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第104回『人気 バナナ 睡眠学習』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第104回『人気 バナナ 睡眠学習』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約44分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=QyG6bzZ5lt8
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「いやー、昨日はひどい目に遭ったよ。」
そう切り出した河本の声は鼻声だった。
ときおり小さくせきが混じるから、風邪気味なのだろう。
風邪なら玉子酒の方がいいかなと思ったが、こいつと酒を呑むときは一皿のつまみと一緒にだらだらと呑むものでありたいので、そのままコーヒーを差し出した。
「また競馬で金をすったのか? 少しは学習しろよ。」
河本はギャンブルが趣味で、特に競馬に目がなかった。
血眼になって競馬新聞に目を通しては馬券を握りしめ、そして散るのが恒例だった。
だからおおかたまた競馬で大負けしたのだろうと思い、頭の隅では昨日はどんなレースがあったかと考え、河本が風邪気味であることは忘れていた。
「いやいや、競馬は学習するために賭けてんだろ。」
河本は続けた。
「勉強や習い事だって、先生にお金を払ってるから元を取るためにまじめに勉強するだろ。競馬だって同じだぜ。馬券を買うから元を取るために必死に考える。そうして知識と経験が蓄積していき、レースの展開が読めるようになる。馬券を買っている人たちはみんなお金を払って学習している人たちだ。」
ならば河本に学習の成果が表れるのはいつになるのだろう。
そもそも大学に学費を払っているのに、授業をさぼって俺の部屋に上がりこんできている時点でちょっと説得力がない。
「じゃあ、何があったんだよ。」
「よく聞いてくれた。昨日競馬に負けちまって俺は失意の中競馬場から帰ろうとしたんだよ。」
競馬で負けたことはひどい目とは言わず、もはやそれが前提になって話が進んでいることに俺はいまさら驚くわけにはいかなかった。
「そんでな、このまま帰るわけにもいかないから途中で一杯飲んだんだよ。それでふらふらになりながら人気(ひとけ)のない路地を歩いてたらさ。」
ふらふらになるほどだから、こいつ絶対飲んだのは一杯だけじゃないな、と思った。
「そこにバナナの皮が落ちてて、それを踏んで見事にすっ転んだんだよ。」
俺は吹き出して笑った。
「ははっ。まじかっ。漫画みてえだなっ。」
「だろ? それもそこがゴミ箱の前なんだよ。」
「ますます漫画みてえだなっ。」
「でも笑えるのここまでで、転んだときに頭を打って俺はそのままそこで朝まで倒れてたんだよ。」
「酒も回ってたしな。」
俺がコーヒーを飲むと、河本もコーヒーを一口飲んだ。
「でも朝までだぜ? それまで誰も助けてくれないから、ほら、風邪引いちまったよ。」
「一つ勉強になったじゃないか。そんなところで寝てても誰も助けてくれない、だから気を付けろって。」
「睡眠学習ってやつだな。」
「それ、意味が違うし。」
俺と河本は笑った。
薄汚れた窓から見える空は雲一つない快晴だった。
秋晴れとはこういうのを言うのだろう。
遠くから小学校のチャイムの鳴る音が聞こえた。
俺は大学のテキストに目を落とした。
「睡眠学習でこれ全部覚えらんねえかなー。」
「無理じゃね?」
空になった二人のコーヒーカップ。
次に注ぐのは再びコーヒーにしようかそれとも。
俺の視線は冷蔵庫に注がれた。
~・~・~・~・~
~感想~
話は睡眠学習から考えていきました。
それでもう一つのお題のバナナの皮で滑って転んで気絶をしている間に何かを学習する話にしようと決めました。
その流れを作るために、学習と絡めながら競馬好きでだらしない友人にしました。
ただバナナの皮で転んで睡眠学習というのはいかにもお題に縛られているという感じがしたので、青春のような雰囲気の終わり方にしました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第104回『人気 バナナ 睡眠学習』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約44分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=QyG6bzZ5lt8
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
「いやー、昨日はひどい目に遭ったよ。」
そう切り出した河本の声は鼻声だった。
ときおり小さくせきが混じるから、風邪気味なのだろう。
風邪なら玉子酒の方がいいかなと思ったが、こいつと酒を呑むときは一皿のつまみと一緒にだらだらと呑むものでありたいので、そのままコーヒーを差し出した。
「また競馬で金をすったのか? 少しは学習しろよ。」
河本はギャンブルが趣味で、特に競馬に目がなかった。
血眼になって競馬新聞に目を通しては馬券を握りしめ、そして散るのが恒例だった。
だからおおかたまた競馬で大負けしたのだろうと思い、頭の隅では昨日はどんなレースがあったかと考え、河本が風邪気味であることは忘れていた。
「いやいや、競馬は学習するために賭けてんだろ。」
河本は続けた。
「勉強や習い事だって、先生にお金を払ってるから元を取るためにまじめに勉強するだろ。競馬だって同じだぜ。馬券を買うから元を取るために必死に考える。そうして知識と経験が蓄積していき、レースの展開が読めるようになる。馬券を買っている人たちはみんなお金を払って学習している人たちだ。」
ならば河本に学習の成果が表れるのはいつになるのだろう。
そもそも大学に学費を払っているのに、授業をさぼって俺の部屋に上がりこんできている時点でちょっと説得力がない。
「じゃあ、何があったんだよ。」
「よく聞いてくれた。昨日競馬に負けちまって俺は失意の中競馬場から帰ろうとしたんだよ。」
競馬で負けたことはひどい目とは言わず、もはやそれが前提になって話が進んでいることに俺はいまさら驚くわけにはいかなかった。
「そんでな、このまま帰るわけにもいかないから途中で一杯飲んだんだよ。それでふらふらになりながら人気(ひとけ)のない路地を歩いてたらさ。」
ふらふらになるほどだから、こいつ絶対飲んだのは一杯だけじゃないな、と思った。
「そこにバナナの皮が落ちてて、それを踏んで見事にすっ転んだんだよ。」
俺は吹き出して笑った。
「ははっ。まじかっ。漫画みてえだなっ。」
「だろ? それもそこがゴミ箱の前なんだよ。」
「ますます漫画みてえだなっ。」
「でも笑えるのここまでで、転んだときに頭を打って俺はそのままそこで朝まで倒れてたんだよ。」
「酒も回ってたしな。」
俺がコーヒーを飲むと、河本もコーヒーを一口飲んだ。
「でも朝までだぜ? それまで誰も助けてくれないから、ほら、風邪引いちまったよ。」
「一つ勉強になったじゃないか。そんなところで寝てても誰も助けてくれない、だから気を付けろって。」
「睡眠学習ってやつだな。」
「それ、意味が違うし。」
俺と河本は笑った。
薄汚れた窓から見える空は雲一つない快晴だった。
秋晴れとはこういうのを言うのだろう。
遠くから小学校のチャイムの鳴る音が聞こえた。
俺は大学のテキストに目を落とした。
「睡眠学習でこれ全部覚えらんねえかなー。」
「無理じゃね?」
空になった二人のコーヒーカップ。
次に注ぐのは再びコーヒーにしようかそれとも。
俺の視線は冷蔵庫に注がれた。
~・~・~・~・~
~感想~
話は睡眠学習から考えていきました。
それでもう一つのお題のバナナの皮で滑って転んで気絶をしている間に何かを学習する話にしようと決めました。
その流れを作るために、学習と絡めながら競馬好きでだらしない友人にしました。
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