大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi

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第2章

第13話:副騎士団長様の奥様に会います

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「スカーレット、今度スティーブン夫婦が家に訪ねてくることになった」

夜遅くに帰って来たグレイ様が食事中、急にそんな事を言い出した。この街に来てから早2ヶ月。ほぼ休みなしで働いているグレイ様。既にかなり疲れている様だ。

そんなグレイ様の前に座り、今日起こった出来事などを話す。この時間が、唯一夫婦でとれるコミュニケーションの時間だ。

「副騎士団長様と奥様がいらっしゃるのですか?急にどうされたのですか?」

「実はスティーブンの妻が随分と参ってしまっているみたいでな。友達もいないこの地に嫁いできて、さらに治安も悪く外に出られない。最初は家で刺繍や料理を楽しんでいたらしいんだが、スティーブンも帰りが遅いし、ずっと家に1人でいるせいか情緒不安定になってしまった様で。それでスカーレットに友達になってもらえたらと、頼まれたんだ」

なるほど、確かに家から一歩も出ないで過ごそうと思うと、気が滅入ってしまうわね。私だって、知らない街で最初は物凄く不安だった。今でも寂しいと思う事も多いし。

「わかりましたわ。私も親しい友人もおりませんし、ぜひ仲良くなりたいです」

「それはよかった。急で悪いんだが、明後日の夜、早速2人を家に呼ぼうと思っているんだが…」

「明後日ですね。大丈夫ですわ。お料理をたくさん作って待っておりますね」

明後日か、なんだか楽しみになって来たわ。当日は色々と料理を作らないとね。


2日後。
朝から掃除をし、昼間のうちに市場に向かう。帰りにはもちろん、ベスさんの家のパン屋さんでパンを買う。今日は食パン以外にも色々と購入した。

「スカーレットが食パン以外のパンを買うなんて珍しいな。何かあるのかい?」

そう聞いてきたのはベスさんだ。グレイ様に怒られてから、極力ベスさんと2人にならない様に気を付けている。今日もお店で話をしている。お店ならベスさんのご両親もいるから、問題ないわよね。

「はい、今日はお客様が来るので、せっかくならベスさん家の美味しいパンを紹介しようと思って」

「そうか、それならこのパンも持って行ってくれ。うちのパンはこの街で一番美味しいからな」

そう言って他のパンも持たせてくれた。宣伝用という事なので、有難く頂くことにした。

家に戻り、早速晩御飯の準備をする。今日はリンダさんに教えてもらった、魚をパイで包んだ料理を作った。この街は魚も美味しいものね。他にも牛筋のシチューにベスさん家で買ったパンで作ったサンドウィッチも並べる。

デザートにマドレーヌも焼いた。よし、準備完了ね。しばらく待っていると“ガチャリ”とドアが開く音が。グレイ様だわ!

急いで玄関に行くと、グレイ様の後ろには副騎士団長様と金色の髪を腰まで伸ばした、可愛らしい女性が立っていた。ギュッと副騎士団長様にくっ付いている。

「ただいま、スカーレット」

「おかえりなさい、グレイ様。副騎士団長様、そして奥様、スカーレットと申します。さあ、中へどうぞ」

副騎士団長様と奥様を中へ案内する。

「スカーレットさん、急な申し出に答えてくれてありがとう。妻のミミリィだ。仲良くしてあげて欲しい」

「ミミリィです。どうかよろしくお願いします」

少し震えながら挨拶してくれた。くりくりした大きなオレンジ色の瞳は、少し潤んでいる。何なの、この子。物凄く可愛いわ。女性の私ですらそう思うのだから、きっと夫でもある副騎士団長様は可愛くて仕方がないのだろう。

「ミミリィさん、よかったら一緒に晩御飯の準備を手伝っていただけますか?」

そう声をかけると、チラリと副騎士団長様を見た後

「はい、よろしくお願いします」

そう言ってこっちにやって来た。と言っても、既に料理は出来ているのだが、それでも2人でテーブルに料理を並べていく。

「このお料理、初めて見ましたが何ですか?」

魚をパイで包んだ料理を見て、ミミリィさんがコテンと首をかしげている。そのしぐさも可愛い。

「このお料理は、以前住んでいた時に出来た友人に教えてもらった料理です。友人の故郷の料理で、とっても美味しいんですよ。後で食べてみてくださいね」

「まあ、そうなのですね。スカーレットさんはこの街に来て、2ヶ月と聞きました。この街は治安も悪いし、思う様に外に出られないし、知り合いもいないし、辛くはないですか?」

「そうですね。夫の帰りも遅いし、1人でいる時間も長いので辛く感じる事もありますわ。ですから、同じ境遇のミミリィさんとお友達になれたら嬉しいと思っていますの。お互い騎士団を率いる者の妻として、色々と相談できたらと思っております」

素直に自分の気持ちを伝えた。すると

「私も…私もずっと1人で辛かったです。スティーブンの事は大好きだけれど、それ以上にこの街での生活が辛くて…正直、故郷に帰りたいとさえ思っておりました。でも、大好きなスティーブンの悲しそうな顔を見ると、そんな事はとても言い出せなくて…どんどん追い詰められていって…」

ポロポロと涙を流すミミリィさん。私より半年早くこの街に来て、ずっと1人で抱え込んでいたのだろう。

「ミミリィさん、よく頑張りましたね。これからは、副騎士団長様がいない時は、私と一緒に過ごしましょう。2人でいればきっと寂しくはないですわ。ミミリィさんのお家を教えていただけば、私がお宅までお伺いいたします」

「ありがとうございます、スカーレットさん」

そう言うと、嬉しそうに笑ったミミリィさん。今まではどちらかと言うと、姉御肌気質の友人ばかりで、私は妹みたいな存在だった。でもミミリィさんは、どちらかと言うと妹の様な存在だ。それでもミミリィさんを見ていたら、何となく仲良く出来る、そんな気がした。
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