私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

文字の大きさ
50 / 53

第50話:騎士団に戻ります

しおりを挟む
「グラディオン隊長、僕たちも一度騎士団に向かいます」

「俺たちも一旦騎士団に戻るよ。グラディオン、ジャンヌの事を頼んだぞ」

「ええ、俺もジャンヌを家まで送り届けたら、すぐに騎士団に戻ります」

「それなら私も騎士団に行くわ。もう随分薬の切れて来た様だし。だいぶ体も楽になって来たもの」

「分かったよ、それじゃあ、一緒に騎士団に行こうか?ただし、騎士団に着いたらすぐに医務室に連れて行くからな」

「ええ、分かっているわ。グラディオン、助けてくれてありがとう。今日のあなた、とても格好よかったわよ」

「いや…一番格好よかったのはジャンヌだ。やっぱり俺は、まだまだジャンヌには敵わないよ」

そう言って苦笑いしているグラディオン。私のどこが格好良かったのかしら?薬の影響で頭は朦朧としていたし、結局グラディオンに助けられたし…

そのままグラディオンに馬車に乗せられ、騎士団を目指す。

「ジャンヌ、体は本当に辛くないか?あいつ、どこまでもジャンヌに執着していたな。このまま野放しにしておくと、また何をしでかすか分からない」

「だからこそ、今回徹底的に叩き潰したのでしょう?大丈夫よ、伯爵、子爵令息を使い私をおびき寄せさせ、伯爵令嬢でもある私に危害を加えようとしたのですもの。慰謝料を支払って終わりだなんて事は、出来ないわ。そうでしょう?グラディオン」

「そうだな、最悪犯罪者収容施設への収容も考えられるが…まあ、王都からの追放が妥当だろう」

王都からの追放か…

私達貴族は、基本的に王都で生活をし、活動をしている。王都にいられないとなれば、シャーロン様が侯爵家を継ぐことは難しいだろう。そうなると、シャーロン様の弟君が後を継ぐことになるだろう。

「ジャンヌ、騎士団に着いたぞ。とにかく一度医者に診てもらおう」

すっと私を抱き上げると、歩き出したグラディオン。

「もう私、薬の効果はほとんど切れているから、1人で歩けるわよ」

そう伝えたのだが…

「俺がこうして居たいんだ。少しぐらいいいだろう?」

そう言われては、これ以上何も言えない。結局グラディオンに医務室へと運んで貰った。そして早速診察を受けたが、薬の効果も抜けているし、体には何の問題もないとの事。

そりゃそうだろう、この国で認められている安全な薬を飲んだのだから…

「それじゃあ、俺たちも騎士団長の元に向かおう。多分シャーロンの両親も来ているはずだから」

グラディオンと一緒に、騎士団長室へと向かう。すると、女性の泣き叫ぶ声が、既に部屋の外まで響き渡っていた。きっとシャーロン様のお母様だろう。

「既に修羅場と化しているな。どうする?ジャンヌ、嫌ならお前は一緒に来なくてもいいぞ」

「大丈夫よ、行きましょう」

2人でゆっくりと騎士団長室へと入っていく。すると

「ジャンヌ嬢、息子が本当に申し訳なかった。どうか…どうか穏便に」

私の姿を見るなり、ディノス侯爵が頭を下げて来たのだ。

「ディノス侯爵、どうか落ち着いて下さい。今回の事件の被害者は、私だけではありません。私1人の意見で、どうにかなるものではございませんから」

「ディノス侯爵、シャーロン殿はもちろん、今回脅された令息たちのほとんどが騎士団を既に辞めている方たちです。さすがに今回の事件を、騎士団内で解決させるのは不可能です。申し訳ございませんが、貴族法にのっとり、貴族裁判にて正式に裁きを受ける方向になるでしょう」

「貴族裁判だなんて、大げさな。そもそも、事前に情報を掴んでいたのでしょう?それなら、どうして未然に防いでくださらなかったのですか?そうすればシャーロンだって…」

「それはさっきもお話ししたでしょう。それに今回の件は、事前に陛下にも相談して、許可を頂いております。我々騎士団は、きちんと法にのっとり動いたまでです。これ以上話すことはありませんので、このままシャーロン殿を連れて、お帰り下さい」

「待って下さい、騎士団長…いいえ、マリアーズ伯爵。あなたがジャンヌ嬢の事で、シャーロンを憎んでいるのは知っています。ですが、貴族裁判はさすがにやりすぎでは?」

「やりすぎ?そうでしょうか?本来どんな小さな事件でも、貴族が罪を犯せば貴族裁判にかけられるのは貴族世界の常識。それに既に陛下の耳にも入っている今回の事件を、私に揉み消せるとでもお考えですか?それに今回、ジャンヌ以外にも伯爵令息や子爵令息の被害者もいるのですよ。このまま有耶無耶に何て出来ないでしょう」

「ですが…」

まだ反論しようとするディノス侯爵。その時だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

殿下、毒殺はお断りいたします

石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。 彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。 容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。 彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。 「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。 「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

処理中です...