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第七十四話 出撃
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連合軍の鬨の声が天空城にこだまする。
それはこれから始まる聖戦の幕開けを告げる、力強いファンファーレだった。
カイザーは天に突き上げていたその右手をゆっくりと下ろした。
そして私の手を握ったまま言った。
「行くぞ、アリア」
「はい」
私は力強く頷いた。
カイザーの体が眩い光に包まれる。
再びあの神々しい黒竜の姿へと変わっていく。
漆黒の鱗が昇り始めた朝の太陽の光を浴びて、虹色に輝いていた。
彼はその巨大な前脚を私の前にそっと差し出す。
私はもう何のためらいもなく、その温かい鱗に足を乗せ、慣れた身のこなしで彼の広い背中へと登った。
そこは私の玉座。
この世界の誰よりも空に近い場所。
「レオン、ゼノヴィア!」
カイザーの竜としての重々しい声が、二人の盟友に響く。
「遅れるなよ!」
「言われるまでもない!」
レオンはそう言うと聖剣の力を解放したのか、その体を金色の光のオーラで包み込んだ。そして翼もないのにふわりと宙に浮き上がる。
「せいぜい私の足を引っ張らないでちょうだい、勇者様」
ゼノヴィアもその華奢な体に膨大な魔力を渦巻かせ、黒い霧のようなものをその足元に発生させて同じように宙へと舞い上がった。
そして私たちの背後で待機していた数十頭の竜たちも、一斉にその巨大な翼を広げる。
バサッ、バサッ、と空気を打つ重い羽ばたきの音が幾重にも重なり合う。
準備は整った。
カイザーは一度だけ大きく息を吸い込んだ。
そして天を切り裂くような雄大な咆哮を上げた。
それは出撃の号令。
グオオオオオオッ!
その咆哮を合図に、カイザーの巨体が弾丸のように空へと射出された。
私も彼の首筋の鱗にしっかりとしがみつく。
眼下の天空城がみるみるうちに小さくなっていく。
私たちの後ろからはレオンとゼノヴィア、そして数十頭の竜たちが美しいV字の編隊を組んで続いてくる。
私たちは一つの巨大な矢となって西の空、決戦の地リンドバーグ王国の王都を目指した。
風が顔を叩く。
けれど不思議と寒くはなかった。
仲間たちの熱い闘志が、そして何よりもカイザーの温かい愛情が私を守ってくれているから。
私は背中に背負った革の鞄から、カイザーがくれた白き水晶の杖を取り出した。
杖を握る。
体の中の聖なる力が呼応するように、杖の先端の水晶へと集まっていく。
水晶が太陽の光を反射して、眩いばかりの輝きを放ち始めた。
これが私の武器。
私の覚悟。
私はもう、ただ祈ることしかできない聖女ではない。
仲間たちと共に戦う一人の戦士なのだ。
私たちは雲を突き抜け、風を追い越し、どこまでも高く、そして速く飛翔していく。
眼下には見慣れた緑豊かな大地が広がっていた。
私の故郷。
今、あの場所は一人の狂信者によって偽りの平和に支配されている。
多くの人々が真実を知らぬまま偽りの聖女を崇め、そして私たちを敵だと信じ込まされている。
その鎖を断ち切るのだ。
私の声で。私の光で。
そして本当の平和をこの地に取り戻す。
どれくらいの時間が経っただろうか。
やがて私たちの視界の遥か前方に、見慣れた白い城壁が姿を現した。
リンドバーグ王国の王都。
その中心に聳え立つ大聖堂の尖塔が、朝日にきらりと輝いている。
決戦の地はもう目と鼻の先だ。
だが王都の上空は異様な雰囲気に包まれていた。
空にはおびただしい数の黒い影。
それは王国騎士団のワイバーン部隊。
そしてそのさらに上空には、教皇直属の聖騎士団が純白のペガサスに跨り、整然と陣形を組んでいた。
彼らは私たちの来襲を予期していたのだ。
そして万全の迎撃態勢を整えて待ち構えていた。
空は敵の軍勢で埋め尽くされている。
その数、千は下らないだろう。
対する我らは数十頭の竜と、たった三人の人間。
圧倒的に不利な戦力差。
だが、私たちの心に恐れはなかった。
「……来たか」
レオンが隣で呟く。
「派手なお出迎えね」
ゼノヴィアが不敵に笑う。
そしてカイザー。
彼は何も言わなかった。
ただその黄金の瞳に、絶対的な王者の闘志を燃え上がらせるだけだった。
私も杖を固く握りしめた。
さあ、始めよう。
この世界の運命を決める最後の戦いを。
私たちの連合軍は速度を一切緩めることなく、敵が待ち受けるその死地へと一直線に突入していった。
それはこれから始まる聖戦の幕開けを告げる、力強いファンファーレだった。
カイザーは天に突き上げていたその右手をゆっくりと下ろした。
そして私の手を握ったまま言った。
「行くぞ、アリア」
「はい」
私は力強く頷いた。
カイザーの体が眩い光に包まれる。
再びあの神々しい黒竜の姿へと変わっていく。
漆黒の鱗が昇り始めた朝の太陽の光を浴びて、虹色に輝いていた。
彼はその巨大な前脚を私の前にそっと差し出す。
私はもう何のためらいもなく、その温かい鱗に足を乗せ、慣れた身のこなしで彼の広い背中へと登った。
そこは私の玉座。
この世界の誰よりも空に近い場所。
「レオン、ゼノヴィア!」
カイザーの竜としての重々しい声が、二人の盟友に響く。
「遅れるなよ!」
「言われるまでもない!」
レオンはそう言うと聖剣の力を解放したのか、その体を金色の光のオーラで包み込んだ。そして翼もないのにふわりと宙に浮き上がる。
「せいぜい私の足を引っ張らないでちょうだい、勇者様」
ゼノヴィアもその華奢な体に膨大な魔力を渦巻かせ、黒い霧のようなものをその足元に発生させて同じように宙へと舞い上がった。
そして私たちの背後で待機していた数十頭の竜たちも、一斉にその巨大な翼を広げる。
バサッ、バサッ、と空気を打つ重い羽ばたきの音が幾重にも重なり合う。
準備は整った。
カイザーは一度だけ大きく息を吸い込んだ。
そして天を切り裂くような雄大な咆哮を上げた。
それは出撃の号令。
グオオオオオオッ!
その咆哮を合図に、カイザーの巨体が弾丸のように空へと射出された。
私も彼の首筋の鱗にしっかりとしがみつく。
眼下の天空城がみるみるうちに小さくなっていく。
私たちの後ろからはレオンとゼノヴィア、そして数十頭の竜たちが美しいV字の編隊を組んで続いてくる。
私たちは一つの巨大な矢となって西の空、決戦の地リンドバーグ王国の王都を目指した。
風が顔を叩く。
けれど不思議と寒くはなかった。
仲間たちの熱い闘志が、そして何よりもカイザーの温かい愛情が私を守ってくれているから。
私は背中に背負った革の鞄から、カイザーがくれた白き水晶の杖を取り出した。
杖を握る。
体の中の聖なる力が呼応するように、杖の先端の水晶へと集まっていく。
水晶が太陽の光を反射して、眩いばかりの輝きを放ち始めた。
これが私の武器。
私の覚悟。
私はもう、ただ祈ることしかできない聖女ではない。
仲間たちと共に戦う一人の戦士なのだ。
私たちは雲を突き抜け、風を追い越し、どこまでも高く、そして速く飛翔していく。
眼下には見慣れた緑豊かな大地が広がっていた。
私の故郷。
今、あの場所は一人の狂信者によって偽りの平和に支配されている。
多くの人々が真実を知らぬまま偽りの聖女を崇め、そして私たちを敵だと信じ込まされている。
その鎖を断ち切るのだ。
私の声で。私の光で。
そして本当の平和をこの地に取り戻す。
どれくらいの時間が経っただろうか。
やがて私たちの視界の遥か前方に、見慣れた白い城壁が姿を現した。
リンドバーグ王国の王都。
その中心に聳え立つ大聖堂の尖塔が、朝日にきらりと輝いている。
決戦の地はもう目と鼻の先だ。
だが王都の上空は異様な雰囲気に包まれていた。
空にはおびただしい数の黒い影。
それは王国騎士団のワイバーン部隊。
そしてそのさらに上空には、教皇直属の聖騎士団が純白のペガサスに跨り、整然と陣形を組んでいた。
彼らは私たちの来襲を予期していたのだ。
そして万全の迎撃態勢を整えて待ち構えていた。
空は敵の軍勢で埋め尽くされている。
その数、千は下らないだろう。
対する我らは数十頭の竜と、たった三人の人間。
圧倒的に不利な戦力差。
だが、私たちの心に恐れはなかった。
「……来たか」
レオンが隣で呟く。
「派手なお出迎えね」
ゼノヴィアが不敵に笑う。
そしてカイザー。
彼は何も言わなかった。
ただその黄金の瞳に、絶対的な王者の闘志を燃え上がらせるだけだった。
私も杖を固く握りしめた。
さあ、始めよう。
この世界の運命を決める最後の戦いを。
私たちの連合軍は速度を一切緩めることなく、敵が待ち受けるその死地へと一直線に突入していった。
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