14 / 100
第14話:公爵様の日課
しおりを挟む
あの日、アシュレイ様に「専属の癒やし手」に任命された翌日から、私たちの新しい日課が始まった。
それは『癒やしの時間』と名付けられた。
毎日一度、午後のお茶の時間が終わった後の、陽が少し西に傾き始める頃。私はアシュレイ様の私室の隣にある、ガラス張りのサンルームへと向かう。そこは柔らかな陽光が満ち、たくさんの緑の観葉植物が置かれた、屋敷の中でも一番温かく心地よい場所だった。
「リナリア。待っていたよ」
私がサンルームに入ると、アシュレイ様はいつもそこに置かれた大きなソファに座って、私を穏やかな笑みで迎えてくれる。彼の隣には、いつも私のためにお気に入りのハーブティーが用意されていた。
「こんにちは、アシュレイ様。本日もよろしくお願いいたします」
私は緊張を隠しながら挨拶をし、彼の向かいにあるソファにそっと腰を下ろす。最初のうちは、心臓が口から飛び出しそうなくらいに緊張していた。けれど、数日経つうちに、この穏やかな時間に少しずつ慣れてきていた。
「こちらこそ、よろしく頼む」
彼はそう言うと、ごく自然な仕草で、ソファの間のテーブル越しに手を差し出した。
私は差し出された彼の手を、両手でそっと包み込む。初めて触れた時のような無機質な冷たさは、もう感じなかった。けれど、まだほんのりと、常人よりは低い体温が私の手のひらに伝わってくる。
私は目を閉じ、意識を集中させた。
スキル【修復】。
私の内に宿る力が、ゆっくりと目覚める。淡い光となって、繋いだ手を通じてアシュレイ様の身体へと流れ込んでいく。
彼の内側に巣食う、黒く冷たい呪いの靄。私の力は、その靄に触れ、少しずつ、本当に薄紙を一枚一枚剥がしていくように、浄化を始める。それはとても地道で、根気のいる作業だった。でも、無力ではない。確かな手応えがあった。
スキルを発動している間、私は彼の表情をそっと窺う。
いつもそうだ。私の力が流れ込み始めると、彼の顔からすっと険が抜けていく。普段、彼が無意識のうちに纏っている『氷の公爵』としての厳しい仮面が、ゆっくりと溶けていくのだ。
眉間の皺が和らぎ、固く結ばれていた唇が自然な形に戻る。そして、紫水晶の瞳が、どこか夢見るような、穏やかな光を宿す。
その表情を見るたびに、私の胸はきゅっと締め付けられた。
これが、彼の本当の姿なのだろうか。
呪いに蝕まれる前の、本来の彼が。
そう思うと、たまらなく愛おしい気持ちが込み上げてくるのを止められなかった。
しばらくの間、サンルームには沈黙が流れる。聞こえるのは、観葉植物の葉が風にそよぐ音と、私たちの穏やかな呼吸の音だけ。
この時間が、私は好きだった。
「……君の手は、温かいな」
不意に、アシュレイ様が囁くように言った。彼はうっすらと目を開け、繋がれた私たちの手を見つめている。
「君の温もりが、私の芯まで染み渡ってくるようだ。呪いの痛みだけでなく、長年忘れていた安らぎというものを、思い出させてくれる」
「……アシュレイ様」
「君が来てくれるまで、私は眠ることもままならなかった。呪いの発作は、夜に強くなる傾向があってね。激痛で目が覚めることも一度や二度ではなかった」
彼は淡々と、しかしどこか遠い目をして語る。
「だが、ここ数日は違う。君が癒やしてくれるおかげで、夜も深く眠れるようになった。こんなにも穏やかな朝を迎えられたのは、本当に久しぶりのことなのだ」
その言葉の一つ一つが、私の心に温かい雫のように落ちていく。
私が、この人の役に立てている。
私が、この人を安らげることができている。
その実感が、私の心を何よりも強く、満たしてくれた。
「私の方こそ、ありがとうございます」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。
「私に、こんなにも大切な役割を与えてくださって。毎日が……とても、充実しています」
実家では、朝が来るのが憂鬱だった。一日が始まることが、ただ苦痛だった。
けれど、今は違う。朝、目が覚めると、この『癒やしの時間』のことを考えて、胸が温かくなるのだ。
私の言葉を聞いて、アシュレイ様は嬉しそうに目を細めた。
「そうか。君も、そう思ってくれているのか」
「はい」
私がはっきりと頷くと、彼は繋いでいない方の手で、私の頭を優しく撫でた。大きな手のひらが、私の髪をくしゃりと掻き混ぜる。子供扱いされているようで少し恥ずかしかったが、それ以上に、彼の不器用な優しさが嬉しかった。
「何か、望むものはあるか。些細なことでもいい。君の望みは、出来る限り叶えてやりたい」
彼はいつもそう尋ねてくれる。けれど、私にはもう、これ以上望むものなど何もなかった。
「……では、一つだけ」
「何だ?」
「今度、アシュレイ様のお好きな本のお話を聞かせてください。公爵邸の図書室は広すぎて、私一人ではどれから読んでいいか分からなくて」
私がそう言うと、彼は少し驚いたように目を見開いた後、心底楽しそうに笑った。
「ああ、もちろんだ。喜んで。……君は、本当に欲がないな」
そう言って笑う彼の顔は、年相応の青年のように無邪気で、私はまたどきりとしてしまった。
私たちの『癒やしの時間』は、こうしてただ呪いを癒やすだけの時間ではなくなっていった。お互いのことを少しずつ語り合い、知り合っていく、かけがえのない時間へと変わっていったのだ。
この特別な日課が始まってから、屋敷の中の空気も少しずつ変化していることに、私は気づいていた。
最初、私に向けられていた使用人たちの戸惑いや訝しむような視線は、次第に和らいでいった。彼らは、主君であるアシュレイ様の表情が、以前よりも格段に穏やかになったことを見て取っているのだろう。
特に、メイド長のマーサの変化は顕著だった。
彼女は今も、私たちの『癒やしの時間』を、サンルームの入り口から静かに見守っている。けれど、その目にあった鋭い警戒心は、いつの間にか消えていた。代わりにそこにあるのは、主君の安らかな姿を見つめる、安堵と、そして私に対する信頼のような温かい光だった。
この公爵邸は、ゆっくりと、しかし確実に、私の新しい居場所になりつつあった。
アシュレイ様の呪いを癒やす。
その確かな目的が、長年自信を失っていた私の心を、少しずつ、力強く支え始めていた。
彼に触れるたびに、私の心にも温かい光が灯っていく。
この日課が、私自身の凍てついた心をも『修復』してくれているのだと気づくのは、もう少しだけ先のことだった。
それは『癒やしの時間』と名付けられた。
毎日一度、午後のお茶の時間が終わった後の、陽が少し西に傾き始める頃。私はアシュレイ様の私室の隣にある、ガラス張りのサンルームへと向かう。そこは柔らかな陽光が満ち、たくさんの緑の観葉植物が置かれた、屋敷の中でも一番温かく心地よい場所だった。
「リナリア。待っていたよ」
私がサンルームに入ると、アシュレイ様はいつもそこに置かれた大きなソファに座って、私を穏やかな笑みで迎えてくれる。彼の隣には、いつも私のためにお気に入りのハーブティーが用意されていた。
「こんにちは、アシュレイ様。本日もよろしくお願いいたします」
私は緊張を隠しながら挨拶をし、彼の向かいにあるソファにそっと腰を下ろす。最初のうちは、心臓が口から飛び出しそうなくらいに緊張していた。けれど、数日経つうちに、この穏やかな時間に少しずつ慣れてきていた。
「こちらこそ、よろしく頼む」
彼はそう言うと、ごく自然な仕草で、ソファの間のテーブル越しに手を差し出した。
私は差し出された彼の手を、両手でそっと包み込む。初めて触れた時のような無機質な冷たさは、もう感じなかった。けれど、まだほんのりと、常人よりは低い体温が私の手のひらに伝わってくる。
私は目を閉じ、意識を集中させた。
スキル【修復】。
私の内に宿る力が、ゆっくりと目覚める。淡い光となって、繋いだ手を通じてアシュレイ様の身体へと流れ込んでいく。
彼の内側に巣食う、黒く冷たい呪いの靄。私の力は、その靄に触れ、少しずつ、本当に薄紙を一枚一枚剥がしていくように、浄化を始める。それはとても地道で、根気のいる作業だった。でも、無力ではない。確かな手応えがあった。
スキルを発動している間、私は彼の表情をそっと窺う。
いつもそうだ。私の力が流れ込み始めると、彼の顔からすっと険が抜けていく。普段、彼が無意識のうちに纏っている『氷の公爵』としての厳しい仮面が、ゆっくりと溶けていくのだ。
眉間の皺が和らぎ、固く結ばれていた唇が自然な形に戻る。そして、紫水晶の瞳が、どこか夢見るような、穏やかな光を宿す。
その表情を見るたびに、私の胸はきゅっと締め付けられた。
これが、彼の本当の姿なのだろうか。
呪いに蝕まれる前の、本来の彼が。
そう思うと、たまらなく愛おしい気持ちが込み上げてくるのを止められなかった。
しばらくの間、サンルームには沈黙が流れる。聞こえるのは、観葉植物の葉が風にそよぐ音と、私たちの穏やかな呼吸の音だけ。
この時間が、私は好きだった。
「……君の手は、温かいな」
不意に、アシュレイ様が囁くように言った。彼はうっすらと目を開け、繋がれた私たちの手を見つめている。
「君の温もりが、私の芯まで染み渡ってくるようだ。呪いの痛みだけでなく、長年忘れていた安らぎというものを、思い出させてくれる」
「……アシュレイ様」
「君が来てくれるまで、私は眠ることもままならなかった。呪いの発作は、夜に強くなる傾向があってね。激痛で目が覚めることも一度や二度ではなかった」
彼は淡々と、しかしどこか遠い目をして語る。
「だが、ここ数日は違う。君が癒やしてくれるおかげで、夜も深く眠れるようになった。こんなにも穏やかな朝を迎えられたのは、本当に久しぶりのことなのだ」
その言葉の一つ一つが、私の心に温かい雫のように落ちていく。
私が、この人の役に立てている。
私が、この人を安らげることができている。
その実感が、私の心を何よりも強く、満たしてくれた。
「私の方こそ、ありがとうございます」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。
「私に、こんなにも大切な役割を与えてくださって。毎日が……とても、充実しています」
実家では、朝が来るのが憂鬱だった。一日が始まることが、ただ苦痛だった。
けれど、今は違う。朝、目が覚めると、この『癒やしの時間』のことを考えて、胸が温かくなるのだ。
私の言葉を聞いて、アシュレイ様は嬉しそうに目を細めた。
「そうか。君も、そう思ってくれているのか」
「はい」
私がはっきりと頷くと、彼は繋いでいない方の手で、私の頭を優しく撫でた。大きな手のひらが、私の髪をくしゃりと掻き混ぜる。子供扱いされているようで少し恥ずかしかったが、それ以上に、彼の不器用な優しさが嬉しかった。
「何か、望むものはあるか。些細なことでもいい。君の望みは、出来る限り叶えてやりたい」
彼はいつもそう尋ねてくれる。けれど、私にはもう、これ以上望むものなど何もなかった。
「……では、一つだけ」
「何だ?」
「今度、アシュレイ様のお好きな本のお話を聞かせてください。公爵邸の図書室は広すぎて、私一人ではどれから読んでいいか分からなくて」
私がそう言うと、彼は少し驚いたように目を見開いた後、心底楽しそうに笑った。
「ああ、もちろんだ。喜んで。……君は、本当に欲がないな」
そう言って笑う彼の顔は、年相応の青年のように無邪気で、私はまたどきりとしてしまった。
私たちの『癒やしの時間』は、こうしてただ呪いを癒やすだけの時間ではなくなっていった。お互いのことを少しずつ語り合い、知り合っていく、かけがえのない時間へと変わっていったのだ。
この特別な日課が始まってから、屋敷の中の空気も少しずつ変化していることに、私は気づいていた。
最初、私に向けられていた使用人たちの戸惑いや訝しむような視線は、次第に和らいでいった。彼らは、主君であるアシュレイ様の表情が、以前よりも格段に穏やかになったことを見て取っているのだろう。
特に、メイド長のマーサの変化は顕著だった。
彼女は今も、私たちの『癒やしの時間』を、サンルームの入り口から静かに見守っている。けれど、その目にあった鋭い警戒心は、いつの間にか消えていた。代わりにそこにあるのは、主君の安らかな姿を見つめる、安堵と、そして私に対する信頼のような温かい光だった。
この公爵邸は、ゆっくりと、しかし確実に、私の新しい居場所になりつつあった。
アシュレイ様の呪いを癒やす。
その確かな目的が、長年自信を失っていた私の心を、少しずつ、力強く支え始めていた。
彼に触れるたびに、私の心にも温かい光が灯っていく。
この日課が、私自身の凍てついた心をも『修復』してくれているのだと気づくのは、もう少しだけ先のことだった。
79
あなたにおすすめの小説
地味令嬢の私ですが、王太子に見初められたので、元婚約者様からの復縁はお断りします
有賀冬馬
恋愛
子爵令嬢の私は、いつだって日陰者。
唯一の光だった公爵子息ヴィルヘルム様の婚約者という立場も、あっけなく捨てられた。「君のようなつまらない娘は、公爵家の妻にふさわしくない」と。
もう二度と恋なんてしない。
そう思っていた私の前に現れたのは、傷を負った一人の青年。
彼を献身的に看病したことから、私の運命は大きく動き出す。
彼は、この国の王太子だったのだ。
「君の優しさに心を奪われた。君を私だけのものにしたい」と、彼は私を強く守ると誓ってくれた。
一方、私を捨てた元婚約者は、新しい婚約者に振り回され、全てを失う。
私に助けを求めてきた彼に、私は……
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
冷遇された公爵令嬢は、敵国最恐の「氷の軍神」に契約で嫁ぎました。偽りの結婚のはずが、なぜか彼に溺愛され、実家が没落するまで寵愛されています
メルファン
恋愛
侯爵令嬢エリアーナは、幼い頃から妹の才能を引き立てるための『地味な引き立て役』として冷遇されてきました。その冷遇は、妹が「光の魔力」を開花させたことでさらに加速し、ついに長年の婚約者である王太子からも、一方的な婚約破棄を告げられます。
「お前のような華のない女は、王妃にふさわしくない」
失意のエリアーナに与えられた次の役割は、敵国アースガルドとの『政略結婚の駒』。嫁ぎ先は、わずか五年で辺境の魔物を制圧した、冷酷非情な英雄「氷の軍神」こと、カイン・フォン・ヴィンター公爵でした。
カイン公爵は、王家を軽蔑し、感情を持たない冷徹な仮面を被った、恐ろしい男だと噂されています。エリアーナは、これは五年間の「偽りの契約結婚」であり、役目を終えれば解放されると、諦めにも似た覚悟を決めていました。
しかし、嫁いだ敵国で待っていたのは、想像とは全く違う生活でした。
「華がない」と蔑まれたエリアーナに、公爵はアースガルドの最高の仕立て屋を呼び、豪華なドレスと宝石を惜しみなく贈呈。
「不要な引き立て役」だったエリアーナを、公爵は公の場で「我が愛する妻」と呼び、侮辱する者を許しません。
冷酷非情だと噂された公爵は、夜、エリアーナを優しく抱きしめ、彼女が眠るまで離れない、極度の愛妻家へと変貌します。
実はカイン公爵は、エリアーナが幼い頃に偶然助けた命の恩人であり、長年、彼女を密かに想い続けていたのです。彼は、エリアーナを冷遇した実家への復讐の炎を胸に秘め、彼女を愛と寵愛で包み込みます。
一方、エリアーナを価値がないと捨てた実家や王太子は、彼女が敵国で女王のような寵愛を受けていることを知り、慌てて連れ戻そうと画策しますが、時すでに遅し。
「我が妻に手を出す者は、国一つ滅ぼす覚悟を持て」
これは、冷遇された花嫁が、敵国の最恐公爵に深く愛され、真の価値を取り戻し、実家と王都に「ざまぁ」を食らわせる、王道溺愛ファンタジーです。
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
あなたが「いらない」と言った私ですが、溺愛される妻になりました
有賀冬馬
恋愛
「君みたいな女は、俺の隣にいる価値がない!」冷酷な元婚約者に突き放され、すべてを失った私。
けれど、旅の途中で出会った辺境伯エリオット様は、私の凍った心をゆっくりと溶かしてくれた。
彼の領地で、私は初めて「必要とされる」喜びを知り、やがて彼の妻として迎えられる。
一方、王都では元婚約者の不実が暴かれ、彼の破滅への道が始まる。
かつて私を軽んじた彼が、今、私に助けを求めてくるけれど、もう私の目に映るのはあなたじゃない。
冷徹侯爵の契約妻ですが、ざまぁの準備はできています
鍛高譚
恋愛
政略結婚――それは逃れられぬ宿命。
伯爵令嬢ルシアーナは、冷徹と名高いクロウフォード侯爵ヴィクトルのもとへ“白い結婚”として嫁ぐことになる。
愛のない契約、形式だけの夫婦生活。
それで十分だと、彼女は思っていた。
しかし、侯爵家には裏社会〈黒狼〉との因縁という深い闇が潜んでいた。
襲撃、脅迫、謀略――次々と迫る危機の中で、
ルシアーナは自分がただの“飾り”で終わることを拒む。
「この結婚をわたしの“負け”で終わらせませんわ」
財務の才と冷静な洞察を武器に、彼女は黒狼との攻防に踏み込み、
やがて侯爵をも驚かせる一手を放つ。
契約から始まった関係は、いつしか互いの未来を揺るがすものへ――。
白い結婚の裏で繰り広げられる、
“ざまぁ”と逆転のラブストーリー、いま開幕。
【完結】聖女を愛する婚約者に婚約破棄を突きつけられましたが、愛する人と幸せになります!
ユウ
恋愛
「君には失望した!聖女を虐げるとは!」
侯爵令嬢のオンディーヌは宮廷楽団に所属する歌姫だった。
しかしある日聖女を虐げたという瞬間が流れてしまい、断罪されてしまう。
全ては仕組まれた冤罪だった。
聖女を愛する婚約者や私を邪魔だと思う者達の。
幼い頃からの幼馴染も、友人も目の敵で睨みつけ私は公衆の面前で婚約破棄を突きつけられ家からも勘当されてしまったオンディーヌだったが…
「やっと自由になれたぞ!」
実に前向きなオンディーヌは転生者で何時か追い出された時の為に準備をしていたのだ。
貴族の生活に憔悴してので追放万々歳と思う最中、老婆の森に身を寄せることになるのだった。
一方王都では王女の逆鱗に触れ冤罪だった事が明らかになる。
すぐに連れ戻すように命を受けるも、既に王都にはおらず偽りの断罪をした者達はさらなる報いを受けることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる