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1.波紋を描く、異色の水滴
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でもすぐ目を覚ます。そして慌てて時間を確認する。そんなことを繰り返して結局、4度目に目を覚まして寝起きとは思えないスピードでスマホを掴んだところで、よろよろと起き上がる。
寝るのは…諦めた。
僕は寝ることすらできないのか。
それにしても疲れた。短時間の間に何度も寝たり起きたりして帰る前より疲れた気がする。こんなんじゃ家ですら休めない。
寝るのが無理なら…仕事、か?
特技は無い、趣味はあったんだろうが忘れた。だったら怒られるネタを少しでも減らした方がいい。紫ヶ崎はそう判断し鞄から書類を取り出した。
こっちは会議に必要なもの、こっちは今度の企画の説明…これは、…他部署のものか、見慣れない内容だ。けどやらないといけない。
「そうじゃないと本当に価値がない」
元々あったのかすら謎だけど。けれど仕事をしている時だけは薄らと、極僅かに、ほんのりと、感じることができる。
机の上にパソコンを置いて起動させて。
「…ん?」
ゴマ粒、みたいな
まずは何に手をつけようか、と書面に書かれた文字を見たらゴマ粒が並んでいた。いやいや、と頭を振りもう一度よく見てみる。ちゃんと文字だ。
良かったとなにかに安心して息を吐いて、職場に居るのと同じように作業を始める。違うのは周りの環境で、雑音が無い分いつもより集中できたと思う。
ぐぎゅるるる~
化け物の鳴き声のような音で吃驚して跳ねてしまった。は、と顔を上げる。絶対今2、3ミリ浮いていた。
「昼、か」
書類やパソコンを片付けて棚を漁る。
入っていたのはパンとカップラーメンのみ。お湯を入れることさえ億劫な紫ヶ崎は8枚切りの薄い食パンをひとつだけ頬張る。
「はぁ…」
もう腹がいっぱいだ。それどころか痛い気もする。結局腹が減っていたのか痛めていたのか分からない。勿論昔からこれだけしか食べられなかった訳ではないのだが。
一体いつからどうしてこうなったのかわからない。
それはこの酷い現状にも、それを許容して受け入れている己にも言えることだった。分からないことばかりだと思いながらも、キーボードを打つ手は止めない。
紫ヶ崎の休日は大体いつもこんな風に過ぎていく。
「我ながらつまらなさすぎる」
"つまらない休日の過ごし方大会"でもあったら間違いなく優勝しただろう。
身体だって痛いし、心だって多分そう。だいぶ麻痺してくれたけれど。
いつまで保つのか、保たなくなるまで流されてデカい木にでもぶつかって…その時にサッとこの世からサヨナラ出来れば丁度いいと紫ヶ崎はひとつ息を吐く。
「いたい」
呼吸するだけでも全身痛い。が、流石に1週間風呂無しは不味い。ゆらりと立ち上がり風呂場へ向かった。
寝るのは…諦めた。
僕は寝ることすらできないのか。
それにしても疲れた。短時間の間に何度も寝たり起きたりして帰る前より疲れた気がする。こんなんじゃ家ですら休めない。
寝るのが無理なら…仕事、か?
特技は無い、趣味はあったんだろうが忘れた。だったら怒られるネタを少しでも減らした方がいい。紫ヶ崎はそう判断し鞄から書類を取り出した。
こっちは会議に必要なもの、こっちは今度の企画の説明…これは、…他部署のものか、見慣れない内容だ。けどやらないといけない。
「そうじゃないと本当に価値がない」
元々あったのかすら謎だけど。けれど仕事をしている時だけは薄らと、極僅かに、ほんのりと、感じることができる。
机の上にパソコンを置いて起動させて。
「…ん?」
ゴマ粒、みたいな
まずは何に手をつけようか、と書面に書かれた文字を見たらゴマ粒が並んでいた。いやいや、と頭を振りもう一度よく見てみる。ちゃんと文字だ。
良かったとなにかに安心して息を吐いて、職場に居るのと同じように作業を始める。違うのは周りの環境で、雑音が無い分いつもより集中できたと思う。
ぐぎゅるるる~
化け物の鳴き声のような音で吃驚して跳ねてしまった。は、と顔を上げる。絶対今2、3ミリ浮いていた。
「昼、か」
書類やパソコンを片付けて棚を漁る。
入っていたのはパンとカップラーメンのみ。お湯を入れることさえ億劫な紫ヶ崎は8枚切りの薄い食パンをひとつだけ頬張る。
「はぁ…」
もう腹がいっぱいだ。それどころか痛い気もする。結局腹が減っていたのか痛めていたのか分からない。勿論昔からこれだけしか食べられなかった訳ではないのだが。
一体いつからどうしてこうなったのかわからない。
それはこの酷い現状にも、それを許容して受け入れている己にも言えることだった。分からないことばかりだと思いながらも、キーボードを打つ手は止めない。
紫ヶ崎の休日は大体いつもこんな風に過ぎていく。
「我ながらつまらなさすぎる」
"つまらない休日の過ごし方大会"でもあったら間違いなく優勝しただろう。
身体だって痛いし、心だって多分そう。だいぶ麻痺してくれたけれど。
いつまで保つのか、保たなくなるまで流されてデカい木にでもぶつかって…その時にサッとこの世からサヨナラ出来れば丁度いいと紫ヶ崎はひとつ息を吐く。
「いたい」
呼吸するだけでも全身痛い。が、流石に1週間風呂無しは不味い。ゆらりと立ち上がり風呂場へ向かった。
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