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第2話:森で大怪我をした青年を拾いました
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カミラさんの家でお世話になりながら、家の事を覚えていく。優しいカミラさんに色々と教えてもらいながら、必死で生きて来た。私の唯一の家族、カミラさんがいてくれたから、何とか生きながらえる事が出来た。
カミラさんも私を娘の様に可愛がってくれた。とにかく必死に生きた。そして気が付けばこの国に来て、9年と半年が過ぎていた。残念ながら半年前、カミラさんが流行り病を患い、献身的な看護も虚しくこの世を去った。
正直カミラさんが亡くなった時は、涙が枯れるまで泣いた。唯一私の心の支えだったカミラさんを失い、自分を見失いそうになった時もあったが、それでも私は生きて行かないといけない。
お姉様のお墓の横に、カミラさんのお墓を作り埋葬した。半年たった今でも正直辛いが、それでも何とかやっている。街の人が
「カミラさんが亡くなって辛いだろう?こんな森で生活していないで、街に下りて来るといい!」
そう言ってくれたが、私はカミラさんと過ごしたこの家から離れるつもりはない。だから、丁重にお断りした。
そんなある日、いつもの様に森に木の実を採りに出かける。ふと茂みから何かが飛び出ているのが目に入った。あれは一体なにかしら?
ゆっくり近づくと、そこにいたのは!何と人だ。それも全身血だらけで倒れている。急いで駆け寄り
「大丈夫ですか?意識はありますか?」
そう必死に呼びかけた。でも、返事はない。急いで口元に手をやると…まだ息がある!とにかくこの人を助けないと!
家からソリを持って来て、ソリの上に男性を乗せた。そして、必死にソリを引っ張り家へと運ぶ。それと同時にお医者様を呼んだ。
「これは酷い怪我だな!でも、命に別状はないよ!後少し遅かったら、間に合わなかったかもしれないがね」
良かった!命に別状はないのね。ホッと胸をなでおろした。
「かなり酷い怪我だから、熱が出るかもしれない。後、目が覚めたら栄養のある物を食べさせてあげるんだよ。それから、怪我が治るまでは極力動かない様に。それじゃあ、また来るから」
「ありがとうございました!」
お医者様を見送った後、再び青年の元へとやって来た。まだ意識が戻らない様だ。それにしても、奇麗な黒髪をしている。服は血だらけでかなり汚れているが、それでもかなり高価な物だ。
もしかしたら、高貴な身分の人なのかもしれない。でももし高貴な身分の人なら、どうしてこんな森にいるのかしら?そんな事を考えていると、ゆっくり瞼が持ち上がって、美しい赤い瞳と目が合った。
「目が覚められたのですね。良かった!」
「ここは?」
「ここはドミスティナ王国の外れです」
「ドミスティナ王国…」
そう呟いて考え込む青年。そうだ、喉が渇いているかもしれないわね。
「あの、喉が渇いていませんか?今すぐ水をお持ちしますね」
急いで水を汲んできて、青年に手渡そうとしたのだが、何を思ったのかコップを振り払ったのだ。
パリン
床に落ちたコップが割れ、破片が飛び散る。
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
私に向かってそう叫んだ青年。その瞳は、10年前処刑場に向かう両親とお兄様と同じ、絶望に満ちた目だった。両親やお兄様は、死にたくもないのに無理やり殺された。それなのにこの人は!
キッと青年を睨みつけた。
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!生きたくても生きる事が出来なかった者もいるのですから!」
お父様もお母様もお兄様もお姉様も、きっともっと生きたいと願っていただろう。それなのに、命を落としたのだ!そんな人たちが居る中、この人は死にたかったですって!ふざけるんじゃないわよ!
気が付くと、瞳からポロポロと涙が溢れて来た。駄目よ…泣いては駄目…そう思っても、涙を抑える事が出来ない。
「すまなかった…君を泣かせるつもりではなかったんだ。助けてくれて、ありがとう…」
そう呟いた青年。
「私こそ生意気な事を言って、ごめんなさい。私はフローラです。この家で1人で暮らしています」
「俺はアダムだ。それにしても、君みたいな若い子が1人で暮らしているなんて。家族はどうしたんだい?」
「随分昔に亡くなりました。私を育ててくれていた人も、半年前に流行り病にかかって亡くなったので…」
「そうだったんだね。ごめん。無神経な事を聞いて…」
「いいえ、大丈夫ですわ!それより、お腹が空いていませんか?今食べやすいものを作りますね」
急いでミルク粥を作る。私が病気になると、いつもカミラさんが作ってくれていたお料理。消化によくて食べやすいのだ。
「はい、熱いので気を付けて食べて下さい…て、怪我をしているので食べられないですよね。とりあえず、一旦起き上がれますか?」
全身包帯が巻かれているアダム様を起し、ミルク粥を口に運ぶ。出来たてなので、やけどをしない様にフーフーをしてからだ。
「すまない、何かなら何まで!」
申し訳なさそうに口を開けるアダム様。
「困ったときはお互い様です」
私も昔、カミラさんにこうやって助けられた。それにきっとカミラさんが生きていたら、同じように助けただろうし。
「美味い…こんな料理は初めて食べたが、とても美味しいよ!」
「それは良かったです」
どうやら私の料理を気に入ってくれた様だ。結局全て平らげたアダム様。
「さあ、あなた様は大怪我をしているのです。どうかゆっくりお休みください!」
食後は再びベッドにアダム様を寝かせた。とにかく今は絶対安静だ。
「ありがとう、フローラ嬢」
そう言うとゆっくり瞼を閉じたアダム様。とりあえず、意識が戻って良かったわ。
カミラさんも私を娘の様に可愛がってくれた。とにかく必死に生きた。そして気が付けばこの国に来て、9年と半年が過ぎていた。残念ながら半年前、カミラさんが流行り病を患い、献身的な看護も虚しくこの世を去った。
正直カミラさんが亡くなった時は、涙が枯れるまで泣いた。唯一私の心の支えだったカミラさんを失い、自分を見失いそうになった時もあったが、それでも私は生きて行かないといけない。
お姉様のお墓の横に、カミラさんのお墓を作り埋葬した。半年たった今でも正直辛いが、それでも何とかやっている。街の人が
「カミラさんが亡くなって辛いだろう?こんな森で生活していないで、街に下りて来るといい!」
そう言ってくれたが、私はカミラさんと過ごしたこの家から離れるつもりはない。だから、丁重にお断りした。
そんなある日、いつもの様に森に木の実を採りに出かける。ふと茂みから何かが飛び出ているのが目に入った。あれは一体なにかしら?
ゆっくり近づくと、そこにいたのは!何と人だ。それも全身血だらけで倒れている。急いで駆け寄り
「大丈夫ですか?意識はありますか?」
そう必死に呼びかけた。でも、返事はない。急いで口元に手をやると…まだ息がある!とにかくこの人を助けないと!
家からソリを持って来て、ソリの上に男性を乗せた。そして、必死にソリを引っ張り家へと運ぶ。それと同時にお医者様を呼んだ。
「これは酷い怪我だな!でも、命に別状はないよ!後少し遅かったら、間に合わなかったかもしれないがね」
良かった!命に別状はないのね。ホッと胸をなでおろした。
「かなり酷い怪我だから、熱が出るかもしれない。後、目が覚めたら栄養のある物を食べさせてあげるんだよ。それから、怪我が治るまでは極力動かない様に。それじゃあ、また来るから」
「ありがとうございました!」
お医者様を見送った後、再び青年の元へとやって来た。まだ意識が戻らない様だ。それにしても、奇麗な黒髪をしている。服は血だらけでかなり汚れているが、それでもかなり高価な物だ。
もしかしたら、高貴な身分の人なのかもしれない。でももし高貴な身分の人なら、どうしてこんな森にいるのかしら?そんな事を考えていると、ゆっくり瞼が持ち上がって、美しい赤い瞳と目が合った。
「目が覚められたのですね。良かった!」
「ここは?」
「ここはドミスティナ王国の外れです」
「ドミスティナ王国…」
そう呟いて考え込む青年。そうだ、喉が渇いているかもしれないわね。
「あの、喉が渇いていませんか?今すぐ水をお持ちしますね」
急いで水を汲んできて、青年に手渡そうとしたのだが、何を思ったのかコップを振り払ったのだ。
パリン
床に落ちたコップが割れ、破片が飛び散る。
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
私に向かってそう叫んだ青年。その瞳は、10年前処刑場に向かう両親とお兄様と同じ、絶望に満ちた目だった。両親やお兄様は、死にたくもないのに無理やり殺された。それなのにこの人は!
キッと青年を睨みつけた。
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!生きたくても生きる事が出来なかった者もいるのですから!」
お父様もお母様もお兄様もお姉様も、きっともっと生きたいと願っていただろう。それなのに、命を落としたのだ!そんな人たちが居る中、この人は死にたかったですって!ふざけるんじゃないわよ!
気が付くと、瞳からポロポロと涙が溢れて来た。駄目よ…泣いては駄目…そう思っても、涙を抑える事が出来ない。
「すまなかった…君を泣かせるつもりではなかったんだ。助けてくれて、ありがとう…」
そう呟いた青年。
「私こそ生意気な事を言って、ごめんなさい。私はフローラです。この家で1人で暮らしています」
「俺はアダムだ。それにしても、君みたいな若い子が1人で暮らしているなんて。家族はどうしたんだい?」
「随分昔に亡くなりました。私を育ててくれていた人も、半年前に流行り病にかかって亡くなったので…」
「そうだったんだね。ごめん。無神経な事を聞いて…」
「いいえ、大丈夫ですわ!それより、お腹が空いていませんか?今食べやすいものを作りますね」
急いでミルク粥を作る。私が病気になると、いつもカミラさんが作ってくれていたお料理。消化によくて食べやすいのだ。
「はい、熱いので気を付けて食べて下さい…て、怪我をしているので食べられないですよね。とりあえず、一旦起き上がれますか?」
全身包帯が巻かれているアダム様を起し、ミルク粥を口に運ぶ。出来たてなので、やけどをしない様にフーフーをしてからだ。
「すまない、何かなら何まで!」
申し訳なさそうに口を開けるアダム様。
「困ったときはお互い様です」
私も昔、カミラさんにこうやって助けられた。それにきっとカミラさんが生きていたら、同じように助けただろうし。
「美味い…こんな料理は初めて食べたが、とても美味しいよ!」
「それは良かったです」
どうやら私の料理を気に入ってくれた様だ。結局全て平らげたアダム様。
「さあ、あなた様は大怪我をしているのです。どうかゆっくりお休みください!」
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