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第103回『リンク レオタード 天丼』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第103回『リンク レオタード 天丼』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約59分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=F2EnX7QLdkA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
明日からまた1週間仕事が始まる日曜日の夜、私は台所で夕食の洗い物をしていた。
フライパンなどの調理器具の類は妻が器用にも夕食を作りながらその余り時間で洗うという料理が苦手な私にとっては神業とも思えることをしておいてくれたので、洗うべき食器は私と妻の二人分で、さほど時間はかからなかった。
結局妻がコンビニに買い物に行っている間に、私は食器をふきんで拭き終えてしまった。
妻がどのプリンを買おうか迷っていることは想像がついた。
私は居間に座りテレビをつけた。
この時間帯のテレビは家族向けのみんなで見られる娯楽番組が多い。
「わー、おいしそうですね。」
テレビでは芸能人が器に盛られた具たっぷりのラーメンを見て、感嘆の声を上げていた。
著名人一押しの食べ物やさんを紹介するという特集だった。
これからコンビニのプリンを食べる予定の身としては、変に豪華なスイーツは出ないでほしいなと思いながらおいしそうにラーメンをすする姿を見ていた。
ラーメン屋の紹介から丼屋の天丼の紹介に入ったとき、妻のドアを開ける音が聞こえた。
「遅かったね。どれにするか迷ってたんでしょ。」
「うん。やっぱりこの時間帯はもうみんなに買われちゃった後だからね。残ってたプリンの中からどれにしようか迷った。」
なるほど、プリンはたくさん置いてあっても悩むし、逆に少ししか残ってなくても悩むものなのかと思いながら、私は台所にスプーンを出しに行った。
それとほうじ茶。
これが我が家のデザートを食べるスタイルだ。
急須にほうじ茶をぱっとまぶし、お湯を注ぐとみるみるうちにいい香りが立ち上がってきた。
お茶を居間に持っていくと、すでにプリンは1個ずつ、妻と私の座る位置に丁寧に置かれていた。
だが妻は珍しくプリンに手をつけようとせず、テレビに見入っていた。
テレビに目を向けてみると、画面ではフィギュアスケートの選手がリンクの上で鮮やかに舞っていた。
そういえば今日は日本で大きな大会があることを思い出した。
確か何人かの日本人もメダルを期待されていたはずだ。
妻の邪魔にならないように私はそのまま無言で座った。
お茶をテーブルに置いたとき、「ん」という生返事がわずかに聞こえたので、妻は気付いているはずだ。
私はそのままプリンのフタを開け、テレビのフィギュアスケートを見ながら食べ始めた。
あまりフィギュアスケートに詳しくない私は、最初は金地に黒いスパンコールで飾られたレオタードを今食べているプリンみたいだなと思った。
しかしその女性選手が音楽に乗せて次々と技を繰り出していく姿を見るうちに、私はプリンを食べる手が止まった。
腰を大きくそらせたまま旋回したり、足を高く上げて高速回転したりする姿にいつの間にか私は興奮していた。
私の中でどくんどくんと血が流れていくのを感じた。
私の胸の高鳴りと呼応するかのように音楽も最高潮を迎え、彼女の演技は終了した。
息をするのも忘れていた私はほーと一息ついた。
久々に体が熱くなっているのを感じた。
だが私のそんな昂ぶりも知らない妻はあわてて言った。
「あ、ごめんごめん。さっきのテレビ見たかった?」
妻がリモコンを持ってチャンネルを戻そうとしたので、私は制止した。
「いいよ。あっちは食欲を刺激する番組だから。」
「でもあなたフィギュアスケートに興味がなかったでしょ?」
「こっちは性欲が刺激された。」
妻の視線は選手たちが滑る氷よりも冷たかった。
~・~・~・~・~
~感想~
お題のリンクはフィギュアスケートとして消化しようと決めて話を書いていたら、フィギュアの衣装もレオタードという名称だということがわかりお題の消化が一気に楽になりました。
フィギュアスケートへの態度と類似させるためにも、語り手のグルメ番組を見る態度はもっと積極的にするべきだったと反省してます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第103回『リンク レオタード 天丼』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約59分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=F2EnX7QLdkA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
明日からまた1週間仕事が始まる日曜日の夜、私は台所で夕食の洗い物をしていた。
フライパンなどの調理器具の類は妻が器用にも夕食を作りながらその余り時間で洗うという料理が苦手な私にとっては神業とも思えることをしておいてくれたので、洗うべき食器は私と妻の二人分で、さほど時間はかからなかった。
結局妻がコンビニに買い物に行っている間に、私は食器をふきんで拭き終えてしまった。
妻がどのプリンを買おうか迷っていることは想像がついた。
私は居間に座りテレビをつけた。
この時間帯のテレビは家族向けのみんなで見られる娯楽番組が多い。
「わー、おいしそうですね。」
テレビでは芸能人が器に盛られた具たっぷりのラーメンを見て、感嘆の声を上げていた。
著名人一押しの食べ物やさんを紹介するという特集だった。
これからコンビニのプリンを食べる予定の身としては、変に豪華なスイーツは出ないでほしいなと思いながらおいしそうにラーメンをすする姿を見ていた。
ラーメン屋の紹介から丼屋の天丼の紹介に入ったとき、妻のドアを開ける音が聞こえた。
「遅かったね。どれにするか迷ってたんでしょ。」
「うん。やっぱりこの時間帯はもうみんなに買われちゃった後だからね。残ってたプリンの中からどれにしようか迷った。」
なるほど、プリンはたくさん置いてあっても悩むし、逆に少ししか残ってなくても悩むものなのかと思いながら、私は台所にスプーンを出しに行った。
それとほうじ茶。
これが我が家のデザートを食べるスタイルだ。
急須にほうじ茶をぱっとまぶし、お湯を注ぐとみるみるうちにいい香りが立ち上がってきた。
お茶を居間に持っていくと、すでにプリンは1個ずつ、妻と私の座る位置に丁寧に置かれていた。
だが妻は珍しくプリンに手をつけようとせず、テレビに見入っていた。
テレビに目を向けてみると、画面ではフィギュアスケートの選手がリンクの上で鮮やかに舞っていた。
そういえば今日は日本で大きな大会があることを思い出した。
確か何人かの日本人もメダルを期待されていたはずだ。
妻の邪魔にならないように私はそのまま無言で座った。
お茶をテーブルに置いたとき、「ん」という生返事がわずかに聞こえたので、妻は気付いているはずだ。
私はそのままプリンのフタを開け、テレビのフィギュアスケートを見ながら食べ始めた。
あまりフィギュアスケートに詳しくない私は、最初は金地に黒いスパンコールで飾られたレオタードを今食べているプリンみたいだなと思った。
しかしその女性選手が音楽に乗せて次々と技を繰り出していく姿を見るうちに、私はプリンを食べる手が止まった。
腰を大きくそらせたまま旋回したり、足を高く上げて高速回転したりする姿にいつの間にか私は興奮していた。
私の中でどくんどくんと血が流れていくのを感じた。
私の胸の高鳴りと呼応するかのように音楽も最高潮を迎え、彼女の演技は終了した。
息をするのも忘れていた私はほーと一息ついた。
久々に体が熱くなっているのを感じた。
だが私のそんな昂ぶりも知らない妻はあわてて言った。
「あ、ごめんごめん。さっきのテレビ見たかった?」
妻がリモコンを持ってチャンネルを戻そうとしたので、私は制止した。
「いいよ。あっちは食欲を刺激する番組だから。」
「でもあなたフィギュアスケートに興味がなかったでしょ?」
「こっちは性欲が刺激された。」
妻の視線は選手たちが滑る氷よりも冷たかった。
~・~・~・~・~
~感想~
お題のリンクはフィギュアスケートとして消化しようと決めて話を書いていたら、フィギュアの衣装もレオタードという名称だということがわかりお題の消化が一気に楽になりました。
フィギュアスケートへの態度と類似させるためにも、語り手のグルメ番組を見る態度はもっと積極的にするべきだったと反省してます。
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