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第33話:これ以上好き勝手はさせない~サミュエル視点~
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さて、兄上の元に向かうか。そう思い、部屋を出ようとした時だった。
使用人が僕の元に、通信機を持ってやってきたのだ。どうやら父上と、連絡が取れたらしい。
“サミュエル、ある程度の話は聞いたぞ。まさかジェイデンが、そこまで愚かな事をしているだなんて…マディスン公爵とキャリーヌ嬢に、なんと詫びればいいか…”
「父上、落ち着いて下さい。とりあえずキャリーヌの安全を考え、彼女の姉がいるカリアン王国に避難させました。それから、今から兄上と話をしに行きます。このまま通信を繋いだままで、よろしいですか?」
“ああ、もちろんだ!私が帰るまでの間、全ての権限をサミュエルに与える事にする。その件も、はっきりジェイデンに伝えよう”
「ありがとうございます、父上。では、兄上の元に向かいます」
父上との通信を繋いだまま、兄上の元へと向かった。部屋に入ると、怖い顔をした兄上と、後ろには護衛たちが控えている。きっと僕を捕まえ、牢にでもぶち込もうとしているのだろう。でも、そんな事はさせない!
「サミュエル、なぜ勝手にマディスン公爵を牢から出したんだ!マディスン公爵家の家宅捜索も、一方的に中止させて!」
「お言葉ですが兄上、マディスン公爵は何も悪い事をしていません。罪もない貴族を己の欲の為に投獄し、家宅捜索だなんて。兄上がやっている事は、権力の乱用に当たり、下手をすると兄上が投獄されることになりますよ!」
「何だと!僕は王太子だ。いくら弟でも、さすがに許せない。おい、今すぐサミュエルを地下牢に…」
“いい加減にしなさい!ジェイデン!”
僕たちの会話を聞いていた父上が我慢できなくなったのか、通信機越しから兄上を怒鳴りつけたのだ。
「えっ?父上の声?一体どうなっているのだ?」
周りをキョロキョロと見渡す兄上。
「兄上、今父上と通信機越しで繋がっていたのですよ。兄上の悪事は、既に父上の耳にも届いていますよ」
“ジェイデン、お前はなんて事をしてくれたんだ!全て話は聞いているぞ。キャリーヌ嬢に婚約解消を迫ったうえ、側妃になれと言ったそうじゃないか!その上、拒否したキャリーヌ嬢を牢に閉じ込めただけでなく、抗議したマディスン公爵まで牢にぶち込んだと聞いた。さすがに擁護できないぞ!”
「父上、落ち着いて下さい。僕はこの国の事を考えて、キャリーヌではなくラミア殿下と結婚した方がいいと思ったのです。ただ、僕はキャリーヌも愛している。さすがにラミア殿下を側妃には出来ないから、キャリーヌをと考えたのです。それなのにキャリーヌが、側妃を拒否したのです。だから僕は」
“己の欲の為に、よくもキャリーヌ嬢に側妃になれと言えたな!我が国では、側妃制度は禁止されているはずだ。その理由も、王族なら知っているだろう。それをお前は!とにかく私が帰るまで、全ての権限をサミュエルに与える。既に書類もサミュエルに託してある。いいか、ジェイデン。これ以上勝手な真似はするな。分かったな”
「そんな、父上…」
「兄上、父上のおっしゃった事を理解できましたね。僕の目が黒いうちは、兄上の勝手にはさせませんから。もちろん、勝手に罪もない貴族を投獄する事もさせませんから!」
そう兄上にはっきりと告げた。そんな僕を睨みつける兄上。
後日、僕は貴族たちを集めて、今回兄上が行った悪事を改めて謝罪した。さらに父上が帰国するまでは、全権限が僕に与えられた事も伝えたのだった。
会議後、マディスン公爵が貴族たちを連れて僕の元へとやって来たのだ。
「サミュエル殿下、今回の件、本当にありがとうございました。先日陛下からも、直々に謝罪を頂きました。私は今回の件で、とてもジェイデン殿下には次期国王は務まらないと考えております。陛下にもその旨を伝えました。陛下も今回の事件を重く受け止めている様で、帰国したらその件に関しても話し合いを持つ事になっております。サミュエル殿下、私は王太子殿下にあなた様を推すつもりでおります。あなた様こそ、次期国王にふさわしい方だと考えております」
「私共も、マディスン公爵から今回の件を聞き、ジェイデン殿下の愚かな行いには、あきれ果てた次第です。私どもも、サミュエル殿下が次の国王にふさわしいと考えております。サミュエル殿下、どうか次期国王の件、ご検討いただけないでしょうか?」
僕が次期国王だって?
「でも僕は、第二王子です。この国では、第一子が国王を継ぐという決まりが…」
そう、国王になるのは兄上。子供の頃から、そう言い聞かせられてきた。だから僕はあの日、キャリーヌを諦めたのだ。
「権力を利用して、貴族を従えさせようとする人間が国王になればどうなるか。言う事を聞かないという理由で、投獄されたらたまったものではありません。あのような暴君が国王になるのでしたら、私はとても王族に忠誠を誓えません」
「私もです!ジェイデン殿下よりも、サミュエル殿下の方が聡明で国王に向いていらっしゃる。その事は陛下も理解していらしたのです。そもそもジェイデン殿下は、犯してはならない罪を犯したのです。そんな人間が、国王になってはいけないのです」
「サミュエル殿下、どうかご決断を!」
使用人が僕の元に、通信機を持ってやってきたのだ。どうやら父上と、連絡が取れたらしい。
“サミュエル、ある程度の話は聞いたぞ。まさかジェイデンが、そこまで愚かな事をしているだなんて…マディスン公爵とキャリーヌ嬢に、なんと詫びればいいか…”
「父上、落ち着いて下さい。とりあえずキャリーヌの安全を考え、彼女の姉がいるカリアン王国に避難させました。それから、今から兄上と話をしに行きます。このまま通信を繋いだままで、よろしいですか?」
“ああ、もちろんだ!私が帰るまでの間、全ての権限をサミュエルに与える事にする。その件も、はっきりジェイデンに伝えよう”
「ありがとうございます、父上。では、兄上の元に向かいます」
父上との通信を繋いだまま、兄上の元へと向かった。部屋に入ると、怖い顔をした兄上と、後ろには護衛たちが控えている。きっと僕を捕まえ、牢にでもぶち込もうとしているのだろう。でも、そんな事はさせない!
「サミュエル、なぜ勝手にマディスン公爵を牢から出したんだ!マディスン公爵家の家宅捜索も、一方的に中止させて!」
「お言葉ですが兄上、マディスン公爵は何も悪い事をしていません。罪もない貴族を己の欲の為に投獄し、家宅捜索だなんて。兄上がやっている事は、権力の乱用に当たり、下手をすると兄上が投獄されることになりますよ!」
「何だと!僕は王太子だ。いくら弟でも、さすがに許せない。おい、今すぐサミュエルを地下牢に…」
“いい加減にしなさい!ジェイデン!”
僕たちの会話を聞いていた父上が我慢できなくなったのか、通信機越しから兄上を怒鳴りつけたのだ。
「えっ?父上の声?一体どうなっているのだ?」
周りをキョロキョロと見渡す兄上。
「兄上、今父上と通信機越しで繋がっていたのですよ。兄上の悪事は、既に父上の耳にも届いていますよ」
“ジェイデン、お前はなんて事をしてくれたんだ!全て話は聞いているぞ。キャリーヌ嬢に婚約解消を迫ったうえ、側妃になれと言ったそうじゃないか!その上、拒否したキャリーヌ嬢を牢に閉じ込めただけでなく、抗議したマディスン公爵まで牢にぶち込んだと聞いた。さすがに擁護できないぞ!”
「父上、落ち着いて下さい。僕はこの国の事を考えて、キャリーヌではなくラミア殿下と結婚した方がいいと思ったのです。ただ、僕はキャリーヌも愛している。さすがにラミア殿下を側妃には出来ないから、キャリーヌをと考えたのです。それなのにキャリーヌが、側妃を拒否したのです。だから僕は」
“己の欲の為に、よくもキャリーヌ嬢に側妃になれと言えたな!我が国では、側妃制度は禁止されているはずだ。その理由も、王族なら知っているだろう。それをお前は!とにかく私が帰るまで、全ての権限をサミュエルに与える。既に書類もサミュエルに託してある。いいか、ジェイデン。これ以上勝手な真似はするな。分かったな”
「そんな、父上…」
「兄上、父上のおっしゃった事を理解できましたね。僕の目が黒いうちは、兄上の勝手にはさせませんから。もちろん、勝手に罪もない貴族を投獄する事もさせませんから!」
そう兄上にはっきりと告げた。そんな僕を睨みつける兄上。
後日、僕は貴族たちを集めて、今回兄上が行った悪事を改めて謝罪した。さらに父上が帰国するまでは、全権限が僕に与えられた事も伝えたのだった。
会議後、マディスン公爵が貴族たちを連れて僕の元へとやって来たのだ。
「サミュエル殿下、今回の件、本当にありがとうございました。先日陛下からも、直々に謝罪を頂きました。私は今回の件で、とてもジェイデン殿下には次期国王は務まらないと考えております。陛下にもその旨を伝えました。陛下も今回の事件を重く受け止めている様で、帰国したらその件に関しても話し合いを持つ事になっております。サミュエル殿下、私は王太子殿下にあなた様を推すつもりでおります。あなた様こそ、次期国王にふさわしい方だと考えております」
「私共も、マディスン公爵から今回の件を聞き、ジェイデン殿下の愚かな行いには、あきれ果てた次第です。私どもも、サミュエル殿下が次の国王にふさわしいと考えております。サミュエル殿下、どうか次期国王の件、ご検討いただけないでしょうか?」
僕が次期国王だって?
「でも僕は、第二王子です。この国では、第一子が国王を継ぐという決まりが…」
そう、国王になるのは兄上。子供の頃から、そう言い聞かせられてきた。だから僕はあの日、キャリーヌを諦めたのだ。
「権力を利用して、貴族を従えさせようとする人間が国王になればどうなるか。言う事を聞かないという理由で、投獄されたらたまったものではありません。あのような暴君が国王になるのでしたら、私はとても王族に忠誠を誓えません」
「私もです!ジェイデン殿下よりも、サミュエル殿下の方が聡明で国王に向いていらっしゃる。その事は陛下も理解していらしたのです。そもそもジェイデン殿下は、犯してはならない罪を犯したのです。そんな人間が、国王になってはいけないのです」
「サミュエル殿下、どうかご決断を!」
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