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第143回『ギフトカード かわるがわる ベレー帽』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第143回『ギフトカード かわるがわる ベレー帽』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約52分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=ExRPC0h-KNs
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「今度のお誕生日プレゼントはベレー帽でいいか?」
私の質問に娘はスマホから顔を上げて険しい顔を見せた。
「はあ? なんで? お父さん。」
「だってお前、漫画家になりたいって言ってたじゃないか。漫画家と言ったらベレー帽が必要だろ。」
娘は顔をかっと赤くしてどなった。
「別に必要じゃないしっ、ていうか漫画家になりたいなんて言ったの、ずっと前じゃん! 私が小学生の時じゃん!」
私はてっきり今でも娘は漫画家になりたいのだと思っていた。
「じゃあ何になりたいんだ?」
「なに? 進路相談したいから私に聞きに来たの?」
娘はぶっきらぼうに聞いてきた。
確かに私は娘がどうしたいか知りたいわけではなかった。
娘はまだ中学生なのだから、自分の将来については自分でじっくり時間をかけて考えてくれればいいと思っている。
「そうだった。誕生日プレゼントだった。じゃあ何が欲しいの?」
私はまるで夕食のおかずのリクエストを求めるように聞いた。
すると娘はスマホに顔を落とした。
どうやら少しすねているらしい。
「……ギフトカード。」
娘はぽつりと言った。
「ギフトカード?」
一瞬頭の中でメッセージなどを添える誕生日カードなどを想像してしまい、理解が追い付かず聞き返してしまった。
ギフトカードとはお金の代わりに支払いのできるあれなのだろう。
「うん。それをお父さんが私に買ってあげようと思っていた額の分だけちょうだい。」
そのまま娘はスマホをいじり続けた。
私はわかったと言ってその場を退散したが、娘の誕生日プレゼントにほぼ現金に近いギフトカートとは味気がなくて寂しく思った。
欲しい物の内容によって趣味とか将来の夢みたいなものを想像されるのがいやなのだろうか。
だとしたら先ほどは悪いことをしてしまったかもしれないが、年頃の娘とは難しいものである。
本当にそのままギフトカードを渡して良いものなのか妻に相談してみることにした。
すると妻は溜め息を一つついて少しの間考えると、何かいい案が思い浮かんだようで、いやらしい笑みを浮かべた。
「ならこうしなさい。」
娘の誕生日がやってきた。
「誕生日おめでとう。はい、誕生日プレゼント。」
そう言って私は娘にギフト券袋を渡した。
娘はきょとんとしていたので、最初はそれがなんなのかわからなかったのだろう。
しかし自分が言ったことを思い出して顔がぱっと明るくなった。
ありがとうと言って、娘は袋を開け始め、私と妻は娘がどんな反応をするのか見守った。
封筒が厚かったことに娘は少し不信に思ったに違いない。
もしかしたらとんでもない額の分だけ入っていることも期待したのかもしれない。
娘の目に最初に飛び込んできたのは業界最大手のショッピングサイトのギフトカードだった。
娘もよく利用していたので、娘は喜びの声を上げたが、それもつかの間だった。
「え、1000円?」
中学生の誕生日プレゼントに1000円は少ないと思ったのかもしれない。
しかし娘はカードが束になっていることに気付き、カードをめくってみた。
すると次に現れたのは娘がプレイしているゲーム機で使用できるギフトカードだった。
それも1000円分だった。
娘は次々と確認していくも、ギフトカードは全て1000円ずつで、それも全て別のお店のものだった。
「なにこれーっ。」
娘は驚きの声を上げた。
私と妻はそれを聞いてにんまりとした。
「なにって誕生日プレゼント。ギフトカート1万円分。お父さんとお母さんがコンビニとか百貨店とかにかわるがわる行って買ってきたんだよ。これで好きなものを買いなさい。」
すると娘は膝から崩れ落ちた。
「1万円は嬉しいけど、でもこれじゃ1000円ずつしか使えないじゃん……。」
~・~・~・~・~
~感想~
ギフトカードはいろいろな種類があるなと思ったので、1000分ずつ買う話にしました。
昨日の勧善懲悪っぽい話がいつもよりは好評だったので、調子に乗って欲張った人間を懲らしめる話にしました。
ベレー帽の使い方は苦し紛れですが、せめて思春期の娘の気難しさにつなげてまぎらわそうと努力はしました(笑)。
最後に「娘はもう中学生なのだから、自分の買いたい物については自分でじっくり時間をかけて考えてくれればいいと思っている。」という一文を加えて、前に出てきた文章に似たものを繰り返そうかとも考えたのですが、懲らしめるという要素が薄くなるのでやめました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第143回『ギフトカード かわるがわる ベレー帽』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約52分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=ExRPC0h-KNs
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
「今度のお誕生日プレゼントはベレー帽でいいか?」
私の質問に娘はスマホから顔を上げて険しい顔を見せた。
「はあ? なんで? お父さん。」
「だってお前、漫画家になりたいって言ってたじゃないか。漫画家と言ったらベレー帽が必要だろ。」
娘は顔をかっと赤くしてどなった。
「別に必要じゃないしっ、ていうか漫画家になりたいなんて言ったの、ずっと前じゃん! 私が小学生の時じゃん!」
私はてっきり今でも娘は漫画家になりたいのだと思っていた。
「じゃあ何になりたいんだ?」
「なに? 進路相談したいから私に聞きに来たの?」
娘はぶっきらぼうに聞いてきた。
確かに私は娘がどうしたいか知りたいわけではなかった。
娘はまだ中学生なのだから、自分の将来については自分でじっくり時間をかけて考えてくれればいいと思っている。
「そうだった。誕生日プレゼントだった。じゃあ何が欲しいの?」
私はまるで夕食のおかずのリクエストを求めるように聞いた。
すると娘はスマホに顔を落とした。
どうやら少しすねているらしい。
「……ギフトカード。」
娘はぽつりと言った。
「ギフトカード?」
一瞬頭の中でメッセージなどを添える誕生日カードなどを想像してしまい、理解が追い付かず聞き返してしまった。
ギフトカードとはお金の代わりに支払いのできるあれなのだろう。
「うん。それをお父さんが私に買ってあげようと思っていた額の分だけちょうだい。」
そのまま娘はスマホをいじり続けた。
私はわかったと言ってその場を退散したが、娘の誕生日プレゼントにほぼ現金に近いギフトカートとは味気がなくて寂しく思った。
欲しい物の内容によって趣味とか将来の夢みたいなものを想像されるのがいやなのだろうか。
だとしたら先ほどは悪いことをしてしまったかもしれないが、年頃の娘とは難しいものである。
本当にそのままギフトカードを渡して良いものなのか妻に相談してみることにした。
すると妻は溜め息を一つついて少しの間考えると、何かいい案が思い浮かんだようで、いやらしい笑みを浮かべた。
「ならこうしなさい。」
娘の誕生日がやってきた。
「誕生日おめでとう。はい、誕生日プレゼント。」
そう言って私は娘にギフト券袋を渡した。
娘はきょとんとしていたので、最初はそれがなんなのかわからなかったのだろう。
しかし自分が言ったことを思い出して顔がぱっと明るくなった。
ありがとうと言って、娘は袋を開け始め、私と妻は娘がどんな反応をするのか見守った。
封筒が厚かったことに娘は少し不信に思ったに違いない。
もしかしたらとんでもない額の分だけ入っていることも期待したのかもしれない。
娘の目に最初に飛び込んできたのは業界最大手のショッピングサイトのギフトカードだった。
娘もよく利用していたので、娘は喜びの声を上げたが、それもつかの間だった。
「え、1000円?」
中学生の誕生日プレゼントに1000円は少ないと思ったのかもしれない。
しかし娘はカードが束になっていることに気付き、カードをめくってみた。
すると次に現れたのは娘がプレイしているゲーム機で使用できるギフトカードだった。
それも1000円分だった。
娘は次々と確認していくも、ギフトカードは全て1000円ずつで、それも全て別のお店のものだった。
「なにこれーっ。」
娘は驚きの声を上げた。
私と妻はそれを聞いてにんまりとした。
「なにって誕生日プレゼント。ギフトカート1万円分。お父さんとお母さんがコンビニとか百貨店とかにかわるがわる行って買ってきたんだよ。これで好きなものを買いなさい。」
すると娘は膝から崩れ落ちた。
「1万円は嬉しいけど、でもこれじゃ1000円ずつしか使えないじゃん……。」
~・~・~・~・~
~感想~
ギフトカードはいろいろな種類があるなと思ったので、1000分ずつ買う話にしました。
昨日の勧善懲悪っぽい話がいつもよりは好評だったので、調子に乗って欲張った人間を懲らしめる話にしました。
ベレー帽の使い方は苦し紛れですが、せめて思春期の娘の気難しさにつなげてまぎらわそうと努力はしました(笑)。
最後に「娘はもう中学生なのだから、自分の買いたい物については自分でじっくり時間をかけて考えてくれればいいと思っている。」という一文を加えて、前に出てきた文章に似たものを繰り返そうかとも考えたのですが、懲らしめるという要素が薄くなるのでやめました。
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