61 / 100
第六十一話 魔族領への密使
しおりを挟む
『―――奴らの目的は、君たちだ』
そのレオンの衝撃的な言葉を最後に、水鏡の映像はぷつりと一方的に断ち切られた。おそらく魔族の兵士に見つかったのだろう。水面は再び静けさを取り戻したが、私たちの心は激しい嵐に見舞われていた。
「……レオン」
私は心配のあまり彼の名前を呟いた。捕らわれの身でありながら、彼は命の危険を冒してまで私たちに情報を伝えてくれたのだ。
「……あの馬鹿者が」
カイザーが吐き捨てるように言った。その声には怒りと、そしてどうしようもないほどの焦燥が滲んでいる。
「計算のうち、だと? 一歩間違えば殺されていたかもしれんのだぞ。無謀にもほどがある」
彼は珍しく感情を露わにしていた。それはレオンという唯一無二の戦力を失うことへの懸念と、そして芽生え始めた友情の相手を案じる気持ちの両方から来るものだろう。
教皇と魔王軍の残党。
そのありえないはずの禁断の同盟。
敵の計画は、私たちの想像を遥かに超える規模で、そして邪悪さで進行していたのだ。
「……カイザー様」
私は決意を込めた目で彼を見上げた。
「私たちも急がなければなりません」
「ああ、分かっている」
カイザーは険しい表情のまま、深く頷いた。
「今すぐにでも魔族領へ乗り込み、あの馬鹿を引きずり出してやりたいところだが……それをすれば全てが水泡に帰す。レオンの覚悟を無駄にすることになる」
そうだ。私たちはレオンを信じなければならない。彼が自らの命を懸けて作ってくれようとしている、魔族との対話の機会を。
「私たちは、私たちの為すべきことをする」
カイザーはそう言うと、書斎の窓から外にいる若い竜たちに念話で指示を飛ばし始めた。
「バルドス、聞こえるか。これより城の警戒レベルを最大に引き上げる。いかなる者も俺の許しなく、結界の内側へ入れるな。たとえそれが神の使いであったとしてもだ」
彼の厳かな声が響き渡る。
私たちの天空の城は、もはやただの安息地ではない。
世界の運命を左右する反撃の最前線基地となったのだ。
そして私の心は、この城から遠く離れた西の地で、一人戦っているであろう友人のことを想っていた。
彼の無謀で、そしてあまりにも勇敢な旅路を。
―――その数日前。
レオンは一人、人と魔族の領土を隔てる「嘆きの荒野」と呼ばれる緩衝地帯を歩いていた。
空は常にどんよりとした紫色の雲に覆われ、太陽の光が届かない。大地はひび割れ、そこからは瘴気を含んだ不気味な色の蒸気が噴き出している。
人間界の豊かな自然とは全く違う、死と呪いに満ちた土地。
普通の人間であれば、この空気を吸っただけで肺を焼かれ、正気を失うだろう。
だがレオンは、平然とその道を進んでいた。
聖剣に選ばれた勇者である彼の体には、神々の強力な加護がかかっている。この程度の瘴気は、彼にとって少し息苦しい程度の障害でしかなかった。
彼はカイザーたちと別れてから、一直線に西を目指した。
馬も使わず、ただひたすらに己の足だけで。
それは、これから自分が為そうとすることへの覚悟を固めるための儀式でもあった。
どれくらい歩いただろうか。
やがて彼の目の前に、巨大な黒い城壁が姿を現した。
魔族領の最前線基地。黒曜石を切り出したかのような、禍々しい砦だった。
城壁の上にはいくつもの篝火が焚かれ、その炎が異形の影を投げかけている。そして、そこには武装した魔族の兵士たちがずらりと並んでいた。
牛のような角を持つ屈強なミノタウロス。蛇の下半身を持つ妖艶なラミア。そして背中に蝙蝠のような翼を持つガーゴイル。
彼らは、いち早くレオンの接近に気づき、その手に持った歪な形状の武器を、一斉に彼に向けた。
城壁の上から、矢の雨が降り注ぐ。
一本一本が人間の使う矢よりも遥かに太く、そして邪悪な魔力が込められている。
だがレオンは避けない。
彼は、ただ静かにその場に立ち尽くす。
魔力の矢は彼の体に届く寸前で、見えない壁に弾かれたように霧散していく。勇者の聖なるオーラが、彼を守っているのだ。
「……何者だ、貴様!」
城壁の上からミノタウロスの隊長らしき男が、野太い声で怒鳴った。
レオンはゆっくりと顔を上げた。
そして、その空色の瞳で城壁の上の魔族たちを真っ直ぐに見据えた。
彼は名乗った。
そのたった一言で、魔族たちの空気を凍りつかせるその名を。
「―――勇者、レオン・ハルト」
勇者。
その言葉は魔族にとって、憎悪と恐怖の象徴。
つい数年前まで、自分たちの王を討ち滅ぼした宿敵の名前。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、城壁の上は怒号の嵐に包まれた。
「勇者だと!?」
「なぜ人間の英雄がこんな場所に!」
「殺せ! 奴を八つ裂きにしろ!」
城門がギギギ、と重い音を立てて開かれる。
中から数十体の魔族の兵士たちが、殺気だった雄叫びを上げながら雪崩を打って飛び出してきた。
彼らはレオンを完全に包囲する。
槍の穂先が、剣の切っ先が、寸分の隙間もなく彼に向けられる。
だがレオンは動じなかった。
彼はゆっくりと、その手に持っていた聖剣を鞘ごと地面に突き立てた。
そして両手を広げて見せる。
完全な無抵抗の意思表示。
「私は戦いに来たのではない」
彼の静かな声が、魔族たちの怒号を切り裂いた。
「私は対話をしに来た。お前たちの長である魔将軍ゼノヴィア殿に取り次ぎを願いたい」
「黙れ、人間!」
ミノタウロスの隊長が巨大な戦斧を、レオンの喉元に突きつける。
「お前たち人間が我らに何の用だ! 今更命乞いか!」
「違う」
レオンは首を振った。
「これはお前たち魔族にとっても無関係ではない話だ。我々には共通の敵がいる」
「共通の敵だと……?」
ミノタウロスが訝しげに眉をひそめる。
レオンがさらに言葉を続けようとした、その時だった。
彼らを包囲していた兵士たちの後ろから。
凛とした、そして氷のように冷たい女の声が響き渡った。
「―――そこまでだ」
そのたった一言。
それだけで、あれほど殺気立っていた魔族の兵士たちが、弾かれたように道を開けた。
兵士たちの壁の向こうから、一人の女がゆっくりと姿を現す。
銀色の長い髪が、月明かりのないこの荒野でさえ妖しい光を放っている。その肌は陶器のように白く、整いすぎた顔立ちはまるで氷の彫刻のようだった。
身に纏うのは黒を基調とした優雅な、しかしどこか戦闘的なドレス。
その腰には一本の細身のレイピアが下げられている。
彼女がそこに現れただけで。
その場の空気が絶対零度まで凍りついたかのような錯覚。
魔王軍最強。
そして魔族の中でも最も人間を憎んでいると言われる魔将。
氷の魔女、ゼノヴィア。
彼女は、その血のように赤い瞳でレオンを値踏みするようにじっと見据えた。
そして、その薄い唇に残酷なほど美しい笑みを浮かべた。
「……勇者が何の用かしら。私のコレクションになりにでも来たのかしらね」
彼女のその言葉が、レオンの過酷な交渉の始まりを告げていた。
そのレオンの衝撃的な言葉を最後に、水鏡の映像はぷつりと一方的に断ち切られた。おそらく魔族の兵士に見つかったのだろう。水面は再び静けさを取り戻したが、私たちの心は激しい嵐に見舞われていた。
「……レオン」
私は心配のあまり彼の名前を呟いた。捕らわれの身でありながら、彼は命の危険を冒してまで私たちに情報を伝えてくれたのだ。
「……あの馬鹿者が」
カイザーが吐き捨てるように言った。その声には怒りと、そしてどうしようもないほどの焦燥が滲んでいる。
「計算のうち、だと? 一歩間違えば殺されていたかもしれんのだぞ。無謀にもほどがある」
彼は珍しく感情を露わにしていた。それはレオンという唯一無二の戦力を失うことへの懸念と、そして芽生え始めた友情の相手を案じる気持ちの両方から来るものだろう。
教皇と魔王軍の残党。
そのありえないはずの禁断の同盟。
敵の計画は、私たちの想像を遥かに超える規模で、そして邪悪さで進行していたのだ。
「……カイザー様」
私は決意を込めた目で彼を見上げた。
「私たちも急がなければなりません」
「ああ、分かっている」
カイザーは険しい表情のまま、深く頷いた。
「今すぐにでも魔族領へ乗り込み、あの馬鹿を引きずり出してやりたいところだが……それをすれば全てが水泡に帰す。レオンの覚悟を無駄にすることになる」
そうだ。私たちはレオンを信じなければならない。彼が自らの命を懸けて作ってくれようとしている、魔族との対話の機会を。
「私たちは、私たちの為すべきことをする」
カイザーはそう言うと、書斎の窓から外にいる若い竜たちに念話で指示を飛ばし始めた。
「バルドス、聞こえるか。これより城の警戒レベルを最大に引き上げる。いかなる者も俺の許しなく、結界の内側へ入れるな。たとえそれが神の使いであったとしてもだ」
彼の厳かな声が響き渡る。
私たちの天空の城は、もはやただの安息地ではない。
世界の運命を左右する反撃の最前線基地となったのだ。
そして私の心は、この城から遠く離れた西の地で、一人戦っているであろう友人のことを想っていた。
彼の無謀で、そしてあまりにも勇敢な旅路を。
―――その数日前。
レオンは一人、人と魔族の領土を隔てる「嘆きの荒野」と呼ばれる緩衝地帯を歩いていた。
空は常にどんよりとした紫色の雲に覆われ、太陽の光が届かない。大地はひび割れ、そこからは瘴気を含んだ不気味な色の蒸気が噴き出している。
人間界の豊かな自然とは全く違う、死と呪いに満ちた土地。
普通の人間であれば、この空気を吸っただけで肺を焼かれ、正気を失うだろう。
だがレオンは、平然とその道を進んでいた。
聖剣に選ばれた勇者である彼の体には、神々の強力な加護がかかっている。この程度の瘴気は、彼にとって少し息苦しい程度の障害でしかなかった。
彼はカイザーたちと別れてから、一直線に西を目指した。
馬も使わず、ただひたすらに己の足だけで。
それは、これから自分が為そうとすることへの覚悟を固めるための儀式でもあった。
どれくらい歩いただろうか。
やがて彼の目の前に、巨大な黒い城壁が姿を現した。
魔族領の最前線基地。黒曜石を切り出したかのような、禍々しい砦だった。
城壁の上にはいくつもの篝火が焚かれ、その炎が異形の影を投げかけている。そして、そこには武装した魔族の兵士たちがずらりと並んでいた。
牛のような角を持つ屈強なミノタウロス。蛇の下半身を持つ妖艶なラミア。そして背中に蝙蝠のような翼を持つガーゴイル。
彼らは、いち早くレオンの接近に気づき、その手に持った歪な形状の武器を、一斉に彼に向けた。
城壁の上から、矢の雨が降り注ぐ。
一本一本が人間の使う矢よりも遥かに太く、そして邪悪な魔力が込められている。
だがレオンは避けない。
彼は、ただ静かにその場に立ち尽くす。
魔力の矢は彼の体に届く寸前で、見えない壁に弾かれたように霧散していく。勇者の聖なるオーラが、彼を守っているのだ。
「……何者だ、貴様!」
城壁の上からミノタウロスの隊長らしき男が、野太い声で怒鳴った。
レオンはゆっくりと顔を上げた。
そして、その空色の瞳で城壁の上の魔族たちを真っ直ぐに見据えた。
彼は名乗った。
そのたった一言で、魔族たちの空気を凍りつかせるその名を。
「―――勇者、レオン・ハルト」
勇者。
その言葉は魔族にとって、憎悪と恐怖の象徴。
つい数年前まで、自分たちの王を討ち滅ぼした宿敵の名前。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、城壁の上は怒号の嵐に包まれた。
「勇者だと!?」
「なぜ人間の英雄がこんな場所に!」
「殺せ! 奴を八つ裂きにしろ!」
城門がギギギ、と重い音を立てて開かれる。
中から数十体の魔族の兵士たちが、殺気だった雄叫びを上げながら雪崩を打って飛び出してきた。
彼らはレオンを完全に包囲する。
槍の穂先が、剣の切っ先が、寸分の隙間もなく彼に向けられる。
だがレオンは動じなかった。
彼はゆっくりと、その手に持っていた聖剣を鞘ごと地面に突き立てた。
そして両手を広げて見せる。
完全な無抵抗の意思表示。
「私は戦いに来たのではない」
彼の静かな声が、魔族たちの怒号を切り裂いた。
「私は対話をしに来た。お前たちの長である魔将軍ゼノヴィア殿に取り次ぎを願いたい」
「黙れ、人間!」
ミノタウロスの隊長が巨大な戦斧を、レオンの喉元に突きつける。
「お前たち人間が我らに何の用だ! 今更命乞いか!」
「違う」
レオンは首を振った。
「これはお前たち魔族にとっても無関係ではない話だ。我々には共通の敵がいる」
「共通の敵だと……?」
ミノタウロスが訝しげに眉をひそめる。
レオンがさらに言葉を続けようとした、その時だった。
彼らを包囲していた兵士たちの後ろから。
凛とした、そして氷のように冷たい女の声が響き渡った。
「―――そこまでだ」
そのたった一言。
それだけで、あれほど殺気立っていた魔族の兵士たちが、弾かれたように道を開けた。
兵士たちの壁の向こうから、一人の女がゆっくりと姿を現す。
銀色の長い髪が、月明かりのないこの荒野でさえ妖しい光を放っている。その肌は陶器のように白く、整いすぎた顔立ちはまるで氷の彫刻のようだった。
身に纏うのは黒を基調とした優雅な、しかしどこか戦闘的なドレス。
その腰には一本の細身のレイピアが下げられている。
彼女がそこに現れただけで。
その場の空気が絶対零度まで凍りついたかのような錯覚。
魔王軍最強。
そして魔族の中でも最も人間を憎んでいると言われる魔将。
氷の魔女、ゼノヴィア。
彼女は、その血のように赤い瞳でレオンを値踏みするようにじっと見据えた。
そして、その薄い唇に残酷なほど美しい笑みを浮かべた。
「……勇者が何の用かしら。私のコレクションになりにでも来たのかしらね」
彼女のその言葉が、レオンの過酷な交渉の始まりを告げていた。
7
あなたにおすすめの小説
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
【完結】無能聖女と呼ばれ婚約破棄された私ですが砂漠の国で溺愛されました
よどら文鳥
恋愛
エウレス皇国のラファエル皇太子から突然婚約破棄を告げられた。
どうやら魔道士のマーヤと婚約をしたいそうだ。
この国では王族も貴族も皆、私=リリアの聖女としての力を信用していない。
元々砂漠だったエウレス皇国全域に水の加護を与えて人が住める場所を作ってきたのだが、誰も信じてくれない。
だからこそ、私のことは不要だと思っているらしく、隣の砂漠の国カサラス王国へ追放される。
なんでも、カサラス王国のカルム王子が国の三分の一もの財宝と引き換えに迎え入れたいと打診があったそうだ。
国家の持つ財宝の三分の一も失えば国は確実に傾く。
カルム王子は何故そこまでして私を迎え入れようとしてくれているのだろうか。
カサラス王国へ行ってからは私の人生が劇的に変化していったのである。
だが、まだ砂漠の国で水など殆どない。
私は出会った人たちや国のためにも、なんとしてでもこの国に水の加護を与えていき住み良い国に変えていきたいと誓った。
ちなみに、国を去ったエウレス皇国には距離が離れているので、水の加護はもう反映されないけれど大丈夫なのだろうか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる