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第14話:アルト様は生徒会に入る様です
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その後入学式は滞りなく執り行われた。生徒会長でもあるカルアお兄様の挨拶も、新入生代表のアルト様の挨拶も完璧だった。
入学式も終わり、各自それぞれの教室へと向かう。我が国では爵位に合わせてクラス分けがされている為、私とアルト様は同じクラスだが、シャーラ様は別のクラスなのだ。
クラスの違うシャーラ様とアルト様だが、それでもお互い時間を見つけて、2人で愛を育んでいた。
「カナリア、僕たちは同じクラスだね。シモンも一緒だけれど、カナリアはあまりシモンには近づかないでね。それから、シャーラ嬢は別のクラスだよ。よかったね」
どうやらアルト様は、シャーラ様の事を気にしている様だ。口ではああ言っていても、やはりヒーローとヒロイン。もしかしたら既にアルト様は、シャーラ様に惹かれているのかもしれない。
そう思ったら、胸がチクリと痛んだ。分かっている、いずれアルト様はシャーラ様に引き渡さなくてはいけない事を。
でも…
「また悲しそうな顔をして。本当にどうしたのだい?やはり彼女が…」
「アルト様は、シャーラ様が気になるのですか?さっきからシャーラ様のお名前がよく出ておりますが…」
ポツリとそんな事を呟いてしまったのだ。いけないわ、そんな事を言ったら、アルト様に警戒されてしまう。
「いえ、何でもありません…」
「僕は彼女に興味なんてないよ。ただ、カナリアが気にしているみたいだから。僕はカナリア以外興味はない!それだけは覚えておいて欲しい」
アルト様が必死に訴えてきた。今はまだ私に気を使ってくれているが、いつか私を捨て、シャーラ様の元にいくのよね。分かっているわ、そういう物語なのだから…
この世界に転生したと気が付いた時点で、私たちの運命はもう決まっているのだ。ただ、今はまだ気が付かないふりをしてあげよう。
「アルト様の気持ちは分かりましたわ。さあ、私たちも席に着きましょう。そろそろ先生が来ますわ」
そう伝え、席に着いた。いよいよ物語が始まった。いつでもアルト様を解放してあげられる様に、私も少しずつ準備をしないと。アルト様と婚約を解消したら、すぐに国を出られるように。
その後先生がやって来て、貴族学院に関するルールなどの説明を受けた。
「それでは私からのお話しはこれで終わりです。明日からは午後もありますから、どうか今日はゆっくり休んでください」
先生が最後に挨拶をすると、教室から出て行った。
「カナリア、今日は王宮で昼食を食べられる様に手配してあるから、一緒に王宮に帰ろうね」
にっこり笑ったアルト様が、私の元にやって来たのだ。王宮で食事をするのも、あと何回出来るのかしら?そう考えると、少し寂しい。ただ、残されたわずかな時間を、大切にしたい。
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えてさせていただきますわ。王宮のお料理は本当に美味しいので、私も楽しみです」
「カナリアにそう言ってもらえると、僕も嬉しいよ。さあ、早速行こうか」
私の手を取って歩き出そうとした時だった。
「殿下、少しお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?シモン殿も」
私達の教室にやって来たのは、カルアお兄様とアクアお兄様だ。
「カルア、アクア、僕に何の用だい?もしかして、カナリアを僕から奪いに来たのかい?カナリアは渡さないよ。今日は王宮で、カナリアと一緒に食事をするんだ。カナリアも楽しみにしてくれているのだから!」
私をギュッと抱きしめると、お兄様たちを睨んでいるアルト様。
「殿下、あまりカナリアを束縛しないで下さい。それから、今日ここに来たのは、殿下とシモン殿に、生徒会に入ってもらおうと思って」
「生徒会だって?僕は嫌だよ。そんなものに入ったら、カナリアとの時間が少なくなってしまうじゃないか。それに、カナリアを野放しにしてしまうし。とにかく、僕はお断りだ」
「お言葉ですが、殿下は王太子なのですよ。あなたに拒否権はありません。そもそも学院に入ってからも、カナリアを縛り付けようだなんて図々しいのです。シモン殿も、いいですね?」
カルアお兄様が、笑顔で殿下に迫っている。さらに
「殿下とシモン殿には、学院長先生から正式な任命状も出ております。とにかく、2人には拒否権はありませんから。安心してください、今年の生徒会は、男しかおりませんので。令嬢に絡まれるとか、面倒な事はありませんから」
さらにアクアお兄様が、笑顔で任命状を2人に見せている。
「アクア殿、カルア殿、生徒会の件、承知しました。学院長先生からの任命状もあるのなら、俺たちに拒否権はありませんから」
「シモン、一体何を言っているのだい?僕は嫌だよ。そうだ、カナリアが一緒ならいいよ。でも、今回の生徒会は男ばかりなのだよね。そんなむさ苦しいところに、カナリアを連れて行くなんて事は出来ないし。でも…」
「アルト、ブツブツ訳の分からない事を言っていないで、いい加減腹をくくれ。第一、俺たちに拒否権はないのだから…」
シモン様がアルト様の肩を叩きながら、訴えている。これは2人とも、生徒会に入る事は確定ね。
入学式も終わり、各自それぞれの教室へと向かう。我が国では爵位に合わせてクラス分けがされている為、私とアルト様は同じクラスだが、シャーラ様は別のクラスなのだ。
クラスの違うシャーラ様とアルト様だが、それでもお互い時間を見つけて、2人で愛を育んでいた。
「カナリア、僕たちは同じクラスだね。シモンも一緒だけれど、カナリアはあまりシモンには近づかないでね。それから、シャーラ嬢は別のクラスだよ。よかったね」
どうやらアルト様は、シャーラ様の事を気にしている様だ。口ではああ言っていても、やはりヒーローとヒロイン。もしかしたら既にアルト様は、シャーラ様に惹かれているのかもしれない。
そう思ったら、胸がチクリと痛んだ。分かっている、いずれアルト様はシャーラ様に引き渡さなくてはいけない事を。
でも…
「また悲しそうな顔をして。本当にどうしたのだい?やはり彼女が…」
「アルト様は、シャーラ様が気になるのですか?さっきからシャーラ様のお名前がよく出ておりますが…」
ポツリとそんな事を呟いてしまったのだ。いけないわ、そんな事を言ったら、アルト様に警戒されてしまう。
「いえ、何でもありません…」
「僕は彼女に興味なんてないよ。ただ、カナリアが気にしているみたいだから。僕はカナリア以外興味はない!それだけは覚えておいて欲しい」
アルト様が必死に訴えてきた。今はまだ私に気を使ってくれているが、いつか私を捨て、シャーラ様の元にいくのよね。分かっているわ、そういう物語なのだから…
この世界に転生したと気が付いた時点で、私たちの運命はもう決まっているのだ。ただ、今はまだ気が付かないふりをしてあげよう。
「アルト様の気持ちは分かりましたわ。さあ、私たちも席に着きましょう。そろそろ先生が来ますわ」
そう伝え、席に着いた。いよいよ物語が始まった。いつでもアルト様を解放してあげられる様に、私も少しずつ準備をしないと。アルト様と婚約を解消したら、すぐに国を出られるように。
その後先生がやって来て、貴族学院に関するルールなどの説明を受けた。
「それでは私からのお話しはこれで終わりです。明日からは午後もありますから、どうか今日はゆっくり休んでください」
先生が最後に挨拶をすると、教室から出て行った。
「カナリア、今日は王宮で昼食を食べられる様に手配してあるから、一緒に王宮に帰ろうね」
にっこり笑ったアルト様が、私の元にやって来たのだ。王宮で食事をするのも、あと何回出来るのかしら?そう考えると、少し寂しい。ただ、残されたわずかな時間を、大切にしたい。
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えてさせていただきますわ。王宮のお料理は本当に美味しいので、私も楽しみです」
「カナリアにそう言ってもらえると、僕も嬉しいよ。さあ、早速行こうか」
私の手を取って歩き出そうとした時だった。
「殿下、少しお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?シモン殿も」
私達の教室にやって来たのは、カルアお兄様とアクアお兄様だ。
「カルア、アクア、僕に何の用だい?もしかして、カナリアを僕から奪いに来たのかい?カナリアは渡さないよ。今日は王宮で、カナリアと一緒に食事をするんだ。カナリアも楽しみにしてくれているのだから!」
私をギュッと抱きしめると、お兄様たちを睨んでいるアルト様。
「殿下、あまりカナリアを束縛しないで下さい。それから、今日ここに来たのは、殿下とシモン殿に、生徒会に入ってもらおうと思って」
「生徒会だって?僕は嫌だよ。そんなものに入ったら、カナリアとの時間が少なくなってしまうじゃないか。それに、カナリアを野放しにしてしまうし。とにかく、僕はお断りだ」
「お言葉ですが、殿下は王太子なのですよ。あなたに拒否権はありません。そもそも学院に入ってからも、カナリアを縛り付けようだなんて図々しいのです。シモン殿も、いいですね?」
カルアお兄様が、笑顔で殿下に迫っている。さらに
「殿下とシモン殿には、学院長先生から正式な任命状も出ております。とにかく、2人には拒否権はありませんから。安心してください、今年の生徒会は、男しかおりませんので。令嬢に絡まれるとか、面倒な事はありませんから」
さらにアクアお兄様が、笑顔で任命状を2人に見せている。
「アクア殿、カルア殿、生徒会の件、承知しました。学院長先生からの任命状もあるのなら、俺たちに拒否権はありませんから」
「シモン、一体何を言っているのだい?僕は嫌だよ。そうだ、カナリアが一緒ならいいよ。でも、今回の生徒会は男ばかりなのだよね。そんなむさ苦しいところに、カナリアを連れて行くなんて事は出来ないし。でも…」
「アルト、ブツブツ訳の分からない事を言っていないで、いい加減腹をくくれ。第一、俺たちに拒否権はないのだから…」
シモン様がアルト様の肩を叩きながら、訴えている。これは2人とも、生徒会に入る事は確定ね。
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