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第32話:キャリーヌを逃がさないと~サミュエル視点~
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急いで地下牢に向かう。初めて地下牢に来たが、薄暗くて気味が悪い。こんな場所に、キャリーヌは閉じ込められているのか。一刻も早く、キャリーヌを助け出してあげないと。
でもその前に、マディスン公爵と話をしないといけない。
「サミュエル殿下、こちらです」
「サミュエル殿下!どうしてあなた様がこちらに?」
地下牢に閉じ込められているのは、間違いない、マディスン公爵だ。
「マディスン公爵、本当に申し訳ございませんでした。まさか兄があそこまで愚かだとは思いませんでした。今至急父に連絡を取っております。とにかくこの様な横暴な事、決して許される事ではありません」
マディスン公爵に頭を下げた。
「サミュエル殿下、どうか頭をお上げください。まさかジェイデン殿下が、ここまで愚かだったとは…さすがに今回の件、見逃すわけにはいきません。私はジェイデン殿下を、決して許さない!」
「ええ、分かっております。君、マディスン公爵を今すぐここから出してくれ!」
近くにいた看守に指示を出す。
「しかし…ジェイデン殿下の指示で…」
「僕はこれでも第二王子、立派な王族だ。僕が全ての責任を取る。すぐにマディスン公爵を出すんだ!」
強い口調で、看守に指示を出した。僕の気迫に負けたのか、すぐにディスン公爵を地下牢から出す看守。
「マディスン公爵、僕の部屋で話をしましょう。それから、あなたの家族が心配だ。今すぐマディスン公爵家に向かい、すぐにご家族を連れて来てくれ」
「はい、かしこまりました」
近くにいた執事に、指示を出す。とにかく今は、マディスン公爵とその家族を守る事が専決だ。
「サミュエル殿下、助けていただきありがとうございます。まさかジェイデン殿下が、あそこまで愚かだったとは…」
部屋につくなり、僕に頭を下げるマディスン公爵。
「謝るのは僕の方です。まさか兄上が、あのような横暴な態度に出るだなんて…とにかく、今父上に連絡を入れているところです。今回の件で、さすがに父上も、兄上の行為を許さないでしょう。それから、キャリーヌ…嬢もすぐに牢から出して安全な場所に!」
「ええ、分かっております。キャリーヌにはしばらく、長女の嫁ぎ先、カリアン王国に避難させようと思っております。今この国に留めておくことは、危険ですので…今回の件で、我がマディスン公爵家は、とてもではないがジェイデン殿下に忠誠を誓う事が出来ません。サミュエル殿下、あなたが次期国王になってくださいませんか?」
僕が、国王に?この人は何を言っているのだろう。この国では、よほどのことがない限り、第一子が国王になる事が一般的なのに…それに今、そんな話をしている場合ではない。
「マディスン公爵、今はその様な…」
「いいえ、大切な話です。このままジェイデン殿下が国王になれば、キャリーヌは無理やり側妃にさせられてしまう可能性もあるでしょう。我が家だってどうなるか…それに、貴族たちだって、王族の横暴な態度に、不満を抱くでしょう。最悪、革命なんて事も…」
マディスン公爵の目は、真剣そのものだった。“私はジェイデン殿下がこのまま王になるなら、王族を潰す覚悟だ”そう言わんばかりの目をしている。確かにこのまま兄上が国王になったら、キャリーヌやマディスン公爵は…
「わかりました、ですが、今はまずキャリーヌを安全な場所に避難させることが専決です。すぐに…」
「殿下、マディスン公爵家の方々を連れて参りました」
ちょうどそのタイミングで、キャリーヌの家族がやって来たのだ。既に執事から話を聞いているのだろう。キャスディン殿は怒りに満ち溢れ、夫人たちは不安そうだ。
「サミュエル殿下、まずはお礼を言わせてください。この度はありがとうございました。それから、馬車に乗っている間に、友人たちに文を書き、それぞれ送りました。まだまだ書き足りないのですが、主要貴族の友人達にはある程度我々が置かれている状況を説明した次第です」
なんと!逃げる途中に、その様な行動を。キャスディン殿は非常に優秀で、人望も厚いと聞いていたが、ここまでとは!
「ありがとう、キャスディン。とにかくまずは、キャリーヌを逃がそうと思っているんだ。この国は危険だからな」
「ええ、分かっております。姉上のいるカリアン王国に逃がすのですね。至急姉上に連絡を入れましょう。それから…」
「お話し中の所、申し訳ございません。サミュエル殿下、ジェイデン殿下がサミュエル殿下の行いに気が付き、たいそうお怒りです。至急サミュエル殿下を呼べとの事でございます」
「もう気が付いたのか…兄上にしては、動きが早いな。マディスン公爵、至急キャリーヌや家族を連れて、王宮を出て下さい。僕はキャリーヌを地下牢から出すように、執事を通して指示を出します。兄上は、その間僕が足止めしておきますから」
「サミュエル殿下、その様な事をして、本当に大丈夫なのですか?国王陛下がいない今、この国で一番権力を持っているのは、王太子でもあるジェイデン殿下です。いくら弟君であっても、最悪投獄と言う事も…」
心配そうな顔のマディスン公爵。
「僕は大丈夫です。本当は父上の許可なく使ってはいけないと言われておりましたが…致し方ない。とにかく、まずはキャリーヌを、安全にカリアン王国に逃がすことを最優先いたしましょう。公爵たちはキャリーヌを国から逃がしたら、公爵家に戻って頂いて大丈夫です。それまでに、僕が何とかしておきますので」
「わかりました。私どもは、サミュエル殿下を信じます。サミュエル殿下、ありがとうございます」
マディスン公爵たちが部屋から出て行った。僕の執事も一緒に付いていっているから、キャリーヌの件は大丈夫だろう。
キャリーヌ、どうかうまく逃げてくれ。
でもその前に、マディスン公爵と話をしないといけない。
「サミュエル殿下、こちらです」
「サミュエル殿下!どうしてあなた様がこちらに?」
地下牢に閉じ込められているのは、間違いない、マディスン公爵だ。
「マディスン公爵、本当に申し訳ございませんでした。まさか兄があそこまで愚かだとは思いませんでした。今至急父に連絡を取っております。とにかくこの様な横暴な事、決して許される事ではありません」
マディスン公爵に頭を下げた。
「サミュエル殿下、どうか頭をお上げください。まさかジェイデン殿下が、ここまで愚かだったとは…さすがに今回の件、見逃すわけにはいきません。私はジェイデン殿下を、決して許さない!」
「ええ、分かっております。君、マディスン公爵を今すぐここから出してくれ!」
近くにいた看守に指示を出す。
「しかし…ジェイデン殿下の指示で…」
「僕はこれでも第二王子、立派な王族だ。僕が全ての責任を取る。すぐにマディスン公爵を出すんだ!」
強い口調で、看守に指示を出した。僕の気迫に負けたのか、すぐにディスン公爵を地下牢から出す看守。
「マディスン公爵、僕の部屋で話をしましょう。それから、あなたの家族が心配だ。今すぐマディスン公爵家に向かい、すぐにご家族を連れて来てくれ」
「はい、かしこまりました」
近くにいた執事に、指示を出す。とにかく今は、マディスン公爵とその家族を守る事が専決だ。
「サミュエル殿下、助けていただきありがとうございます。まさかジェイデン殿下が、あそこまで愚かだったとは…」
部屋につくなり、僕に頭を下げるマディスン公爵。
「謝るのは僕の方です。まさか兄上が、あのような横暴な態度に出るだなんて…とにかく、今父上に連絡を入れているところです。今回の件で、さすがに父上も、兄上の行為を許さないでしょう。それから、キャリーヌ…嬢もすぐに牢から出して安全な場所に!」
「ええ、分かっております。キャリーヌにはしばらく、長女の嫁ぎ先、カリアン王国に避難させようと思っております。今この国に留めておくことは、危険ですので…今回の件で、我がマディスン公爵家は、とてもではないがジェイデン殿下に忠誠を誓う事が出来ません。サミュエル殿下、あなたが次期国王になってくださいませんか?」
僕が、国王に?この人は何を言っているのだろう。この国では、よほどのことがない限り、第一子が国王になる事が一般的なのに…それに今、そんな話をしている場合ではない。
「マディスン公爵、今はその様な…」
「いいえ、大切な話です。このままジェイデン殿下が国王になれば、キャリーヌは無理やり側妃にさせられてしまう可能性もあるでしょう。我が家だってどうなるか…それに、貴族たちだって、王族の横暴な態度に、不満を抱くでしょう。最悪、革命なんて事も…」
マディスン公爵の目は、真剣そのものだった。“私はジェイデン殿下がこのまま王になるなら、王族を潰す覚悟だ”そう言わんばかりの目をしている。確かにこのまま兄上が国王になったら、キャリーヌやマディスン公爵は…
「わかりました、ですが、今はまずキャリーヌを安全な場所に避難させることが専決です。すぐに…」
「殿下、マディスン公爵家の方々を連れて参りました」
ちょうどそのタイミングで、キャリーヌの家族がやって来たのだ。既に執事から話を聞いているのだろう。キャスディン殿は怒りに満ち溢れ、夫人たちは不安そうだ。
「サミュエル殿下、まずはお礼を言わせてください。この度はありがとうございました。それから、馬車に乗っている間に、友人たちに文を書き、それぞれ送りました。まだまだ書き足りないのですが、主要貴族の友人達にはある程度我々が置かれている状況を説明した次第です」
なんと!逃げる途中に、その様な行動を。キャスディン殿は非常に優秀で、人望も厚いと聞いていたが、ここまでとは!
「ありがとう、キャスディン。とにかくまずは、キャリーヌを逃がそうと思っているんだ。この国は危険だからな」
「ええ、分かっております。姉上のいるカリアン王国に逃がすのですね。至急姉上に連絡を入れましょう。それから…」
「お話し中の所、申し訳ございません。サミュエル殿下、ジェイデン殿下がサミュエル殿下の行いに気が付き、たいそうお怒りです。至急サミュエル殿下を呼べとの事でございます」
「もう気が付いたのか…兄上にしては、動きが早いな。マディスン公爵、至急キャリーヌや家族を連れて、王宮を出て下さい。僕はキャリーヌを地下牢から出すように、執事を通して指示を出します。兄上は、その間僕が足止めしておきますから」
「サミュエル殿下、その様な事をして、本当に大丈夫なのですか?国王陛下がいない今、この国で一番権力を持っているのは、王太子でもあるジェイデン殿下です。いくら弟君であっても、最悪投獄と言う事も…」
心配そうな顔のマディスン公爵。
「僕は大丈夫です。本当は父上の許可なく使ってはいけないと言われておりましたが…致し方ない。とにかく、まずはキャリーヌを、安全にカリアン王国に逃がすことを最優先いたしましょう。公爵たちはキャリーヌを国から逃がしたら、公爵家に戻って頂いて大丈夫です。それまでに、僕が何とかしておきますので」
「わかりました。私どもは、サミュエル殿下を信じます。サミュエル殿下、ありがとうございます」
マディスン公爵たちが部屋から出て行った。僕の執事も一緒に付いていっているから、キャリーヌの件は大丈夫だろう。
キャリーヌ、どうかうまく逃げてくれ。
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