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第51話:新しい騎士団長が決まりました
「黙って聞いていれば、随分好き勝手おっしゃるのですね。いいですか?あなた達の息子は、貴族令息たちを脅し、伯爵令嬢の誘拐を企てたのですよ。これは立派な犯罪です。もし今回この件を有耶無耶にすれば、騎士団の面目は丸つぶれ。貴族界からも白い目で見られます。そんな事は、あなた達だって分かっているでしょう!そもそも4年半前の事件は、私の部隊で起こった事件です。あの時、私が有耶無耶にしなければこんな事には…」
悔しそうに唇を噛んでいるのは、かつて私たちが所属していた部隊の隊長で、今は副騎士団長をしている第三王子のラファエル副騎士団長だ。
まだ若いながらも、非常に優秀なラファエル副騎士団長。彼が次期騎士団長になってもいいのだが、なぜか彼自身もグラディオンを推している。自分は騎士団長を支える立場でいたいとの事で、とても謙虚な方なのだ。
「とにかく、今回の件はうやむやにすることはできません。陛下や王太子殿下にも、既に話しは済んでおります。もしこのまま有耶無耶にする様でしたら、私の面目も丸つぶれです。話は終わりです。さあ、どうかシャーロン殿を連れてお帰り下さい」
さすがにラファエル副団長にここまで言われたら、彼らも従うしかないだろう。
「…分かりました。シャーロンが本当に申し訳ございませんでした。それでは失礼します」
ディノス侯爵と夫人が一礼すると、そのままシャーロン様を連れて部屋から出て行こうとしている。でも…
「ジャンヌ…僕は君を諦めないよ。絶対にね。必ず迎えに行くから、待っていてね」
何を思ったのか、虚ろな瞳で私を見つめると、そんな事を呟いたのだ。さすがに怖くて、グラディオンにしがみついた。何なの、あの人…
「シャーロン、お前は自分の置かれている状況が分からないのか?申し訳ございません、もう二度とシャーロンをジャンヌ嬢には近づかせませんから」
そう言うと、急いでシャーロン様を連れて出て行ったディノス侯爵たち。3人が部屋から出ていくと…
「何なんだ…シャーロンのあの目…ジャンヌ、大丈夫か?あれは一度、精神病院で治療を受けた方がいいのではないのか?」
ポツリと副騎士団長が呟いた。その場にいた他の隊長たちも、一斉に頷いている。確かにシャーロン様の目、ヤバかったわね。
「そうだな、一応裁判所にはシャーロンの精神状態の件も、記載しておくよ。副騎士団長を始め、各隊長、それから今回協力してくれた騎士団員の皆には本当に感謝している。俺が至らないばかりに、色々と迷惑をかけてすまなかった。俺はこの裁判が終わったら、騎士団を退団しようと思っている。本当ならグラディオンに騎士団長を任せたいところだが、生憎グラディオンはまだ16歳。それにこれからもっと、経験を積む必要があるだろう」
お父様が真っすぐ副騎士団長の方を向いた。
「ラファエル副騎士団長、俺はぜひ、副騎士団長に新しい騎士団長をやって欲しいと思っている。君は強さだけでなく、優しさや思いやり、さらに騎士団に対する愛情も人一倍強い。どうか俺の後を継いでもらえないだろうか?頼む」
お父様が副騎士団長の頭を下げたのだ。
「わ…私がですか?何度も話しておりますが、私は騎士団長の器ではありません。現に4年半前の事件を有耶無耶にしてしまいましたし。やはりグラディオンに…」
「副騎士団長、俺にはまだ騎士団長には荷が重すぎます。それに俺は、これからジャンヌとの婚約に加え、時期侯爵家の当主になるべく、色々と勉強をしないといけない事も多いのです。それに俺も、副騎士団長なら立派な騎士団長になってくれると信じています。どうか俺からも、お願いします」
グラディオンも副騎士団長に頭を下げた。さらに
「お前が騎士団長になりたくないと常々言っていたから、俺たちは何も言わなかったが、俺たちもお前が騎士団長にふさわしいと思っていたぞ。さすがに今のグラディオンに、騎士団長を押し付けるのは酷だろう。それに今まで散々騎士団長にはお世話になったんだ。伯爵の仕事を犠牲にして頑張ってくれた騎士団長はもちろん、陰で長年支えてきてくださったマリアーズ伯爵夫人の為にも、そろそろ騎士団長を騎士団から解放してやろう」
副騎士団長の方を叩き、そう伝えているのは第一部隊の隊長だ。副騎士団長とは同期で、大の仲良しと聞いている。
「俺も副騎士団長が騎士団長になるのがいいと思う」
「俺もだ」
他の隊長たちも次々と賛成の意を表明している。
「皆もそう言っているが、どうだろうか?」
お父様が再度副騎士団長に問いかけている。天井を見上げ、ゆっくり目を閉じた副騎士団長。そして…
「分かりました。それでは私が騎士団長を引き受けましょう。ただし、私はグラディオンが騎士団長になるまでの繋ぎです。ですから、グラディオンには副騎士団長になって頂きたい。それが、私が騎士団長になるための条件です」
「グラディオンが騎士団長か。いいんじゃないか。元々騎士団長に一番近い男だったんだ。俺は賛成だ」
「俺たちも賛成する」
「グラディオン、皆がそう言っているが、副騎士団長を引き受けてもらえるだろうか?」
お父様がグラディオンに問いかけている。今度はグラディオンが考える番だ。グラディオンはどんな答えを出すのかしら?もちろん私は、どんな答えでも受け入れるつもりだけれどね。
そんな目でグラディオンを見つめた。私と目があったグラディオンが、一瞬ほほ笑むと
「分かりました、副騎士団長の件、よろしくお願いします。ラファエル副騎士団長、ご指導の程、よろしくお願いします」
後日、正式に騎士団内で会議が行われ、正式にラファエル副騎士団長が新騎士団長に、そしてグラディオンが新副騎士団長に任命されたのだった。
悔しそうに唇を噛んでいるのは、かつて私たちが所属していた部隊の隊長で、今は副騎士団長をしている第三王子のラファエル副騎士団長だ。
まだ若いながらも、非常に優秀なラファエル副騎士団長。彼が次期騎士団長になってもいいのだが、なぜか彼自身もグラディオンを推している。自分は騎士団長を支える立場でいたいとの事で、とても謙虚な方なのだ。
「とにかく、今回の件はうやむやにすることはできません。陛下や王太子殿下にも、既に話しは済んでおります。もしこのまま有耶無耶にする様でしたら、私の面目も丸つぶれです。話は終わりです。さあ、どうかシャーロン殿を連れてお帰り下さい」
さすがにラファエル副団長にここまで言われたら、彼らも従うしかないだろう。
「…分かりました。シャーロンが本当に申し訳ございませんでした。それでは失礼します」
ディノス侯爵と夫人が一礼すると、そのままシャーロン様を連れて部屋から出て行こうとしている。でも…
「ジャンヌ…僕は君を諦めないよ。絶対にね。必ず迎えに行くから、待っていてね」
何を思ったのか、虚ろな瞳で私を見つめると、そんな事を呟いたのだ。さすがに怖くて、グラディオンにしがみついた。何なの、あの人…
「シャーロン、お前は自分の置かれている状況が分からないのか?申し訳ございません、もう二度とシャーロンをジャンヌ嬢には近づかせませんから」
そう言うと、急いでシャーロン様を連れて出て行ったディノス侯爵たち。3人が部屋から出ていくと…
「何なんだ…シャーロンのあの目…ジャンヌ、大丈夫か?あれは一度、精神病院で治療を受けた方がいいのではないのか?」
ポツリと副騎士団長が呟いた。その場にいた他の隊長たちも、一斉に頷いている。確かにシャーロン様の目、ヤバかったわね。
「そうだな、一応裁判所にはシャーロンの精神状態の件も、記載しておくよ。副騎士団長を始め、各隊長、それから今回協力してくれた騎士団員の皆には本当に感謝している。俺が至らないばかりに、色々と迷惑をかけてすまなかった。俺はこの裁判が終わったら、騎士団を退団しようと思っている。本当ならグラディオンに騎士団長を任せたいところだが、生憎グラディオンはまだ16歳。それにこれからもっと、経験を積む必要があるだろう」
お父様が真っすぐ副騎士団長の方を向いた。
「ラファエル副騎士団長、俺はぜひ、副騎士団長に新しい騎士団長をやって欲しいと思っている。君は強さだけでなく、優しさや思いやり、さらに騎士団に対する愛情も人一倍強い。どうか俺の後を継いでもらえないだろうか?頼む」
お父様が副騎士団長の頭を下げたのだ。
「わ…私がですか?何度も話しておりますが、私は騎士団長の器ではありません。現に4年半前の事件を有耶無耶にしてしまいましたし。やはりグラディオンに…」
「副騎士団長、俺にはまだ騎士団長には荷が重すぎます。それに俺は、これからジャンヌとの婚約に加え、時期侯爵家の当主になるべく、色々と勉強をしないといけない事も多いのです。それに俺も、副騎士団長なら立派な騎士団長になってくれると信じています。どうか俺からも、お願いします」
グラディオンも副騎士団長に頭を下げた。さらに
「お前が騎士団長になりたくないと常々言っていたから、俺たちは何も言わなかったが、俺たちもお前が騎士団長にふさわしいと思っていたぞ。さすがに今のグラディオンに、騎士団長を押し付けるのは酷だろう。それに今まで散々騎士団長にはお世話になったんだ。伯爵の仕事を犠牲にして頑張ってくれた騎士団長はもちろん、陰で長年支えてきてくださったマリアーズ伯爵夫人の為にも、そろそろ騎士団長を騎士団から解放してやろう」
副騎士団長の方を叩き、そう伝えているのは第一部隊の隊長だ。副騎士団長とは同期で、大の仲良しと聞いている。
「俺も副騎士団長が騎士団長になるのがいいと思う」
「俺もだ」
他の隊長たちも次々と賛成の意を表明している。
「皆もそう言っているが、どうだろうか?」
お父様が再度副騎士団長に問いかけている。天井を見上げ、ゆっくり目を閉じた副騎士団長。そして…
「分かりました。それでは私が騎士団長を引き受けましょう。ただし、私はグラディオンが騎士団長になるまでの繋ぎです。ですから、グラディオンには副騎士団長になって頂きたい。それが、私が騎士団長になるための条件です」
「グラディオンが騎士団長か。いいんじゃないか。元々騎士団長に一番近い男だったんだ。俺は賛成だ」
「俺たちも賛成する」
「グラディオン、皆がそう言っているが、副騎士団長を引き受けてもらえるだろうか?」
お父様がグラディオンに問いかけている。今度はグラディオンが考える番だ。グラディオンはどんな答えを出すのかしら?もちろん私は、どんな答えでも受け入れるつもりだけれどね。
そんな目でグラディオンを見つめた。私と目があったグラディオンが、一瞬ほほ笑むと
「分かりました、副騎士団長の件、よろしくお願いします。ラファエル副騎士団長、ご指導の程、よろしくお願いします」
後日、正式に騎士団内で会議が行われ、正式にラファエル副騎士団長が新騎士団長に、そしてグラディオンが新副騎士団長に任命されたのだった。
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