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第6話:あの男が両親と共にやって来ました
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「…嬢様、お嬢様、起きて下さい。お嬢様!」
この声は…ミリーね。やっとさっき寝付いたばかりなのに。
「お嬢様、早く起きて下さい!さあ、早く」
ベッドの布団をミリーによって引きはがされ、無理やり起こされた。
「もう、ミリーったら、一体どうしたの?さっきやっと寝付いたばかりなのに」
「何を呑気な事をおっしゃっているのですか?とにかく早く着替えて下さい」
ミリーに無理やり立たされると、近くに控えていたメイドたちにも加わり、急にドレスに着替えさせられた。さらにメイクまでさせられたのだ。
「急にどうしたの?今から夜会にでも行くような気合の入れようね。今日は夜会はないはずだけれど」
「これでいいのです。まさかお嬢様の事をあの様な素敵な方が見初めて下さるだなんて。とにかく、早く客間へ参りましょう」
えっ、客間?あの様な素敵な方に見初められた?それってまさか…
「ねえ、ミリー、今恐ろしい言葉が聞こえたのだけれど、客間に誰か来ているの?もしかして…」
「素敵な方がいらしているのですわ。無駄話をしていないで、早く行きましょう」
「ちょっと、ミリー…」
全く私の話を聞かないミリーに、あっと言う間に客間に連れてこられた。満面の笑みでドアを開けるミリー。恐る恐る部屋に入ると
「ルミナス、一体何をしていたんだ。すぐに来る様にと伝えたのに」
怖い顔のお兄様が叫んでいる。
「まあまあ、カリオスティーノ侯爵殿、落ち着いて下さい。私達が押しかけたのが悪いのです。さあ、ルミナス嬢も席に着いてくれるかい?」
ヒィィィッィ!
やっぱり私が思った通り、そこには不敵な笑みを浮かべたカルロス様がご両親と一緒に座っていたのだ。ご両親はなぜかものすごい笑顔なのだが。
さらにお母様やお義姉様も物凄い笑顔で座っている。どう見ても、嫌な予感しかしない。それでも私は侯爵家の人間だ。
「遅くなってしまい、申し訳ございませんでした」
そう挨拶をし、急いでイスに座る。
「ルミナス嬢、急に訪ねて来て申し訳なかったね。実は今日、カリオスティーノ侯爵家を訪ねさせていただいたのは他でもない。我が息子カルロスと、ルミナス嬢を結婚させたいと思ってね」
やっぱり!なんだかそんな気がしたのだ。それにしても、今日の今日に乗り込んでくるだなんて…
「申し訳ございません、どうやらルミナスはかなりびっくりしている様でして…妹は父が亡くなってから、必死に私と母を支えてくれました。そんな妹にも、そろそろ婚約者をと考えていたのです。まさかクラッセル公爵家のカルロス殿からこのような申し出を頂くだなんてとても光栄です。なあ、ルミナス、お前もそう思うだろう?」
固まっている私に話しを振るお兄様。何がお前もそう思うだろう?よ。こんな変態、もちろん願い下げよ。
「あの、とても有難い申し出なのですが、私は8歳で騎士団長でもある父を亡くしました。その事もあり、なんと申しますか、あの様な悲しい思いをするのはもう嫌なのです。ですから、騎士団員の方との結婚は…」
「ルミナス嬢、君の気持ちは分かったよ。でも、騎士団を辞める事は出来ないんだ。君の父上との約束もあるし。それに何より、俺は君の父上の様に優しくて強くてカッコいい騎士団長になるのが夢だったからね」
えっ?この人は一体何を言っているの?お父様との約束って一体何?
「カルロス殿、父との約束とは何ですか?」
お兄様も気になったのか、カルロス様に聞いている。
「ルミナス嬢、カルロスがすまないね。実はまだ君の父上がご健在だった頃、カルロスが君の父上に“ルミナス嬢と結婚したい”とお願いしたことがあったそうなんだ。そうしたら“カルロスが騎士団長になったら、娘をやろう”と君の父上がおっしゃったらしくて。その後君の父上は命を落としたのだが、カルロスは亡き元騎士団長との約束を守るため、必死に騎士団長を目指してきたのだよ」
「まあ、主人とカルロス様がそんな約束をなさっていたのですか?」
「しかも、そんな昔からルミナスちゃんの事を思っていらしただなんて…それもお義父様とのお約束を守ろうと、ひたむきに騎士団長を目指していただなんて。なんて素敵な方なのかしら?」
お母様とお義姉様がうっとりとカルロス様を見つめている。
「息子は本当に必死に騎士団の稽古を受けてきました。そしてついに、貴族学院卒院と同時に、騎士団長になる事が決まったのです。ルミナス嬢、どうか息子の気持ちを受け止めてやってくれないだろうか?よろしく頼む」
「お願いします」
そう言ってカルロス様のご両親が頭を下げたのだ。
この声は…ミリーね。やっとさっき寝付いたばかりなのに。
「お嬢様、早く起きて下さい!さあ、早く」
ベッドの布団をミリーによって引きはがされ、無理やり起こされた。
「もう、ミリーったら、一体どうしたの?さっきやっと寝付いたばかりなのに」
「何を呑気な事をおっしゃっているのですか?とにかく早く着替えて下さい」
ミリーに無理やり立たされると、近くに控えていたメイドたちにも加わり、急にドレスに着替えさせられた。さらにメイクまでさせられたのだ。
「急にどうしたの?今から夜会にでも行くような気合の入れようね。今日は夜会はないはずだけれど」
「これでいいのです。まさかお嬢様の事をあの様な素敵な方が見初めて下さるだなんて。とにかく、早く客間へ参りましょう」
えっ、客間?あの様な素敵な方に見初められた?それってまさか…
「ねえ、ミリー、今恐ろしい言葉が聞こえたのだけれど、客間に誰か来ているの?もしかして…」
「素敵な方がいらしているのですわ。無駄話をしていないで、早く行きましょう」
「ちょっと、ミリー…」
全く私の話を聞かないミリーに、あっと言う間に客間に連れてこられた。満面の笑みでドアを開けるミリー。恐る恐る部屋に入ると
「ルミナス、一体何をしていたんだ。すぐに来る様にと伝えたのに」
怖い顔のお兄様が叫んでいる。
「まあまあ、カリオスティーノ侯爵殿、落ち着いて下さい。私達が押しかけたのが悪いのです。さあ、ルミナス嬢も席に着いてくれるかい?」
ヒィィィッィ!
やっぱり私が思った通り、そこには不敵な笑みを浮かべたカルロス様がご両親と一緒に座っていたのだ。ご両親はなぜかものすごい笑顔なのだが。
さらにお母様やお義姉様も物凄い笑顔で座っている。どう見ても、嫌な予感しかしない。それでも私は侯爵家の人間だ。
「遅くなってしまい、申し訳ございませんでした」
そう挨拶をし、急いでイスに座る。
「ルミナス嬢、急に訪ねて来て申し訳なかったね。実は今日、カリオスティーノ侯爵家を訪ねさせていただいたのは他でもない。我が息子カルロスと、ルミナス嬢を結婚させたいと思ってね」
やっぱり!なんだかそんな気がしたのだ。それにしても、今日の今日に乗り込んでくるだなんて…
「申し訳ございません、どうやらルミナスはかなりびっくりしている様でして…妹は父が亡くなってから、必死に私と母を支えてくれました。そんな妹にも、そろそろ婚約者をと考えていたのです。まさかクラッセル公爵家のカルロス殿からこのような申し出を頂くだなんてとても光栄です。なあ、ルミナス、お前もそう思うだろう?」
固まっている私に話しを振るお兄様。何がお前もそう思うだろう?よ。こんな変態、もちろん願い下げよ。
「あの、とても有難い申し出なのですが、私は8歳で騎士団長でもある父を亡くしました。その事もあり、なんと申しますか、あの様な悲しい思いをするのはもう嫌なのです。ですから、騎士団員の方との結婚は…」
「ルミナス嬢、君の気持ちは分かったよ。でも、騎士団を辞める事は出来ないんだ。君の父上との約束もあるし。それに何より、俺は君の父上の様に優しくて強くてカッコいい騎士団長になるのが夢だったからね」
えっ?この人は一体何を言っているの?お父様との約束って一体何?
「カルロス殿、父との約束とは何ですか?」
お兄様も気になったのか、カルロス様に聞いている。
「ルミナス嬢、カルロスがすまないね。実はまだ君の父上がご健在だった頃、カルロスが君の父上に“ルミナス嬢と結婚したい”とお願いしたことがあったそうなんだ。そうしたら“カルロスが騎士団長になったら、娘をやろう”と君の父上がおっしゃったらしくて。その後君の父上は命を落としたのだが、カルロスは亡き元騎士団長との約束を守るため、必死に騎士団長を目指してきたのだよ」
「まあ、主人とカルロス様がそんな約束をなさっていたのですか?」
「しかも、そんな昔からルミナスちゃんの事を思っていらしただなんて…それもお義父様とのお約束を守ろうと、ひたむきに騎士団長を目指していただなんて。なんて素敵な方なのかしら?」
お母様とお義姉様がうっとりとカルロス様を見つめている。
「息子は本当に必死に騎士団の稽古を受けてきました。そしてついに、貴族学院卒院と同時に、騎士団長になる事が決まったのです。ルミナス嬢、どうか息子の気持ちを受け止めてやってくれないだろうか?よろしく頼む」
「お願いします」
そう言ってカルロス様のご両親が頭を下げたのだ。
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