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第145回『修学旅行 温泉 誘拐』

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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第145回『修学旅行 温泉 誘拐』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約41分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=YJvY6sNIKXM

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

のしおりが配られると、生徒からは悲鳴が上がった。
行先が京都と奈良であって、リゾートなど楽しい場所とはかけ離れたところだったからだ。
さらに言えば見学するところもお寺や神社ばかりだった。
歳を重ねてみればこれらの魅力もわかるが、中学生たちは寺社仏閣を楽しむには若すぎた。
思春期だな、と先生は思った。
「一日目も二日目も寺、寺、寺って俺たち修行しに行くんですかー。」
「これじゃ3泊4日のですよー。」
騒ぎに乗じて一部の生徒たちは不平をあらわにした。
と言っても修行やなどという言葉のチョイスから判断する限り、文句を言いつつも友達からは面白い奴と思われたいゆえの発言であることは明白だった。
思春期だな、と先生は苦笑しながら思った。
お風呂はホテルの中の大浴場という項目を見た生徒は言った。
「せめて風呂は温泉がよかったー。」
これには今まで比較的静かだった女子も乗ってきたので、騒ぎはさらに大きくなった。
「あー、いいよねー。」
地に行きたかったー。」
きっと生徒たちはで寺社仏閣を見学するのは勉強の一環であることは理解しているのであろう。
しかし、お風呂の時間なら自由のはずである。
だからそのお風呂を最大限に良いものにするというアイディアは生徒たちにとって不平を言いやすい格好の理由だったのだろう。
要は体制に対して反乱を起こしたいだけなのである。
思春期だな、と先生は舌打ちをしながら思った。
先生は時計をちらりと見た。
与えられた時間を考えると、そろそろしおりの説明に入る必要がありそうだった。
だとすると、その前に生徒たちを静かにさせる必要があった。
「お前ら、そんなにに行きたかったか?」
すると生徒たちは一斉に行きたいと叫び出した。
余計うるさくなったくらいである。
しかし先生は臆することなく続けた。
「そうなるとのメインがになるぞ。お前ら、そんなにみんなと一緒に風呂に入りたいか?」
生徒たちは固まった。
そりゃそうである。
がメインであるならば、一番印象に残るのもである。
費やされる時間が多ければ、それだけ印象に残りやすい。
ここで起きたことがでの思い出である。
10年後や20年後の同窓会で語られることもあるかもしれない。
だとすると、で失敗は許されない。
裸で入るで笑われることがあってはならない。
生徒たちはおしゃべりをやめ、しおりに目を落とし始めた。
だがその挙動は、男子も女子も自分の股間を気にしていることが見て取れた。
思春期だな、と先生は微笑ましく思った。

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~感想~
誘拐という言葉がいやだったので、とにかくこの言葉を穏便に済ますことに専念しました。
結果、苦しい使い方、苦しい話です。

思春期だなという文章で締めるのは最初から決まっていたのですが、書き進めながら何度も繰り返そうと思いました。
また先生の受け取り方おだんだんといらいらする感じにしつつも、オチのあとは真逆に微笑ましくになるようにしました。
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