい」
「はい、承知いたしました」
分かっていた…こうなった以上、もう私はグレイズとは正式に結婚する事は出来ない事を。分かってはいるが、どうしても現実を受け入れられないのだ。
自室に戻ると、声をあげて泣いた。その時だった。
「お嬢様、グレイズ様がいらっしゃっています」
「グレイズが?わかったわ。すぐに行くわね」
涙でグチャグチャニなった顔を洗い、グレイズの元へと向かう。グレイズも悲しそうな顔をしていた。
「グレイズ…ごめんなさい、やっぱり私達、婚約破棄する事になったみたいなの…」
「ああ、父上から聞いたよ。でも大丈夫だ。アンリ、一緒に国を出よう。その為の準備を、今着々と進めている。だから…」
「その事なのだけれど、私はこの国に残って、エディソン様と結婚するわ」
グレイズの方を見て、はっきりと伝えた。
「アンリ、お前、何を言っているんだよ!ふざけるなよ!お前だって、マッキーノ侯爵令息とは結婚したくないと言っていたじゃないか。それに今まで泣いていたのだろう?目が真っ赤だぞ」
「確かに私は、エディソン様と結婚はしたくない。でも…だからと言って、家族を悲しませるようなことはしたくないの。それにグレイズにだって、これ以上迷惑を掛けたくない。もちろん、おじ様やおば様にも。あなたはダニルーディン伯爵家の嫡男なのよ。私の為に、早まってはいけないわ」
「アンリ…お前ってやつは…俺はお前が傍にいれば、爵位も両親もいらない!お前さえ傍にいてくれたら、それだけで幸せなんだよ!」
珍しく涙を流しながら訴えるグレイズ。グレイズが泣いた姿何なんて、子供の頃見たきりね。でも…
「ありがとう、グレイズ。でも、もう決めたの。私はグレイズと国を出ない!この国で、貴族として生涯を全うするわ。だからグレイズ、あなたも貴族としてこの国で生きて。私達、離れ離れになってしまうけれど、それでも私は、グレイズがずっとずっと大好きよ。その気持ちは、変わらないわ…」
「アンリ…バカアンリ…頑固アンリ…バカ野郎…」
「ごねんね、私、本当にバカだから、こんな答えしか出せなくて。でも、私はずっとグレイズの幸せを願っているわ。それに、私達後3週間は婚約者同士でいられるのですって。だから、それまでは私はグレイズの婚約者よ」
気が付くと、私の瞳から涙が溢れていた。たとえグレイズの傍にいれなくても、幸せを願う事は出来る。大丈夫、今は死ぬほど辛くても、きっといつか、お互い笑って話せる日が、きっと来ると思うから…
それにグレイズはずっと私の為に動いてくれていた。だから今度は、私がグレイズの幸せを願って動く番なのだ。
「バカアンリ…そういえば2週間後は、夜会があるな。その時に着るドレス、俺が贈るよ。絶対にそのドレスを着て来いよ…」
「ええ、もちろんよ!絶対に着て行くわ」
私たちが婚約者としていられるのは、後3週間しかない。と言っても、ずっとグレイズといる事は出来ないだろう。私は既に、次の婚約者が決まっているのだから。それでも2週間後の夜会だけは、グレイズの婚約者として目いっぱい振舞おう。
最初で最後のグレイズの婚約者として出席する夜会、婚約者として出来る事は何でもしないと…婚約破棄するとわかっていても…
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いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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