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第144回『ゴルフ場 土下座 田舎』
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ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第144回『ゴルフ場 土下座 田舎』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約38分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=uK5oe_fA7OE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
セミの鳴き声がやかましい中、一人の中年の男が肩を落として墓場にやってきた。
彼は家の代々のお墓にまっすぐに向かうと、墓前に花と日本酒を捧げ手を合わせた。
手を合わせているうちに男は感極まり、みけんにしわを寄せて泣き出した。
「ごめんなさい、ご先祖様! ふがいない俺が全て悪いのです!」
とうとう男は墓に向かって土下座をした。
男は田舎ではあるものの広大な土地を所有する旧家の跡取りだった。
しかし男は経営の才がないのか、はたまた不況のせいなのか、自身の会社は赤字を重ねていた。
借金でいよいよ首が回らなくなったとき、男は先祖代々受け継いできた土地を売却することに決めた。
買い手はリゾート開発の会社であり、なだらかな平原が広がるこの土地はゴルフ場に最適なのだという。
土下座をしていると、いつしか男にはセミの鳴き声が聞こえなくなってきた。
炎天下なのに汗がひいてきたどころか、涼しさすら感じ始めてきた。
すると男の頭の中に声が聞こえてきた。
「そうか、あの土地を売ることにしたか……。」
男は顔を上げて見回してみたが、辺りには誰もいなかった。
墓石に誰かが隠れているような気配もなかった。
男はまさかと思って先祖の墓を見上げてみた。
「そうじゃよ。今お前に話しかけているのはお前の先祖じゃよ。」
先祖と聞いた瞬間、男は血相を変えて再び地面に額をこすりつけた。
「ご先祖様! 申し訳ありません! 父からも祖父からも大事にするようにと言われていたあの土地を私は売ってしまいました! 全て私の不甲斐なさからです!」
男の痛切な謝罪とは対照的に、先祖の声はとても穏やかだった。
「いいんじゃよ。あの土地は家族に何かがあったときの保険のために持っていたようなものだからな。お前たちに借金があった、だから売った。それで助かるなら何の問題もない。」
「はい、おかげさまで借金も返すどころかお釣りが出るくらいでした。」
「うんうん。それでいい。わしらは誰もお前を責めないさ。」
男は安堵して、涙を拭いた。
今度の涙はうれし涙だった。
「ありがとうございます。今度またいいものをお供えさせていただきます。」
「それには及ばん。せっかく手に入ったお金だ。生きている人間が自分のために使いなさい。」
「それは結構です。」
男は先祖からのアドバイスをきっぱりと断った。
「なぜだね?」
「私はもう自分のためにゴルフクラブセットとウェア一式を買ったからです。」
「思いっきり楽しむつもりじゃねーか。」
お供えした日本酒が見る見るうちに減っていった。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえずお題から、先祖の土地をゴルフ場に売却したために土下座をする人の話にしました。
先祖と話をするのは非現実的だったので、自然に導入させるために、セミの声が聞こえなくなったり、暑さを感じなくなったりという描写を入れました。
当初は「思いっきり楽しむつもりじゃねーか。」という先祖のツッコミで終わる予定だったのですが、それだと会話劇っぽいなと思い、少しでも映像的にするために先祖がやけ酒を呑むという描写を入れました。
これが読者にどう受け取られるのかわかりませんが。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第144回『ゴルフ場 土下座 田舎』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約38分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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セミの鳴き声がやかましい中、一人の中年の男が肩を落として墓場にやってきた。
彼は家の代々のお墓にまっすぐに向かうと、墓前に花と日本酒を捧げ手を合わせた。
手を合わせているうちに男は感極まり、みけんにしわを寄せて泣き出した。
「ごめんなさい、ご先祖様! ふがいない俺が全て悪いのです!」
とうとう男は墓に向かって土下座をした。
男は田舎ではあるものの広大な土地を所有する旧家の跡取りだった。
しかし男は経営の才がないのか、はたまた不況のせいなのか、自身の会社は赤字を重ねていた。
借金でいよいよ首が回らなくなったとき、男は先祖代々受け継いできた土地を売却することに決めた。
買い手はリゾート開発の会社であり、なだらかな平原が広がるこの土地はゴルフ場に最適なのだという。
土下座をしていると、いつしか男にはセミの鳴き声が聞こえなくなってきた。
炎天下なのに汗がひいてきたどころか、涼しさすら感じ始めてきた。
すると男の頭の中に声が聞こえてきた。
「そうか、あの土地を売ることにしたか……。」
男は顔を上げて見回してみたが、辺りには誰もいなかった。
墓石に誰かが隠れているような気配もなかった。
男はまさかと思って先祖の墓を見上げてみた。
「そうじゃよ。今お前に話しかけているのはお前の先祖じゃよ。」
先祖と聞いた瞬間、男は血相を変えて再び地面に額をこすりつけた。
「ご先祖様! 申し訳ありません! 父からも祖父からも大事にするようにと言われていたあの土地を私は売ってしまいました! 全て私の不甲斐なさからです!」
男の痛切な謝罪とは対照的に、先祖の声はとても穏やかだった。
「いいんじゃよ。あの土地は家族に何かがあったときの保険のために持っていたようなものだからな。お前たちに借金があった、だから売った。それで助かるなら何の問題もない。」
「はい、おかげさまで借金も返すどころかお釣りが出るくらいでした。」
「うんうん。それでいい。わしらは誰もお前を責めないさ。」
男は安堵して、涙を拭いた。
今度の涙はうれし涙だった。
「ありがとうございます。今度またいいものをお供えさせていただきます。」
「それには及ばん。せっかく手に入ったお金だ。生きている人間が自分のために使いなさい。」
「それは結構です。」
男は先祖からのアドバイスをきっぱりと断った。
「なぜだね?」
「私はもう自分のためにゴルフクラブセットとウェア一式を買ったからです。」
「思いっきり楽しむつもりじゃねーか。」
お供えした日本酒が見る見るうちに減っていった。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえずお題から、先祖の土地をゴルフ場に売却したために土下座をする人の話にしました。
先祖と話をするのは非現実的だったので、自然に導入させるために、セミの声が聞こえなくなったり、暑さを感じなくなったりという描写を入れました。
当初は「思いっきり楽しむつもりじゃねーか。」という先祖のツッコミで終わる予定だったのですが、それだと会話劇っぽいなと思い、少しでも映像的にするために先祖がやけ酒を呑むという描写を入れました。
これが読者にどう受け取られるのかわかりませんが。
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