あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

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第13話:こんな話でしたっけ?

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「おい、アルト。お前は一体何を言っているのだ?急に訳の分からない事を言って」

 すかさずシモン様が、シャーラ様を庇っている。シャーラ様も何が何だかわからないといった顔をして、目を見開いて固まっているのだ。

「訳の分からない事など言っていないよ!シャーラ嬢、僕の婚約者、カナリアに何をしたのだい?最近カナリアの様子が変だったのも、君が原因なのだろう?」

 ちょっとアルト様、本当に何を訳の分からない言いがかりをつけているの?

「アルト様、何を…」

「あなた様は、王太子殿下のアルト殿下ですね。お初にお目にかかります、カスティーノ伯爵家の長女、シャーラ・カスティーノと申します。アルト殿下のおっしゃられている意味が、私には分かりかねます。私はカナリア様とは、一度もお会いしたことはございません。私はずっと、領地で生活しておりましたので」

 真っすぐアルト様を見つめるその目は、さすがヒロイン。意思の強さを感じる。て、感心している場合ではない。

「シャーラ様、お初にお目にかかります。カナリア・ディステニーと申します。この度はアルト様が、申し訳ございませんでした。アルト様、落ち着いて下さい。私は今日、初めてシャーラ様とお会いしましたのよ」

 極力冷静にそう伝えた。きっと私がシャーラ様を見つめ、ブツブツ言っていたから何か勘違いしたのだろう。

「でも、カナリアが…」

「アルト、彼女は本当にずっと領地にいたのだ。そんな事くらい、王太子でもあるお前ならわかっているはずだろう。そもそも領地にいたシャーラ嬢と、ずっと王都でお前の監視の元暮らしてきたカナリア嬢が、どうやって会えるのだい?」

 はぁ~っとため息をつきながら、シモン様が呟いている。

「分かったよ…正直まだ僕は納得できないが…シャーラ嬢、変な言いがかりをつけて申し訳なかった。カナリア、行こう」

 私の手を引き、歩き出したアルト様。そのままホールへと向かう。

 あら?ヒーローとヒロインのシーンは、こんな感じだったかしら?さっきの様子だと、どちらかというとアルト様もシャーラ様も、お互い最悪な出会いの様な気がするが…

 でも、最悪な出会いから恋に発展するなんて話は、よくあるものね。きっとこれから2人は、シモン様の手を借りながら、愛を育んで…

 て、シモン様なんて、物語に出てきていたかしら?いいや、アルト様を支える令息なんて、物語には出てこなかった様な…

 ただ私は、あの小説を1度しか読んでいない。それも流し読みだ。最後のシーンが強烈すぎて、最後以外はあまり覚えていない。もしかしたら、こんな感じだったのかもしれないわ。

 そうよ、きっとそうだわ。とにかく、もう物語は始まったのだ。後は2人の仲が深まって行ったタイミングで、私がアルト様と婚約を解消すれば、全てうまくいく。

 婚約を解消…

 その言葉が頭に浮かんだだけで、胸が張り裂けそうになる。

「カナリア、顔色があまり良くないよ。大丈夫かい?」

 アルト様が心配そうな顔で、覗き込んできたのだ。

「ごめんなさい、考え事をしていて。もう本当に大丈夫ですわ。ですから、私の事は気にしないで下さい」

 私の事は気にせず、どうかシャーラ様と幸せになってください。そんな思いでアルト様に伝える。

 ただ…

「カナリアがこんな悲しそうな顔をしているのに、気にしないなんて無理だよ。やっぱり彼女、シャーラ嬢が何かしたのかい?カナリアは優しいから、彼女を庇っているのだろう。シャーラ嬢め!」

 少し離れた場所にシモン様の一緒に座っていたシャーラ様を、すごい形相で睨み始めたのだ。

「アルト様、落ち着いて下さい。本当にシャーラ様は関係ありませんわ。それにしてもシャーラ様、とてもお可愛らしい女性ですね。フワフワのピンクの髪に水色の瞳。まるで女神様みたい」

 さすがヒロイン、遠くから見ても、オーラが際立っている。あんなにも美しいシャーラ様だもの。アルト様が惚れても無理はない…

「彼女のどこが女神なのだい?美しい銀髪に宝石のような紫の瞳を持ったカナリアの方が、彼女の数億倍…いいや、無限大美しいよ。僕に言わせれば、あんな女なんて、そこらへんに落ちている石ころと一緒だ。いいかい?カナリア、君は美しすぎる。もし万が一、令息どもに狙われたら大変だ。僕の傍を離れてはいけないよ!」

 私の腰を掴み、自分の方に引き寄せると、頬ずりを始めたアルト様。

 えっ?ヒロインをそこらへんに転がっている石ですって。

「アルト様、さすがにその様な事は…」

「ごめんね、つい本音が出ちゃった。でも、カナリアが彼女を気にしているようだったから。僕にとってはカナリア以外の令嬢なんて、そこら辺の石ころと同じなんだよ。だからどうか、僕を捨てないで欲しい!」

 アルト様が、切なそうな瞳で見つめて来たのだ。この顔は反則だわ。

「私はアルト様が私を求めて下さる限り、ずっと傍にいますわ」

 そう、求めてくれる限りね。今後シャーラ様と恋仲になったら、すぐに身を引くつもりだ。

 でも、なんだか様子が変な気がするのは、気のせいかしら?
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