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第96回『真相 お揃い 抽選』
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ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第96回『真相 お揃い 抽選』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間16分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=q_xi9c_SaUI
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「抽選の結果は賞品の発送をもって代えさせていただきますって本当かなあ。」
妻がテレビを見ながら言った。
振り返ってみると画面の下段には細かな文字が表示されてあったのがわずかな時間だけ確認できたので、懸賞やアンケートの企画が行われていたのだろう。
「そりゃあそうでしょ。ときどき不正が発覚したなんていうのニュースで見るじゃん。」
僕はキーボードをたたく作業を止めて、コーヒーを飲んだ。
「でもそれは発覚したものだけでしょ? しかもときどきということは発覚してないものもたくさんあるんじゃない?」
「逆に高い確率で発覚している可能性もあるでしょ。そもそも不正自体もそうないんじゃない?」
「真相は闇の中ということか……。」
妻は顎に右手を寄せて探偵のようにふるまった。
懸賞の不正を追うなんてずいぶん小さい探偵だなと思った。
「実際に応募してみて当選すれば、不正ではないとわかるのだが……。そもそも届かなかった場合、その理由が不正だからなのか単に当選しなかったからなのかもわからない……。でも当選者を大々的に発表しない点も怪しいし……。」
妻の探偵ごっこはまだ続いていた。
どうやらこの探偵は内部の人間に接触して調査する気はないようである。
この探偵は仮に真相を確かめるために応募し当選した場合でも、賞品が届いたときにはすでに目的を忘れていそうだ。
僕もコーヒーを飲みながら妻の一人芝居を見て、わずかな時間ながら十分に休息ができて満足だった。
妻の視線がテレビに戻ると、僕はパソコンをクリックしてスケジュール表を出して日付を改めて確認した。
3日後、僕は妻の横のソファに座った。
これは二人でテレビを見るときのいつもの配置なので、妻はまったく気にしていなかった。
だから僕が手を後ろに回して、背中に隠しているものにもまったく気付いてない様子だった。
「ねえ、この前懸賞が本当に届くのかって話をしたの覚えてる?」
「あー、そんな話もしたっけ。」
ほら、もう結構忘れてる。
だが妻はテレビから目を離さないで返事だけをしたので、テレビの方が気になっているのかもしれない。
「当選者を発表しない理由ってさ、ひょっとしたら急に景品が届いたら嬉しいという理由だからかもよ?」
妻は何も言わずにこっちを見た。
せっかくこっちを見てくれたのなら今のうちにと思い、僕は後ろに隠していたものを差し出した。
「はいこれ。今日は5月13日だから僕たちが付き合い始めた日。」
ずっと秘密にしてきた僕のサプライズプレゼントは成功したようで、妻の顔には言葉にならない驚きと喜びが混ざっているのが分かった。
妻はありがとうと言って、さっそく箱を開けた。
色ガラスがらせんを描いて細く伸びたガラスコップで、赤と青という色の違いのあるお揃いだった。
「どうしよう。付き合い始めた記念日なのに私なにも用意してない。」
妻はコップをまじまじと見ながら困惑していた。
「いいって。二人分のコップなんだし。」
その言葉で妻は納得したのかわからないが、そのまま妻はコップを手に取り光に透かしてガラス細工の美しさに見とれていた。
家の食器類はいつも妻が主導して買っているので気に入ってもらえるか不安だったが、妻の反応を見て僕はほっとした。
妻はコップに目をやったまま聞いてきた。
「ねえ、他には?」
「他って、買ってきたのはコップだけだよ。」
すると妻は私を見た。
「違うの。今日は付き合った記念日でしょ。プレゼントを贈ってくれたんでしょ。だったら一緒に言う言葉もあるんじゃない。」
妻はにこにこ顔だった。
いや、その笑顔には少しいたずらっぽさも含まれていた。
僕が困っていると、妻がほらほらと言いながら、口パクをしてきた。
その言葉は5文字、口の動きから察するに母音はa、i、i、e、u。
今さら妻に愛してるなんて言うのはとても恥ずかしかったが、妻は一向にやめてこなかった。
もしこの場を切り抜けようとして妻に水を向ければ真正面から愛してると言われるのは火を見るより明らかで、それも恥ずかしいので避けたかった。
かと言って何も言わずに立ち去るわけにもいかない。
妻はとうとう僕を人差し指でつついてきた。
もう逃れられない。
「あ」
「あ?」
「あなたが言ってほしい言葉は記念日のサプライズプレゼントをもって代えさせていただきます。」
時間が止まった。
盛大に滑ったのか、それとも妻は納得してくれなかったのだろうか。
妻はうーんと言いながら立ち上がった。
「うん、不正はないね。ちゃんと届いたよ。」
妻は幸せそうにほほえんでいた。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえず抽選の真相についての話を導入として、もう一つのお題が使えるように、愛情の真相について語るカップルの話にしました。
当初は代えさせていただきますという夫のセリフで終わらせるつもりでしたが、もの足りないような気がして、妻の反応も抽選に絡めて付けたしました。
でも蛇足なような気もしてます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第96回『真相 お揃い 抽選』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間16分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=q_xi9c_SaUI
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「抽選の結果は賞品の発送をもって代えさせていただきますって本当かなあ。」
妻がテレビを見ながら言った。
振り返ってみると画面の下段には細かな文字が表示されてあったのがわずかな時間だけ確認できたので、懸賞やアンケートの企画が行われていたのだろう。
「そりゃあそうでしょ。ときどき不正が発覚したなんていうのニュースで見るじゃん。」
僕はキーボードをたたく作業を止めて、コーヒーを飲んだ。
「でもそれは発覚したものだけでしょ? しかもときどきということは発覚してないものもたくさんあるんじゃない?」
「逆に高い確率で発覚している可能性もあるでしょ。そもそも不正自体もそうないんじゃない?」
「真相は闇の中ということか……。」
妻は顎に右手を寄せて探偵のようにふるまった。
懸賞の不正を追うなんてずいぶん小さい探偵だなと思った。
「実際に応募してみて当選すれば、不正ではないとわかるのだが……。そもそも届かなかった場合、その理由が不正だからなのか単に当選しなかったからなのかもわからない……。でも当選者を大々的に発表しない点も怪しいし……。」
妻の探偵ごっこはまだ続いていた。
どうやらこの探偵は内部の人間に接触して調査する気はないようである。
この探偵は仮に真相を確かめるために応募し当選した場合でも、賞品が届いたときにはすでに目的を忘れていそうだ。
僕もコーヒーを飲みながら妻の一人芝居を見て、わずかな時間ながら十分に休息ができて満足だった。
妻の視線がテレビに戻ると、僕はパソコンをクリックしてスケジュール表を出して日付を改めて確認した。
3日後、僕は妻の横のソファに座った。
これは二人でテレビを見るときのいつもの配置なので、妻はまったく気にしていなかった。
だから僕が手を後ろに回して、背中に隠しているものにもまったく気付いてない様子だった。
「ねえ、この前懸賞が本当に届くのかって話をしたの覚えてる?」
「あー、そんな話もしたっけ。」
ほら、もう結構忘れてる。
だが妻はテレビから目を離さないで返事だけをしたので、テレビの方が気になっているのかもしれない。
「当選者を発表しない理由ってさ、ひょっとしたら急に景品が届いたら嬉しいという理由だからかもよ?」
妻は何も言わずにこっちを見た。
せっかくこっちを見てくれたのなら今のうちにと思い、僕は後ろに隠していたものを差し出した。
「はいこれ。今日は5月13日だから僕たちが付き合い始めた日。」
ずっと秘密にしてきた僕のサプライズプレゼントは成功したようで、妻の顔には言葉にならない驚きと喜びが混ざっているのが分かった。
妻はありがとうと言って、さっそく箱を開けた。
色ガラスがらせんを描いて細く伸びたガラスコップで、赤と青という色の違いのあるお揃いだった。
「どうしよう。付き合い始めた記念日なのに私なにも用意してない。」
妻はコップをまじまじと見ながら困惑していた。
「いいって。二人分のコップなんだし。」
その言葉で妻は納得したのかわからないが、そのまま妻はコップを手に取り光に透かしてガラス細工の美しさに見とれていた。
家の食器類はいつも妻が主導して買っているので気に入ってもらえるか不安だったが、妻の反応を見て僕はほっとした。
妻はコップに目をやったまま聞いてきた。
「ねえ、他には?」
「他って、買ってきたのはコップだけだよ。」
すると妻は私を見た。
「違うの。今日は付き合った記念日でしょ。プレゼントを贈ってくれたんでしょ。だったら一緒に言う言葉もあるんじゃない。」
妻はにこにこ顔だった。
いや、その笑顔には少しいたずらっぽさも含まれていた。
僕が困っていると、妻がほらほらと言いながら、口パクをしてきた。
その言葉は5文字、口の動きから察するに母音はa、i、i、e、u。
今さら妻に愛してるなんて言うのはとても恥ずかしかったが、妻は一向にやめてこなかった。
もしこの場を切り抜けようとして妻に水を向ければ真正面から愛してると言われるのは火を見るより明らかで、それも恥ずかしいので避けたかった。
かと言って何も言わずに立ち去るわけにもいかない。
妻はとうとう僕を人差し指でつついてきた。
もう逃れられない。
「あ」
「あ?」
「あなたが言ってほしい言葉は記念日のサプライズプレゼントをもって代えさせていただきます。」
時間が止まった。
盛大に滑ったのか、それとも妻は納得してくれなかったのだろうか。
妻はうーんと言いながら立ち上がった。
「うん、不正はないね。ちゃんと届いたよ。」
妻は幸せそうにほほえんでいた。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえず抽選の真相についての話を導入として、もう一つのお題が使えるように、愛情の真相について語るカップルの話にしました。
当初は代えさせていただきますという夫のセリフで終わらせるつもりでしたが、もの足りないような気がして、妻の反応も抽選に絡めて付けたしました。
でも蛇足なような気もしてます。
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