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第1章
第8話:両親の形見が売られていました
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「グレイ様、こんなにも沢山の洋服を買っていただき、ありがとうございます」
とりあえず洋服のお礼を言っておかないと。そう思い、深々と頭を下げてお礼を言った。
「別にこれくらいどうって事はない。それじゃあ、次は細かな日用品を買いに行こう。テーブルクロスやスカーレットの部屋のカーテンも買わないとな」
「カーテンなら部屋にかかっておりますわ」
「あんな爺さんの部屋の様なカーテンではだめだ。もっと女性らしい可愛らしい物を買おう」
爺さんの部屋だなんて…確かにカーテンは黄土色だけれど、そこまで変ではないわ…そう思いつつも、せっかくなので見て回る。
「スカーレット、この花柄のカーテンはどうだ?こっちのピンク色のカーテンも可愛いぞ。おっ、このテーブルクロスもいいな。せっかくだから、枕カバーとシーツも買っていこう。このタオルもフカフカで気持ちいいぞ。これも買おう」
次々と選んでいくグレイ様。どうやらグレイ様は、買い物がお好きな様だ。せっかくなので、私の部屋のカーテンは花柄のものを選んだ。さらにテーブルクロスを2枚、他にも色々と購入した。
さすがに荷物が増えてしまったので、一旦馬車に荷物を置きに行く。そろそろお腹が空いてきた頃だ。
「ちょうど腹も減って来たし、近くの食堂で昼ごはんにしよう。あの店なんてよさそうだぞ」
「そうですわね、あのお店にしましょうか」
2人でお店に入り、お料理を頂く。このお店は牛肉を煮込んだお料理が美味しいとの事なので、2人ともそのメニューを頂く。さすが名物と言われるだけの事はある。柔らかくて、味もしっかりしみ込んでいて美味しいわ。
「牛肉が柔らかくてとても美味しいですね」
素直にそう伝えた。すると
「確かに旨いが、これならスカーレットの料理の方が旨いぞ」
そう言ってくれたグレイ様。きっとお世辞だろう。でも、そう言ってもらえると素直に嬉しい。
食事の後は、また街を見て回る。
「グレイ様、あのお店に行ってもいいですか?」
ふと目の前に飛び込んできたのは、質屋の様だ。質屋は意外といい物が安く売っている。
「構わないよ。それじゃあ、中に入ってみよう」
グレイ様と一緒に中に入って行く。かなり大きなお店の様で、色々な物が売られていた。せっかくなので、アクセサリー売り場も見てみたいわ。可愛い物があれば、1つ買っていこう。そう思ったのだ。
でもアクセサリー売り場を見た時、固まった。
「これは…」
私が手に取ったのは、エメラルドの宝石をあしらった、可愛らしいネックレスだ。そう、私の15歳の誕生日に両親が贈ってくれた、大切な形見。それを見た瞬間、ポロポロと涙が流れ出た。
「このネックレスがどうしたんだ?なぜ泣くんだ?」
隣でアタフタしだしたのは、グレイ様だ。
「申し訳ございません。このネックレスは、私の両親が15歳の誕生日に贈ってくれた、いわば形見の様な物なのです。デビッドに追い出されたとき、アクセサリー類を持ち出せなかったので、諦めておりました。でも、まさかこんなことろで見つかるなんて…」
「何だって!両親の形見だと。あのクズ男、スカーレットの形見の品まで売り払ってやがったのか!なんてクズだ!とにかく、これは買い戻そう。他にも君のものがあるかもしれない。おい、おやじ。このネックレスを売りに来た奴が持ってきた商品を、全てここに出してくれ。俺が買い取る」
「グレイ様、さすがに全ては。私はこのネックレスだけでも手元に戻ってくるだけで十分です」
「何を言っているんだ!とにかく全て買い戻す。いいな!」
物凄い勢いで迫ってくるグレイ様。正直恐ろしい顔をしていらしたので、それ以上何も言えなかった。その後、店主がかき集めてくれ、ある程度戻って来た。でも、やはり既に売れている物もあったが、その点は仕方がないと思ったのだが…
「おい、おやじ!買っていった奴はどんな奴だ」
鬼の様な恐ろしいお顔で店主に詰め寄っているグレイ様。店主もかなり怯えていたので
「グレイ様、これだけ戻ってこれは十分です。私の為にありがとうございます。もう本当に大丈夫ですので」
そう言って必死に宥め、事なきを得た。
「全くあのクズ男はどこまでクズなんだ。スカーレットの大切な物を全て売り払うなんて」
帰りの馬車の中、まだ怒りが収まらないグレイ様。
「私もあの後取りに行かなかったのがいけなかったのです。それに、最終的には私の手元に戻ってきましたし。グレイ様、私の為に買い戻してくださり、ありがとうございます。このお金は必ず働いて…」
「返す必要はない!いいか、これは俺が好きで買い戻しただけだ。とにかく、これ以上金の事は考えなくていい」
そう怒られてしまった。
「申し訳ございません…」
ぽつりと謝ると
「俺の方こそすまん。つい興奮して強い口調で話してしまった。でも、本当に金の事は心配しなくてもいい。俺はこれでも騎士団長だ。一生かかっても使い切れない程の貯えがある。だから、とにかく俺に頼って欲しい。頼られると、やっぱり嬉しいからな」
そう言って笑ったグレイ様。その笑顔を見た瞬間、鼓動が一気に早くなるのがわかる。私ったら、どうしちゃったのかしら?とにかく、お礼だけは言わないと。
「ありがとうございます、グレイ様…」
ぽつりとお礼だけ告げて、そのまま恥ずかしくて俯く。きっと顔は真っ赤だろう。ふと首からぶら下がっている両親の形見でもあるネックレスに目をやった。グレイ様が買い戻してくれたネックレスだ。
グレイ様は、私の為にいつも必死で動いて下さる。それはきっと、責任感の強さからだろう。かたやデビッドは、両親の形見だとわかっていて売り払った。心のどこかで信じていたデビッドへの感情も、今回の出来事で吹っ切れた気がする。
でも、それと同時に…
ちらりとグレイ様を見る。夕日に照らされたグレイ様は、とても美しかった。その姿を見た瞬間、再び鼓動が早くなる。私ったら一体どうしちゃったのかしら?
今までに感じた事のない胸の高鳴りに、どうしていいかわからないスカーレットであった。
とりあえず洋服のお礼を言っておかないと。そう思い、深々と頭を下げてお礼を言った。
「別にこれくらいどうって事はない。それじゃあ、次は細かな日用品を買いに行こう。テーブルクロスやスカーレットの部屋のカーテンも買わないとな」
「カーテンなら部屋にかかっておりますわ」
「あんな爺さんの部屋の様なカーテンではだめだ。もっと女性らしい可愛らしい物を買おう」
爺さんの部屋だなんて…確かにカーテンは黄土色だけれど、そこまで変ではないわ…そう思いつつも、せっかくなので見て回る。
「スカーレット、この花柄のカーテンはどうだ?こっちのピンク色のカーテンも可愛いぞ。おっ、このテーブルクロスもいいな。せっかくだから、枕カバーとシーツも買っていこう。このタオルもフカフカで気持ちいいぞ。これも買おう」
次々と選んでいくグレイ様。どうやらグレイ様は、買い物がお好きな様だ。せっかくなので、私の部屋のカーテンは花柄のものを選んだ。さらにテーブルクロスを2枚、他にも色々と購入した。
さすがに荷物が増えてしまったので、一旦馬車に荷物を置きに行く。そろそろお腹が空いてきた頃だ。
「ちょうど腹も減って来たし、近くの食堂で昼ごはんにしよう。あの店なんてよさそうだぞ」
「そうですわね、あのお店にしましょうか」
2人でお店に入り、お料理を頂く。このお店は牛肉を煮込んだお料理が美味しいとの事なので、2人ともそのメニューを頂く。さすが名物と言われるだけの事はある。柔らかくて、味もしっかりしみ込んでいて美味しいわ。
「牛肉が柔らかくてとても美味しいですね」
素直にそう伝えた。すると
「確かに旨いが、これならスカーレットの料理の方が旨いぞ」
そう言ってくれたグレイ様。きっとお世辞だろう。でも、そう言ってもらえると素直に嬉しい。
食事の後は、また街を見て回る。
「グレイ様、あのお店に行ってもいいですか?」
ふと目の前に飛び込んできたのは、質屋の様だ。質屋は意外といい物が安く売っている。
「構わないよ。それじゃあ、中に入ってみよう」
グレイ様と一緒に中に入って行く。かなり大きなお店の様で、色々な物が売られていた。せっかくなので、アクセサリー売り場も見てみたいわ。可愛い物があれば、1つ買っていこう。そう思ったのだ。
でもアクセサリー売り場を見た時、固まった。
「これは…」
私が手に取ったのは、エメラルドの宝石をあしらった、可愛らしいネックレスだ。そう、私の15歳の誕生日に両親が贈ってくれた、大切な形見。それを見た瞬間、ポロポロと涙が流れ出た。
「このネックレスがどうしたんだ?なぜ泣くんだ?」
隣でアタフタしだしたのは、グレイ様だ。
「申し訳ございません。このネックレスは、私の両親が15歳の誕生日に贈ってくれた、いわば形見の様な物なのです。デビッドに追い出されたとき、アクセサリー類を持ち出せなかったので、諦めておりました。でも、まさかこんなことろで見つかるなんて…」
「何だって!両親の形見だと。あのクズ男、スカーレットの形見の品まで売り払ってやがったのか!なんてクズだ!とにかく、これは買い戻そう。他にも君のものがあるかもしれない。おい、おやじ。このネックレスを売りに来た奴が持ってきた商品を、全てここに出してくれ。俺が買い取る」
「グレイ様、さすがに全ては。私はこのネックレスだけでも手元に戻ってくるだけで十分です」
「何を言っているんだ!とにかく全て買い戻す。いいな!」
物凄い勢いで迫ってくるグレイ様。正直恐ろしい顔をしていらしたので、それ以上何も言えなかった。その後、店主がかき集めてくれ、ある程度戻って来た。でも、やはり既に売れている物もあったが、その点は仕方がないと思ったのだが…
「おい、おやじ!買っていった奴はどんな奴だ」
鬼の様な恐ろしいお顔で店主に詰め寄っているグレイ様。店主もかなり怯えていたので
「グレイ様、これだけ戻ってこれは十分です。私の為にありがとうございます。もう本当に大丈夫ですので」
そう言って必死に宥め、事なきを得た。
「全くあのクズ男はどこまでクズなんだ。スカーレットの大切な物を全て売り払うなんて」
帰りの馬車の中、まだ怒りが収まらないグレイ様。
「私もあの後取りに行かなかったのがいけなかったのです。それに、最終的には私の手元に戻ってきましたし。グレイ様、私の為に買い戻してくださり、ありがとうございます。このお金は必ず働いて…」
「返す必要はない!いいか、これは俺が好きで買い戻しただけだ。とにかく、これ以上金の事は考えなくていい」
そう怒られてしまった。
「申し訳ございません…」
ぽつりと謝ると
「俺の方こそすまん。つい興奮して強い口調で話してしまった。でも、本当に金の事は心配しなくてもいい。俺はこれでも騎士団長だ。一生かかっても使い切れない程の貯えがある。だから、とにかく俺に頼って欲しい。頼られると、やっぱり嬉しいからな」
そう言って笑ったグレイ様。その笑顔を見た瞬間、鼓動が一気に早くなるのがわかる。私ったら、どうしちゃったのかしら?とにかく、お礼だけは言わないと。
「ありがとうございます、グレイ様…」
ぽつりとお礼だけ告げて、そのまま恥ずかしくて俯く。きっと顔は真っ赤だろう。ふと首からぶら下がっている両親の形見でもあるネックレスに目をやった。グレイ様が買い戻してくれたネックレスだ。
グレイ様は、私の為にいつも必死で動いて下さる。それはきっと、責任感の強さからだろう。かたやデビッドは、両親の形見だとわかっていて売り払った。心のどこかで信じていたデビッドへの感情も、今回の出来事で吹っ切れた気がする。
でも、それと同時に…
ちらりとグレイ様を見る。夕日に照らされたグレイ様は、とても美しかった。その姿を見た瞬間、再び鼓動が早くなる。私ったら一体どうしちゃったのかしら?
今までに感じた事のない胸の高鳴りに、どうしていいかわからないスカーレットであった。
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