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第19話:一刻も早く何とかしたいのに…~ブラック視点~
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ユリアを見送った俺は、急いで屋敷に戻ってきた。ユリアはあんなにも酷い扱いを受けているのに、あいつらに感謝しているだって?
きっとあいつらに、“お前は厄介者、置いてもらえるだけでありがたく思え”とか言われ続けていたのだろう。それに両親の借金がどうとか言っていたが、元伯爵夫妻に借金なんて無い!むしろ領地経営もうまく行っていて、裕福だったくらいだ。
あいつらの事だ、両親に借金があったなんて適当な事を言って、ユリアに無理やり治癒魔法を掛けさせて、稼がせていたのだろう。ユリアが命を削った金で贅沢をしていただなんて!絶対に許せない。
「父上、もう我慢できません!あいつらがユリアに行っていた証拠も、随分と集まりました。それに元メイドたちの証言もあります!一気に伯爵家を潰しましょう」
これ以上あのゴミどもを、野放しにしておくなんて俺には無理だ!一刻も早く、あいつらゴミを一掃しないと!今もゴミどもにユリアが傷つけられていると思うと、腸が煮えくり返る思いだ。
「まだダメだ…現状証拠ばかりで、決定的な証拠がない。これでは裁判では勝てない。きっと伯爵家に、治癒魔法をユリア嬢に掛けさせた証拠があるだろうが、王太子殿下から家宅捜索の許可が下りなくてね」
通常貴族を裁いたり家宅捜索を行う場合、王族の許可がいるのだ。確かにあの意地悪な義兄上なら許可を下ろさないだろう。あの人は俺の事を目の敵にしているし、ああ見えて意外と仕事が出来る。
姉上の事になると別だが、政治に関してだけ言えば、感情で動くタイプではない。
「伯爵家にメイドのスパイを送っているが、さすがに伯爵の部屋は厳重に管理されている様で、調査が難航しているのだ。とにかくここは、慎重に行かざるを得ない」
父上もため息を付いている。
その時だった。
「あなた、ブラックも。最近夜遅くまで一体何をしているの?今もブラックの怒る声が聞こえたのだけれど…いつもあまり表情を出さないブラック怒鳴るだなんて、あの時以来ね。ねえ、2人とも何をしているの?一体何を隠しているの?」
俺たちの前にやって来たのは、母上だ。母上にユリアの事がバレると、きっと大騒ぎをするだろう。そもそも俺が令嬢に興味がある事が母上にバレること自体、面倒だ。問題をこれ以上増やさないためにも、母上には内緒にしておくことで、父上とは話がまとまっている。
「何でもありません。ちょっと領地経営の件で、父上と対立していただけですから」
「ブラックの言う通りだ。君だって知っているだろう?ブラックが人が変わったように、今色々と勉強を頑張っている事を」
「それは知っておりますわ。でも…もっと重要な事が行われている様で、気になるの。学院に通うようになってから、ブラックは表情豊かになったわ。もしかしてブラックによい影響を与えて下さった方がいらっしゃるのではないかと思って。それがもし令嬢なら…ごめんなさい。また出しゃばってしまって。でも私は、母親として、ブラックには幸せになって欲しいと思っているのよ。だから、どうか私だけのけ者にしないで頂戴」
母上が必死に訴えかけてくる。母上が俺の事を考えてくれている事は知っている。でも…やはり昔の強烈な母上のイメージが払しょくできないのだ。
「本当になんでもありませんよ。それじゃあ、俺は部屋に戻ります」
母上の悲しそうな顔を見ると、胸が苦しくなる。それでも俺は、まだユリアの事を母上に知られたくはないのだ。きっとユリアの事を知れば、母上は伯爵家に怒鳴り込んでいくだろう。もしかするとユリアにしたであろうことを責め立てるかもしれない。そんな事をすれば、伯爵は証拠を隠滅するかもしれないし、何よりもユリアに危害が及ぶかもしれない。
とにかく今はまだ、母上には知らせない方がいい。
部屋に戻った俺は、すぐにユリアに関する最新の資料に目を通す。相変わらず酷い生活を送っている様だ。あの家にユリアの味方は1人もいない様だ。メイドたちでも着ない様なボロボロの服を着て、固いパンと水の様なスープを飲んで飢えをしのんでいるらしい。
ただ、スパイの話では使用人たちみんな、ユリアを心配はしているとの事。それでも伯爵や夫人怖さに、誰もユリアを助けられないらしい。昔ユリアを助けるために伯爵に抗議したメイドは、暗殺されたとの事。このメイド暗殺の件も、罪に問えそうだな。
調査書を見れば見るほど、伯爵家の人間がいかに腐りきっていることが分かる。早くユリアのあのゴミどもから助け出してあげたいのに!
苛立ちと焦りだけが、募っていくのだった。
きっとあいつらに、“お前は厄介者、置いてもらえるだけでありがたく思え”とか言われ続けていたのだろう。それに両親の借金がどうとか言っていたが、元伯爵夫妻に借金なんて無い!むしろ領地経営もうまく行っていて、裕福だったくらいだ。
あいつらの事だ、両親に借金があったなんて適当な事を言って、ユリアに無理やり治癒魔法を掛けさせて、稼がせていたのだろう。ユリアが命を削った金で贅沢をしていただなんて!絶対に許せない。
「父上、もう我慢できません!あいつらがユリアに行っていた証拠も、随分と集まりました。それに元メイドたちの証言もあります!一気に伯爵家を潰しましょう」
これ以上あのゴミどもを、野放しにしておくなんて俺には無理だ!一刻も早く、あいつらゴミを一掃しないと!今もゴミどもにユリアが傷つけられていると思うと、腸が煮えくり返る思いだ。
「まだダメだ…現状証拠ばかりで、決定的な証拠がない。これでは裁判では勝てない。きっと伯爵家に、治癒魔法をユリア嬢に掛けさせた証拠があるだろうが、王太子殿下から家宅捜索の許可が下りなくてね」
通常貴族を裁いたり家宅捜索を行う場合、王族の許可がいるのだ。確かにあの意地悪な義兄上なら許可を下ろさないだろう。あの人は俺の事を目の敵にしているし、ああ見えて意外と仕事が出来る。
姉上の事になると別だが、政治に関してだけ言えば、感情で動くタイプではない。
「伯爵家にメイドのスパイを送っているが、さすがに伯爵の部屋は厳重に管理されている様で、調査が難航しているのだ。とにかくここは、慎重に行かざるを得ない」
父上もため息を付いている。
その時だった。
「あなた、ブラックも。最近夜遅くまで一体何をしているの?今もブラックの怒る声が聞こえたのだけれど…いつもあまり表情を出さないブラック怒鳴るだなんて、あの時以来ね。ねえ、2人とも何をしているの?一体何を隠しているの?」
俺たちの前にやって来たのは、母上だ。母上にユリアの事がバレると、きっと大騒ぎをするだろう。そもそも俺が令嬢に興味がある事が母上にバレること自体、面倒だ。問題をこれ以上増やさないためにも、母上には内緒にしておくことで、父上とは話がまとまっている。
「何でもありません。ちょっと領地経営の件で、父上と対立していただけですから」
「ブラックの言う通りだ。君だって知っているだろう?ブラックが人が変わったように、今色々と勉強を頑張っている事を」
「それは知っておりますわ。でも…もっと重要な事が行われている様で、気になるの。学院に通うようになってから、ブラックは表情豊かになったわ。もしかしてブラックによい影響を与えて下さった方がいらっしゃるのではないかと思って。それがもし令嬢なら…ごめんなさい。また出しゃばってしまって。でも私は、母親として、ブラックには幸せになって欲しいと思っているのよ。だから、どうか私だけのけ者にしないで頂戴」
母上が必死に訴えかけてくる。母上が俺の事を考えてくれている事は知っている。でも…やはり昔の強烈な母上のイメージが払しょくできないのだ。
「本当になんでもありませんよ。それじゃあ、俺は部屋に戻ります」
母上の悲しそうな顔を見ると、胸が苦しくなる。それでも俺は、まだユリアの事を母上に知られたくはないのだ。きっとユリアの事を知れば、母上は伯爵家に怒鳴り込んでいくだろう。もしかするとユリアにしたであろうことを責め立てるかもしれない。そんな事をすれば、伯爵は証拠を隠滅するかもしれないし、何よりもユリアに危害が及ぶかもしれない。
とにかく今はまだ、母上には知らせない方がいい。
部屋に戻った俺は、すぐにユリアに関する最新の資料に目を通す。相変わらず酷い生活を送っている様だ。あの家にユリアの味方は1人もいない様だ。メイドたちでも着ない様なボロボロの服を着て、固いパンと水の様なスープを飲んで飢えをしのんでいるらしい。
ただ、スパイの話では使用人たちみんな、ユリアを心配はしているとの事。それでも伯爵や夫人怖さに、誰もユリアを助けられないらしい。昔ユリアを助けるために伯爵に抗議したメイドは、暗殺されたとの事。このメイド暗殺の件も、罪に問えそうだな。
調査書を見れば見るほど、伯爵家の人間がいかに腐りきっていることが分かる。早くユリアのあのゴミどもから助け出してあげたいのに!
苛立ちと焦りだけが、募っていくのだった。
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