ゴブリンだって進化したい!~最弱モンスターに転生したけど、スキル【弱肉強食】で食って食って食いまくったら、気づけば魔王さえ喰らう神になってた

夏見ナイ

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第33話 ガロッシュ砦攻略計画

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手に入れたガロッシュ砦の内部情報は、まさに俺が渇望していたものだった。それは、闇夜に浮かぶ巨大な要塞の、急所を指し示す詳細な設計図に他ならなかった。

俺は再び、幹部たちとリリアを広場に集めた。ボルグから引き出した情報を共有し、最終攻略作戦の会議を開く。

「敵の戦力は、ガロンの部隊を叩いたことで、およそ半分にまで減少している。だが、それでも五十を超える兵が砦には残っている。正面から攻めれば、例え勝てたとしても、我々の被害も甚大だ」

俺は、ボルグの情報に基づいて描き直した、より詳細な砦の立体図を地面に広げた。

「したがって、我々の作戦目標はただ一つ。戦士長ガロンの首、ただそれだけだ。彼さえ無力化すれば、残りのオークたちは戦意を喪失し、我々に降る可能性が高い」

幹部たちが、固唾を飲んで俺の次の言葉を待つ。

「作戦決行は、三日後の夜。月が最も欠ける、新月の夜だ」
俺は、そう切り出した。
「我々は、二つの部隊に分かれる。陽動部隊と、俺が率いる本隊だ」

「陽動部隊の任務は、砦の正門を攻撃すること。だが、本気で攻め落とす必要はない。派手に音を立て、オークたちの注意を可能な限り正門に引きつける。それがお前たちの最大の仕事だ」

俺は、狩り部隊の中から、特に体格が良く、声の大きいゴブリンたち十五名を陽動部隊として選抜した。リーダーには、あの戦斧を使いこなすようになった、狩り部隊のリーダーを任命した。

「ハッ! お任せを!」
彼は、自信に満ちた顔で応えた。

「そして、本隊の任務は、砦への潜入と、ガロンの暗殺だ」

俺は、残りの精鋭部隊――俺自身と、身のこなしが軽いゴブリンたち、合わせて十名――を本隊とした。

「問題は、どうやって砦に潜入するか、だ」

正門は陽動部隊が引きつけてくれる。だが、高い城壁と、見張り塔の存在が厄介だった。

「ボルグの情報によれば、砦の西側、食料庫のある崖沿いは、警備が手薄だという。我々は、そこから侵入する」
「しかし、ボス。崖は高く、切り立っていると聞いています。どうやって登るのですか?」
斥候部隊のリーダーが、もっともな疑問を口にした。

俺は、不敵に笑った。
「登るのではない。溶かすのだ」

俺は、自分のスキルを指差した。
「俺の【溶解液】を、一点に集中して使い続ければ、たとえ岩壁であっても穴を開けることは可能だ。時間はかかる。だが、陽動部隊が時間を稼いでくれれば、十分に間に合うはずだ」

壁に穴を開け、そこから内部に侵入する。それは、オークたちの常識の完全に外にある、奇策だった。

「潜入に成功したら、我々はそのまま砦の最奥、戦士長の間を目指す。途中の見張りは、可能な限り音もなく始末する。ボルグから聞いた合言葉『血ニハ血ヲ』が役に立つかもしれん」
「そして、ガロンとの決戦だ。奴の部屋は、おそらく狭い空間だろう。そうなれば、奴のあの大剣は、逆に動きを阻害する枷となる。森の中とは違う。我々に勝機は十分にある」

俺の作戦を聞き、幹部たちの目に再び闘志の火が宿った。それは、緻密な計画に裏打ちされた、確かな勝利への確信だった。

「リリア」俺は、静かに話を聞いていた彼女に声をかけた。「お前には、今回も留守を頼みたい。そして、もしもの時のために、準備しておいてほしいものがある」
「はい。何でしょうか?」
「冒険者から奪った、転移の巻物だ。俺が合図を送ったら、いつでも洞窟からこの砦の近くまで、ポーションや増援を送れるようにしておいてくれ。この巻物が、我々の最後の保険だ」

俺は、最悪の事態――作戦が失敗し、俺たちが砦で孤立した場合の、脱出プランまで考えていた。リリアは俺の意図を察し、こくりと力強く頷いた。

「ルゥは、どうしますか?」
「彼も、洞窟に残しておけ。まだ戦場に出すには早すぎる」

作戦の全容は、固まった。
陽動による注意の引きつけ。壁の破壊による奇襲潜入。そして、指導者の直接暗殺。
それは、力で劣る者が、知恵で強者を打ち破るための、セオリー通りの、そして最も効果的な攻略法だった。

会議が終わり、ゴブリンたちはそれぞれの準備に取り掛かった。陽動部隊は、より大きな音を立てるための工夫を凝らし、本隊は、隠密行動のための装備を整える。

俺は、一人静かに長剣の手入れをしていた。
ガロン。
あの誇り高きオークの戦士長。
彼との再戦が、近い。

今度は、森の中でのゲリラ戦ではない。敵の本拠地での、一対一の決闘だ。
俺は、自分の力がどこまで彼に通じるのか、試したくてたまらなかった。

三日後、新月の夜。
漆黒の闇が、ガロッシュ砦を包み込む。
俺たちの、最後の戦いが始まろうとしていた。
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